現在の私のトレーディングスタイルは、利食えたらどんどん利食う方式です。

以前は、長期にポジションを持たなければ、ポジションテーカー(インターバンクディーラーとは違い自己ポジションで収益を追求するディーラー)とは言えないと思っていた期間が結構長くありました。

しかし、利食えたら、どんどん利食うというスタイルに変えてみると、何もそんなに肩肘を張らなくても、利益は出ると確信するようになっています。

むしろ、自分自身が過去に大海原に船出するような決意の下、1カ月とか3カ月もポジションをキャリーしていたことのほうが、どうかしていたのではないかと、今は思うようになっています。

1カ月なり3カ月のポジションキャリーの間には、利食えるチャンスがいくらでもあるにも関わらず、自分自身の決めたターゲット水準まで上げ下げする相場の中を耐えながらポジションをキャリーするわけですから、心身共にかなり消耗します。

たとえば、5円幅の利益を出すにしても、利食えたら利食っていくということの繰り返しと、ポジションを持ち続けるというやり方とでは、期待利益に対する心身の消耗度があまりに違うことを実感しています。

また、なによりも相場にはリスクがつきものであって、それはポジションキャリーの期間が長ければ長いほどリスクにさらされる期間が長くなることを意味しています。

それじゃあ利食えたらどんどん利食うのはデイトレだなと理解されることと思いますが、いくらデイトレであっても、長期のトレンドならびに相場観を持っていれば、日々のトレードにも役立つと考えています。

簡単な例として申し上げるのなら、中長期の相場の流れが上げトレンドにいるとしたら、デイトレのスタンスは、基本的には買い先行を念頭に置くべきだと思います。

また、下げトレンドであれば、基本的には売り先行を念頭に置くべきだと思います。

つまり、魚の頭から尻尾まで全部取ろうとするのがポジションテーカーなら、姿作りの刺身の一片づつを食べていくのがデイトレなのではないかと思っています。

どちらのスタイルを取るのかは、個々人のお好みですが、両方経験したものとして言えることは、確かに長期にポジションをキャリーすることは、うまくいった時の醍醐味は格別です。

しかし、長期のリスクにさらされる心身の消耗度も極めて高いと言えます。

一方、デイトレタイプは、利食えたらどんどん利食うかわりに、利食いが早すぎたりして取り残した悔しさはたまに残りますが、なによりもリスクにさらされている期間が短く、その分心身の消耗度が低いため、チャンスがあれば何度でもやろうという意欲は衰えません。

ただ、トレーダーの先輩として、あえて申し上げたいことは、やっぱり実際どちらも経験してみることだと思います。

ポジションテーカーを経験してみると、自然と長期の見通しを考えざるをえませんので、相場全体を見ていく上では、大変勉強になると思います。

若手の皆さんであれば、疲れを知らない年代ですから、ご自分の体力の範囲内で是非経験としてポジションテーカーもトライしてみることをお勧めします。

私も、30代の頃、36時間ノンストップディールなどということもやりました。

今は、もちろん、やるつもりはありませんが、やってみて見えるものもありました。

若い頃に、失敗を恐れず、いろいろなことにチャレンジしてみることが大事です。

そして、自分自身のスタイルを確立していくことだと思います。

ただし、スタイルを確立すると言っても、それがゴールというわけではありません。

改良とさらに次のことを考えていくことが大事だと思います。

極めたと思ってしまうと、成長が止まってしまうと思っています。