イケメン結婚の報道に、荒れる独身女性たち

「私……会社早退します」というつぶやきが溢れたツイッターのタイムライン。それはマイナビウーマンで結婚したい男2位に選ばれた西島秀俊さん(43)が16歳年下の一般女性との結婚を発表した11月19日。

「西島さん結婚したから早退しました」

「西島秀俊が結婚したから早退して今、家のこたつに居るわたし」

「西島さん結婚したから、成人独身女性は早退していいらしい」

さらに翌日、多くの女性たちが「会社休みます」とつぶやきました。アラサーアラフォー女性を襲ったのは、結婚したい男第一位の向井理さん(32)も、女優の国仲涼子さん(35)との結婚を発表したという報道……。

「向井理も人のものだなんて……私も今日は会社休みます」というツイートが溢れ、タイムラインはその二日間、女性たちの悲鳴と落胆で荒れました。あまりの混乱ぶりに、中には「ん? 西島秀俊と向井理が結婚したの? 同性婚ってOKだっけ?」という勘違い組も現れる始末。

このようにイケメンの結婚報道とは、女性たちの心を突然の嵐のように激しく揺さぶるのです。なら宝塚に行け? いやいや、宝塚ファンは結婚ではなく、御贔屓さんの「退団」報道に一喜一憂していますから、同じことかもしれません。

とにかく、独身女性たちの心を支えてきたイケメン独身男性2人が、人のものになってしまった……あ、いや、もともと手が届かない人だけれど、誰のものでもないうちはよかった。これで西島秀俊と向井理が自分のものになる可能性は一億分の一ミリもなくなってしまったわけです(もともと一億分の一ミリの可能性もねーよ……という男子たちの突っ込みはさておいて)。

例えば女子アイドルが密会写真を撮られると「恋愛禁止のルール違反だ。つっこんだ金返せ」とマジで怒る男子たちと違い、女子たちは自らをネタとして「早退します」とつぶやく。この自らを俯瞰した諧謔味はかつて酒井順子さんが30代独身子なし、でも高年収の自分たちを「負け犬」と名付けたセンスと通じます。

イケメンの結婚は、結婚相手によってジャッジが分かれる

しかしこれだけでは終わらない。イケメン俳優2人のジャッジは相手選びによって厳しく分かれました。今回のことを見ていると、イケメンの結婚って、この二種かなあと思います。

パターン1: 30代でちょい年上のいい女と結婚し、賞賛される。

「悔しいけど、わかってるよね。うんうん」

パターン2: 40代でうんと年下と結婚し、男性には希望を与えるが女性には絶望を与える。

「やっぱり、男は若いのがいいんだよね。×××もただの男だったんだ。ふーん」

30代ならまだまだちょい年上でもいい女がいっぱい残っているから、このチョイスは本人的にも、ファン的にもなかなかナイス。しかし自分もあーだこーだしているうちに40代になってからだと、自分より年上のいい女(いるにはいますが)には目が向かなくなる。

イケメンが30代で結婚するか、40代で結婚するかは、なかなか難しいジャッジなのです。どうみても、今回はパターン1の向井理が好感度アップでしょう。

なかなか人気者の結婚は難しい。しかし彼らも人間ですから、恋もするし、結婚もするし、子どももできる。ひとグループ一人しか結婚していないジャニーズは、やはりイケメン界のプロと言えます。

20代で結婚して「男をあげる」ケースも

それでは、30代、40代ではなく20代の結婚はどうでしょう? 20代で結婚して「男をあげる」ケースもあります。それは相手が年上で、子どもがいる自立した女性の場合。

このパターンにはまりそうなのが、なんとダルビッシュ有(28)。最近山本一族(格闘技界の最強一族として名高い)の山本聖子さん(日本の女子レスリング選手、姉は「美しすぎる女性レスリング選手として有名な山本美憂、兄は総合格闘家、山本"KID"徳郁」と交際を発表しました。モデル、女子アナ、プロゴルファー、あれだけ多くの女性に「遺伝子」を狙われていた彼ですが、彼が選んだ山本聖子さんは×一子持ちで年上(35歳)です。

元妻のモデルさんとは全く違うチョイス。今まで報道された相手には納得いかなかったファンも、この「最強」カップルには何も言えないのではないでしょうか? なにしろ、山本聖子さん、4度も世界王者になっているから……。

マスコミは「ダルの年収が目当て」のような報道をしますが、山本一族はそんなことには興味はないんじゃないでしょうか? 彼らの本能は最強の遺伝子を求めて動くのだと思います。「人間は遺伝子の乗り物にすぎない」と言ったのは、「利己的な遺伝子」を書いたリチャード・ドーキンス。最強を求める遺伝子の戦略には誰も逆らえないのかも。

2人の間に子どもができたら、どのようなアスリートになるのか、非常に期待大ですね。「人類最強」の遺伝子の発動が待たれます。

<著者プロフィール>
白河桃子(しらかわとうこ)
少子化ジャーナリスト、作家。相模女子大客員教授。経産省「女性が輝く社会のあり方委員会」委員。山田昌弘中央大学教授とともに、2008年度流行語大賞にノミネートされた「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著『婚活時代』(ディスカバー21)がある。婚活ブームのきっかけを作った。近著は、『「産む」と「働く」の教科書』(講談社)『格付けしあう女たち 女子カーストの実態』(ポプラ新書)、国立成育医療研究センター母性医療診療部不妊診療科医長の齊藤英和医師との共著で『妊活バイブル』(講談社)、『女子と就活――20代からの就・妊・婚講座』(中公新書ラクレ)。

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