2010年6月、FXオンライン・ジャパンの代表取締役社長 CEOに、新しくアンドリュー・マッケイ氏が就任しました。今回は、マッケイ氏にイギリスで産声を上げたIGグループの戦略についてお話を伺いました。

聞き手 : IGグループはイギリスで産声を上げて、徐々に業容を拡大していったのですね。

マッケイ : 前回も申し上げましたが、IGグループは今から30年以上も前から、CFDのマーケットに参入しています。といっても、CFDのオンライン取引がスタートしたのは1998 年からのことです。CFDの取扱をスタートさせたのは1974年から。当時はまだ電話での取引にも対応しておらず、営業担当者を介してのトレードでした。

IGグループが設立されて初めて扱ったCFDは、金(GOLD)でした。当時は通貨規制があり、金の取引に規制がかけられていました。自由な売買ができなかったのです。そこで、IGグループは金のCFDを考案し、金現物取引の代替ではありますが、CFDを介して金の売買ができるようにしたのです。ちなみにIGグループの「IG」とは、Investors Goldの略です。

このように、金のCFDから取扱をスタートさせ、徐々に株式CFDを扱うようになりました。そして今の取扱銘柄数は、約1万銘柄ほどです。

また取引方法については、前述したように、最初は営業担当者を介して売買注文が発注されていましたが、1990年代に入ってからは、電話での取引が主流になっていきました。そして、1998年からはインターネットなどオンラインでの取引がスタート。どんどん顧客数も増えていきました。今にして思えば、ずいぶんと幼稚な取引システムだったわけですが、それでも当時、業界内では革新的だったことを思い出します。

というのも、投資家が直接、取引所にアクセスするツールを手にすることができたからです。たとえば、それまでは米国の株式を売買しようと思ったら、証券会社に高いコミッションを支払って、注文を取引所につないでもらう必要がありました。あるいは先物取引であれば、先物ブローカーにつなぐ必要があり、そこでやはり高いコミッションを支払わなければならなかったのです。

でも、CFDのオンライン取引が登場したことによって、極めて低いコミッションで取引できるようになりました。実質的には、証券会社や先物ブローカーを介さずに、直接、取引所に注文をつないでいるのと同じコスト感覚で、取引に参加できるようになったのです。

聞き手 : イギリスの個人投資家は、CFDをどのように活用しているのでしょうか。

マッケイ : 大部分は短期トレードのためのツールとして、CFDを活用しているようです。長期投資は投資信託やヘッジファンドを活用して、プロに運用してもらう一方、短期トレードについては、自分でコントロールできる運用をするということで、CFDを投資対象にしているのです。

また、昨今の経済情勢から考えると、低金利続きで利息収入が得られないことから、銀行預金よりもCFDを活用して、自分でリターンを狙うという個人の方も増えてきています。

さらに、もう少し熟練した個人投資家になりますと、自身が大量の現物株式ポートフォリオを保有している場合など、目先、株価が下げそうだという局面で、CFDの売りポジションを持ってリスクヘッジをするというケースもあります。

特にイギリスでは、株価下落局面でCFDを活用する人が増えてきています。実際、マーケットが下落する局面では、非常にCFDは活用しやすい性質を持っています。レバレッジを効かせることによって、少額資金でもリスクヘッジに対応することができますし、流動性もあるからです。

これは、日本の個人投資家の方々も是非、見習っていただきたい点です。日本人の場合、どうしても株式の売りにはアレルギーを持たれる方が多いようですが、特に現物株式ポートフォリオを持っている方の場合、目先の株価が下がりそうだからといって、いちいち持ち株を売却していたのでは、コストの面でも不利になります。

この点、CFDならローコストで売りポジションを持つことができるので、わざわざ現物株式を処分しなくても、CFDの売りポジションを組み合わせることによって、エクスポージャーを下げることができます。とても便利な仕組みの商品なので、積極的に活用していただきたいですね。

聞き手 : 海外での展開も積極的に行っていますね。

マッケイ : ええ。IGグループ自体はイギリスを発祥にしていますが、投資のグローバル化が進むなかで、積極的に海外進出も行ってまいりました。具体的には米国、オーストラリア、シンガポールなど14カ国に展開しています。結果、当社の月間取引件数は300万件を超えており、イギリスでは業界ナンバーワンの地位を確保しております。こうした海外展開によって、当社では世界各国の金融商品を扱うことができるのです。