マイレージの積算や特典利用において、提携航空会社の充実度もマイレージプログラムを選ぶ上では重要になる。特に国際線を利用するには重要である。現在、フルサービスキャリア(FSC)の多くがアライアンス(航空連合)に加盟しており、同じアライアンスに加盟している航空会社であれば、マイル積算や特典利用が可能となっている。

  • ANAが所属するスターアライアンスには現在、28社が加盟している

    ANAが所属するスターアライアンスには現在、28社が加盟している

特典航空券利用においては、マイレージカードの航空会社だけでなく、同じアライアンスに加盟している航空会社の特典航空券への交換が可能なほか、複数の航空会社を組み合わせたルートも可能だ。例えば、日本からヨーロッパまではANA、ヨーロッパ内はANAが加盟しているスターアライアンスのルフトハンザドイツ航空やオーストリア航空などを、同一旅程に組み込むことができるのだ。

同アライアンスなら原則マイル積算可能

世界のFSCのほとんどが、「スターアライアンス」「ワンワールド」「スカイチーム」の3アライアンスに分類される。日本人の会員数が多いマイレージプログラムとしては、ANA「ANAマイレージクラブ」、JAL「JALマイレージバンク」、ユナイテッド航空「マイレージプラス」、デルタ航空「スカイマイル」の4つがあるが、ANAとユナイテッド航空はスターアライアンス、JALはワンワールド、デルタ航空はスカイチームに加盟している。利用する航空会社・航空券によって積算率は異なるが、マイル積算対象の航空券であれば、基本的にアライアンス内の航空会社は原則積算可能となる。

  • JALが所属するワンワールドには現在、13社が加盟している

    JALが所属するワンワールドには現在、13社が加盟している

■スターアライアンス: 28社
日本乗り入れ航空会社

ANA、エアカナダ、中国国際航空、エア インディア、ニュージーランド航空、アシアナ航空、オーストリア航空、エジプト航空、エチオピア航空、エバー航空、LOTポーランド航空、ルフトハンザ ドイツ航空、スカンジナビア航空、深セン航空、シンガポール航空、スイス インターナショナル エアラインズ、タイ国際航空、ターキッシュ エアラインズ、ユナイテッド航空

日本未就航の航空会社
アドリア航空、エーゲ航空、アビアンカ航空、アビアンカ・ブラジル航空、ブリュッセル航空、コパ航空、クロアチア航空、南アフリカ航空、TAPポルトガル航空

■ワンワールド: 13社
日本乗り入れ航空会社

JAL、アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空、フィンエアー、イベリア航空、マレーシア航空、カンタス航空、カタール航空、S7航空、スリランカ航空

日本未就航の航空会社
LATAM、ロイヤルヨルダン航空

■スカイチーム 20社
日本乗り入れ航空会社

アエロフロート・ロシア航空、アエロメヒコ航空、エールフランス航空、アリタリア-イタリア航空、チャイナエアライン、中国東方航空、中国南方航空、デルタ航空、ガルーダ・インドネシア航空、KLMオランダ航空、大韓航空、ベトナム航空、アモイ航空

日本未就航の航空会社
アルゼンチン航空、エア・ヨーロッパ、チェコ航空、ケニア航空、ミドル・イースト航空、サウディア、タロム航空

  • ワンワールドは3大アライアンスの中で一番加盟社数が少ないが、日本に乗り入れている航空会社が多いという特長がある

    ワンワールドは3大アライアンスの中で一番加盟社数が少ないが、日本に乗り入れている航空会社が多いという特長がある

3大アライアンスの特徴は?

スターアライアンスは3大アライアンスの中で最大の28社が加盟しており、多くのエリアを網羅している。ANAに加えて、北米はユナイテッド航空とエアカナダ、ヨーロッパはルフトハンザやオーストリア航空、スイス インターナショナル エアラインズなど欧米においてはかなり強いと言っていいだろう。弱いエリアとしては、中東やロシア、ニュージーランドを除いたオセアニア、南米などの周遊では路線が限定される。

ワンワールドは加盟航空会社は13社と少ないが、13社のうち11社が日本に乗り入れており、国を代表するナショナルフラッグの加盟が多いのが特徴で日本人が多く訪れる国の航空会社の加盟も多い。また、エコノミークラス・ビジネスクラス共に割安なセール運賃を発売する機会が多いマレーシア航空やカタール航空もワンワールドに加盟していることで、マイルが貯めやすいとも言える。ただ、加盟航空会社が少ないので、活用する場合にはピンポイントでの利用になる点に留意する必要がある。

スカイチームは日本の航空会社の加盟はないが、デルタ航空やエールフランス航空、チャイナエアライン、大韓航空などが加盟しており、旅行スタイルによっては活用できる。特にデルタ航空利用者にとっては、デルタ航空便を利用して大韓航空やチャイナエアライン、中国東方航空、中国南方航空などの近距離路線の特典航空券に交換する方法もある。特に中国系航空会社が2社加盟していることで、中国出張が多い人にも活用しやすいのだ。

  • スカイチームには現在、20社が加盟している。日本の航空会社はないものの、中国系航空会社が2社加盟しているため、中国出張などに活用できるというメリットがある

    スカイチームには現在、20社が加盟している。日本の航空会社はないものの、中国系航空会社が2社加盟しているため、中国出張などに活用できるというメリットがある

海外へ出かけることがあるのであれば、加盟航空会社のリストを見ながらベストなマイレージカードを選んでみるのもいいだろう。ただ、最近ではアライアンスを超えた提携も増えており、次回の連載でアライアンス外航空会社の提携に関して取りあげたいと思う。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

筆者プロフィール: 鳥海高太朗

1978年千葉県生まれ。帝京大学経済学部地域経済学科非常勤講師。また航空・旅行アナリストとして、航空会社のマーケティング戦略を主研究に、自らも国内外を様々な航空会社を利用しながら体験談を中心に各種雑誌・経済誌などで執筆しているほか、テレビ・ラジオなどにも出演するなどメディアを中心に情報発信をしている。著書に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社新書)などがある。