やっと野外活動に最適な気候になってきましたね。春は誰もが写真を撮りたくなるシーズン。鉄道撮影初心者の鉄ちゃんが増える時期でもあり、線路際も混雑します。桜が撮影できる週末は、たいてい年に1、2回と貴重です。今回はそんなテンションが上がった現場においての鉄ちゃんとのコミュニケーションについて解説します(鉄道名や駅名などの設定は架空です)。

鉄ちゃん用語を少し覚えて作品ファイルも制作し、随分と鉄ちゃんらしくなってきたテツヤくん。今日はSLマイコミ号が今期初運転の日。満開の桜が列車を迎えてくれるという最高のシチュエーションです。「今期もがんばるぞ! 」と、ウキウキしながら御目出塔駅大俯瞰に行くと、そこはまさに激パの中の激パ。顔見知りの鉄ちゃんたちはもちろん、普通の花見客も入り乱れてちょっと殺伐とした感じ……。いつもの雰囲気ではありません。

冬の間、撮影地に集まる人といえばマナーを知っている鉄ちゃんがほとんどだったので、カリカリしてつい「これだから一般人は困るんだよなー」と暴言を吐いてしまいました。その時、ベテラン鉄ちゃんが「兄ちゃん、アツくなるなよ」と一言。このおかげで周囲は和み、大事には至りませんでした。

しかしテツヤくん、すぐに自分がいかに自己中心的だったかを知ります。初めてSLマイコミ号の写真を撮りに来た頃、「先にいた人の前に入らない」「私有地には入らない」などのマナーも知らず、先輩鉄ちゃんに注意されました。でも皆、おだやかに言ってくれました。だからこそ、ここまで鉄道撮影を続けて来られたのです。自分こそ一般人だったのに、ちょっと経験を積んだというだけで人を批判してしまうなんて……。テツヤくんは恥ずかしい気持ちになりました。

前々回などで取り上げた「鉄ちゃん用語を覚える」、前回の「作品ファイルをつくる」は、先輩鉄ちゃんとのコミュニケーション法として紹介しましたが、それと並んで「同輩、後輩鉄ちゃんや鉄ちゃん以外の人々を温かく迎える」というのも、コミュニケーション術としてバランスよく身につけたいですね。これには知識も手間もいりません。いつも平常心で、穏やかでいることがコツです。もしうまくいかなくても、「来年があるさ! 」と思いましょうね。

私の経験上のことではありますが、穏やかな気持ちでいれば次のチャンスには恵まれるものです。数日後だったり、十数年後だったりはしますが、こういうことは運というかなんというか、「不思議なものだなぁ~」と思わずにいられません。そして、桜の時期や特定のシーズンの線路際を狙う他のジャンルの写真愛好家の方には、「立ち位置は先着優先、人の前には入らない」という鉄ちゃんのローカルルールと、「フラッシュ撮影禁止」といった約束事は覚えておいてもらいたいものです。

撮影地はものすごい混雑でしたが、桜とSLマイコミ号の写真は撮りたいテツヤくん。混雑にひるむことなく撮影に挑む鉄ちゃんたちを見ていると、自分とは機材が全く違うことに気が付きました。なんといっても、交換レンズのバリエーションの多さ。テツヤくんの機材は、コンパクトカメラと三脚だけ。前から、「新しいカメラが欲しいなぁ」という気持ちはありましたが、今日でその気持ちが一層大きくなりました。

撮影機材を買い揃えるのは楽ではありません。カメラが大きくなれば、カメラバックや三脚も大きい物が必要になりますし、パソコンや画像ソフトも新たに必要になってくる可能性があります。しかし、立ち位置に制約が多い鉄道撮影では、他のジャンルよりも機材の充実が必要になってきます。「人の前には入らない」「私有地には入らない」といった基本マナーを守りつつ思う通りの構図を探していくには、コンパクトカメラだけでは厳しくなってきます。テツヤくんも、真剣に一眼デジタルカメラの導入を考え始めたようです。時間とお金はかかりますが、鉄道撮影がもっと楽しくなりますよ。

ミニ情報
鉄道に関係する開花情報は、自分で探そう
線路沿いにピンポイントにある桜の開花時期は、その土地の一般的なお花見のタイミングと一致しないことがあります。これから咲く北国の桜は、開花情報の目安となる標準木とは品種が違うこともあるので、特に注意が必要です。そこで、チェックしたいのが鉄ちゃんたちのブログや画像掲示板。実際に撮影した結果を即アップしている事が多いので、花の様子が一目でわかります。