住宅ローンを低金利のものに借り換えてトクできたとしても、効果が長続きしなければ意味がありません。借り換え後も長期間にわたって返済を続けるケースが多いことを考えると、その後のメンテナンスが欠かせないでしょう。借り換え先の住宅ローンを選ぶ際には、返済方法や金利の見直しのしやすさも大きなポイントになります。

繰り上げ返済で利息の負担を軽減

住宅ローンは返済期間が30年前後と長期にわたるので、その間には年収や家族構成などが大きく変化するのが通常です。借りたときの状態でローンを放っておくと、収入が足らなくなったり支出が大きくなりすぎたりして、家計が苦しくなってしまうことも考えられます。こうした事情は住宅ローンを借り換えた後も同じです。せっかく借り換えでトクした分を長続きさせるためにも、借りているローンの見直しは欠かせません。

住宅ローンの見直しで代表的な手法の一つは繰り上げ返済です。月々の定期的な支払いとは別に、返済の途中で一定の金額を支払うことを繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)といいます。繰り上げ返済した金額はすべて借り入れた元金の返済に充てられるので、その分の元金にかかるはずだった利息が節約できる点がメリットです。

繰り上げ返済には返済期間を短くする「返済期間短縮型」と、毎月返済額を軽くする「返済額軽減型」の2タイプがあり、多くの金融機関ではどちらかのタイプを選べます。同じ時期に同じ金額を繰り上げ返済する場合は返済期間短縮型のほうが利息を多く軽減できる仕組みです。いずれも返済期間中の早い時期に実行するほど利息の軽減効果が高くなり、繰り上げた金額より多くの利息が軽減される場合もあります。

■繰り上げ返済の仕組み(元利均等返済の場合)

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繰り上げ返済の手数料と金額制限を確認しよう

まとまった金額を返済して退職時より前にローンを完済したり、月々の負担を軽くして教育費の増加に対処したりと、大いに活用したい繰り上げ返済ですが、金融機関によって使い勝手に差がある点は注意が必要です。

まず大きいのが手数料です。多くの金融機関では繰り上げ返済の際に手数料がかかり、金利タイプなどにより数万円の負担になる場合もあります。ただ、金融機関によっては手数料を無料としているケースもあるので、借り換え後に繰り上げ返済を活用しようと考えているなら、そうした金融機関を借り換え先に選ぶことも検討するといいでしょう。

また、繰り上げ返済できる最低限の金額に制限を設けている金融機関や住宅ローンも多いので注意が必要です。例えばフラット35は手数料が無料ですが、1回当たり100万円以上の繰り上げ返済をしなければなりません。逆に制限を設けず1円以上から実行できるケースもあり、手数料が無料なら少額でも繰り上げ返済が可能になります。

最近はネットで手続きすれば繰り上げ返済の手数料を無料にする金融機関も増えてきました。また、返済口座に残しておく金額を指定しておくと、その金額を超える額を自動的に繰り上げ返済する機能を付けたケースもあります。いずれも手軽に繰り上げ返済を活用できる点がメリットでしょう。

金利のミックスで変動リスクを抑える

借り換えを実行する理由として典型的なのは、借りている住宅ローンの金利が相対的に高くなってしまったというものでしょう。たしかに低金利のローンに借り換えれば、毎月の返済額をすぐに下げられるのでメリットを実感できます。ただし、その後すぐに金利が上がって負担が増えてしまったら、なんのために費用をかけて借り換えしたのか分からなくなってしまうでしょう。

そうした失敗を避けるためにも、借り換え先のローンの金利は慎重に選ぶ必要があります。2年固定や3年固定など短期の固定金利で優遇を受けると、一時的に金利が大きく下がるかもしれませんが、金利上昇のリスクも大きくなります。例えば3,000万円を当初2.00%の3年固定に借り換えたとしても、3年後に優遇幅の縮小と金利上昇が重なって適用金利が4%台になったとすると、毎月返済額が3万円以上アップしてしまうケースもあるのです。

そこで借り換え後の金利を3年固定と10年固定とで半分ずつに分けたとすると、3年後の返済負担の上昇も半分の1万5,000円強に抑えられます。このように変動金利や短期の固定金利と、固定期間が比較的長い金利とを組み合わせる返済ができるかどうかも確認したいところです。

金利切り替えのしやすさも重要

また、金利の切り替えやすさもポイントです。変動金利や短期の固定金利で借りていたとしても、金利が上昇し始めたときに素早く長期の固定金利に切り替えれば負担増を最小限に抑えることが可能だからです。切り替えに伴う手数料負担が軽い金融機関や、翌月の金利水準が早めに公表されるケースなら見直しもスムーズでしょう。

このように借り換え後の金利選びは重要ですが、借りた後の金利の見直しや組み合わせがしやすいローンを選べば、金利が変動したときにも機動的に対応できます。その意味で、金利を切り替えるルールや手数料、どの程度の金利の組み合わせが可能かといった点は、借り換え先を選ぶときに確認しておきたいところです。

住宅ローンの借り換えは数百万円の金利負担を軽くできるケースもあるだけに、借り換え先選びも重要になります。最近はホームページで借り換えの試算ができる金融機関も増えているので、手数料や金利選択のルールなども含めて比較検討してみることをお薦めします。

(おわり)

執筆者紹介 : 大森広司氏(OIKOS代表)

主な略歴 : 住まい研究塾(sumaken.jp)主宰。『住宅情報マンションズ』、『住宅情報タウンズ』、『注文住宅』、『Good リフォーム』、オールアバウト「マンション入門」など情報誌やネットで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』『マンション購入 完全チェックリスト』(ともに日本実業出版社)、『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。

提供 : ソニー銀行

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