「大変重要、財務会計相場(1)」では1月から6月を見てきましたが、「大変重要、財務会計相場(2)」では、7月から12月の財務会計相場についてお話しします。
【7月】
7月4日の米独立記念日が夏のホリデーシーズンを告げますが、この月は財務会計相場に絡んだイベントは特段ありません。
【8月】
夏休みのピークにはなりますが、財務会計相場としては「米国債の利金の円転」があります。米国債の利金とは利息のことで、円転とは円貨に換えるためのドル売り円買いを行うということです。
実は利金の支払いは、年間2月、5月、8月、11月の4回があります。しかし、為替に影響があるのはこの8月だけで、他の月は目立った影響はありません。やはり、夏休みの閑散相場のため影響があるものと思われます。
利金の支払期日は8月15日ですが、生命保険会社のような信用力のあるところでは、8月に入ると早々に為替の先物予約をして円転額を確定してしまいます。
しかし、一般個人投資家は期日が来て入金を確認してから円転しますので、早くて8月15日ということになり、8月は前半から半ばを中心に利金の円転が続き、為替相場にも過去影響を与えてきました。しかし、ここ最近はあまり目立った影響はありません。
【9月】
9月の第1週の月曜日は米レーバーデーの祝日で、これが終わるとアメリカの学校は新学期です。トレーダーにとっても実質的な下期のスタートとなります。
一般的な欧米勢の上期は1月~6月、下期は7月~12月になるわけですが、7月、8月は夏休みで休みのため実質的なスタートは9月であり、また12月は後半はクリスマスのため実質的には12月前半までということで、下期の実働期間は3カ月半と短くなります。
このため、短い期間に財務会計相場が続きます。9月は下期のスタートですから、1月や4月と同じく「さあ、やるぞ!」になりやすく、結構フライング気味にマーケットに飛び込んでくるケースが見受けられます。1回飛び込んできて駄目で、10月に仕切り直すといったことが結構散見されます・
【10月】
10月は多くの本邦勢の下期のスタートですが、最近は「さあ、やるぞ!」は、あまり目立たなくなっています。
それよりも「米系ファンドの45日ルール」が目立ちます。「米系ファンドの45日ルール」は、米系ファンドの決算が11月末で、その45日前となる10月15日までに、もし投資家がファンドを解約するのであればこの日までにファンドに意思表示しなくてはなりません。
一方、ファンドの方も解約に備えて、手持ちのポジションを手仕舞わなくてはなりません。したがって、投資家の解約が大きければ、6月の中間決算並みに相場を動かしてしまうことがありますので、注意が必要です。
【11月】
11月の第4木曜日が冬のホリーデーシーズンの開幕を告げる米感謝祭となりますが、この月には特に目立った財務会計相場はありません。
【12月】
多くの欧米勢の本決算となりますので、財務会計相場としてのポジションの手仕舞いが起きやすいと言えます。月後半はクリスマス休暇になるため、手仕舞いは前半から半ばに集中します。
よくポジションの手仕舞いのきっかけとして、経済指標の発表などのイベントが使われます。指標の内容ではなく、あくまでの指標発表自体を手仕舞いのきっかけとされることが多く、よくマーケットのポジションを偏りを見て、売り買いが出るとしたらどちらかを想定しておく必要があります。
こうして見てきますと、財務会計相場ではない月は5月、7月、11月ぐらいのもので、それ以外はなにかしらの財務会計関連の出来事があることがお分かりいただけたかと思います。
したがって、年間のこうしたスケジュールを把握しているかどうかで、かなりパフォーマンス(成績)にブレが出るということですので、是非、スケジュールを頭にすり込んでおいてください。