同じ航空会社の機内食とはいえ、エコノミークラスとビジネスクラスでは雲泥というほど大きな違いがある。そんなビジネスクラスの機内食をレポートしよう。今回は、日米間で最多の便数を誇り、マイレージ「スカイマイル」のホルダーも多いデルタ航空「ビジネスエリート」の機内食を紹介しよう。搭乗したのは成田 - ニューヨークのDL172便だ。
空港ラウンジの人気メニュー
チェックインを済ませると、成田空港のラウンジ「デルタ スカイクラブ」に通される。ここでいま一番の人気メニューが「ヤキトリ」だ。「チャーハン」や「スシロール」など人気の高いメニューはあるが、ヤキトリはスタッフが置いたそばからなくなる。外国人も多く口にしており、日本食ブームを実感する。様々な制約がある機内では本来の味が出しにくい食べ物なので、地上のラウンジで提供するという発想もナイスである。
世界に19人しかいない女性マスターソムリエが選ぶ逸品
さて、搭乗して席に座り、ウェルカムドリンクとして出されたのがシャンパン。ワインをセレクトしているのはアンドレア・ロビンソンさん。世界に19人しかいない女性のマスターソムリエであり、アメリカの様々なメディアに度々登場する著名人だ。200もの候補から選んでいるというデルタ航空のワインのセレクションには定評があり、この日は有名シャンパンの1つ「ジャカール・ブリュット・モザイク」を楽しめた。
離陸して水平飛行に入るとまず「SETTING IN(搭乗後の軽食)」のサービス。この日のメニューは「鴨のロースト、ツナ、アボカドの巻き寿司」。やさしい味で、繊細で上品な白ワイン「シミ・シャルドネ・ソノマカウンティ2009」との相性も良かった。
ウェルカムドリンクの「ジャカール・ブリュット・モザイク」とおつまみ。泡もちが良いのもこのシャンパンの特徴だ。フライトを優雅な気分にしてくれる |
「鴨のロースト、ツナ、アボカドの巻き寿司」。鴨のローストにオレンジ風味をプラス。やはり鴨はフルーツと合う |
一口で分かる素材の良さと食べやすさ
「ビジネスエリート」では和食と洋食4種類の計5種類から好みの食事を選べる。今回は「JAPANESE SELECTION(和食)」をチョイス。和え物の「ゆで蛸の梅ゼリー和え」を一口食べただけで良い素材が使われていることが分かる。前菜の「焼き鴨と八丁味噌」の相性も秀逸。「銀鱈の焼き物」は、竹の子入りのご飯がますます進む味付けで、日本人にはたまらないメニューだ。
前菜「焼き鴨の八丁味噌風味 帆立貝と鰆(さわら)を添えて」(中央)、和え物「ゆで蛸の梅ゼリー和え カリフラワー、胡瓜、グレープフルーツ、苺と共に」(右)、煮物「茄子の煮物 オクラ、南瓜、パプリカの揚げ物を添えて」(左) |
最近は多くの航空会社が有名シェフと共同で開発した機内食を提供しているが、中には成功しているとは言い難いコラボレーションもある。デルタ航空では「成田空港にある自社キッチンのベテランシェフがその経験をいかしてメニューを開発し、採算度外視とまではいなかいまでも、素材にも妥協しない。また、顧客の残した料理を見てメニューを練り直すなど、研究や開発を怠らない」という。様々な制約がある機内食ではあるが、その中でも顧客に喜ばれる味を追求する。そうしたシェフの思いが伝わる満足なミールサービスだった。
ヒットメニューと良質なチーズが楽しみなデザートの時間
次は「SWEET DELIGHTS(デザート)」の時間。「バニラアイスクリーム・サンデー」は今や同社のヒットメニューとして定着している。チョコレートソース、ストロベリーソース、ホイップクリーム、ナッツとトッピングも豊富だ。自慢というチーズも良質なラインナップで、ブルーチーズは日本人にも食べやすい「フルム・ダンベール(フランス・オーベルニュ産)」を搭載していた。
到着前には「ALMOST THERE(到着前)」のミールサービス。この日は和風で統一すると決めていたので「細切り牛肉の焼きそば 野菜と共に」をチョイス。期待を裏切らないもので、男性でも十分なほどの量なのも嬉しかった。
食後に「シアトルズ・ベスト・コーヒー」のコーヒーを飲みながら、「帰りは何が食べられるのかな」と早くも帰国便の食事を楽しみに思っているうちに、DL172便はニューヨークJFK国際空港に着陸した。
「バニラアイスクリーム・サンデー」(右上)にナッツをトッピング。チーズは左からブルーチーズ「フルム・ダンベール」、フランスではポピュラーな「カンタル(オーベルニュ産)」、ハードタイプの「コンテ」。デザートワインはオーストラリアの「チェンバース・ローズウッド・マスカット」 |
取材協力: デルタ航空