2012年は"低コスト航空会社(LCC)元年"だった。ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの3社が相次いで国内線の運航を開始した。そして、この10月には関空と沖縄に予定されていたLCCターミナルがオープンし、"LCC元年"を締めくくった格好になった。

ジェットスター・ジャパン。2012年7月就航。成田 - 札幌・関空・福岡・那覇。関空 - 札幌・福岡・那覇を運航中(国内線のみ表記)

ひと段落したところで編集部では、3社の覆面取材を敢行。100円の格安コーヒーにめぐり合い、風雨の中を搭乗機まで歩かされ、はたまたオリジナルのイケてるスイーツを発見するなどLCCらしい悲喜こもごもの取材となった。このシリーズでは、3社の比較を交えてLCCのいまをレポートしていきたい。

国内線は片道5000円が常識に!?

当たり前だが、飛行機に乗る時にまず調べるのは運賃。LCCには料金表やパンフレットの類はないので、自社サイトで検索して値段を調べる。ピーチが片道250円、エアアジアが片道5円とあり得ないような安い就航記念運賃を出して話題を呼んだが、普段でも空席の多い期間を中心に格安運賃を設定している。

今回の覆面レポートでは、エアアジアの成田→那覇、ピーチの那覇→関空、ジェットスターの関空→成田を利用したが、それぞれの運賃は、4,980円、5,990円、4,680円。搭乗したのが10月下旬と旅行のオンシーズンを外れていたとはいえ、安い。

エアアジア・ジャパン。2012年8月就航。成田 - 札幌・福岡・那覇を運航中(国内線のみ表記)

ピーチ・アビエーション。2012年3月就航。関空 - 札幌・福岡・長崎・鹿児島・那覇を運航中(国内線のみ表記)

また、大手航空会社の普通運賃は成田 - 那覇が4万800円、那覇 - 関空が3万4,200円。55日前が予約期限の「旅割55」でも、成田→那覇が1万4,000円弱と2倍以上。大手には成田 - 関空の定期便はないが、羽田 - 関空は「旅割55」でも1万1,000円前後と、ジェットスターに比べ2倍以上はする。安さにおいては、3社とも期待を裏切らない印象。LCCなら国内線は片道5,000円が常識になったのかと思ってしまうほどだ。

ピーチはウェブチェックイン不可

もちろん安いので即予約した。ただ、支払い方法に違いがあり、エアアジアとジェットスターがクレジットカード決済のみだったのに対し、ピーチはコンビニで支払うこともできた。コンビニへ行くのは二度手間で便利かは分からないが、選択肢が多いのは悪くない。

区間や日付、人数などを入力して料金検索→表示された中なら便を選択→氏名や連絡先などの必要事項を入力(または会員登録)→予約内容を確認し支払い。予約手順に大きな違いはない

また、ピーチだけはウェブチェックインができない。そのため、受託手荷物がなくても必ず空港のチェックイン機に寄らなければいけない。ジェットスターは出発予定時刻の48時間前からウェブチェックインが可能で、エアアジアは予約と同時にできる。ただ、逆にエアアジアはカウンターでチェックインすると1,000円の手数料がかってしまうため、事前にチェックインをすませ搭乗券をプリントアウトした。

受託手荷物はネット予約が必須

それからLCCは、受託手荷物や機内食、座席指定などサービスのほとんどすべてが有料。ピーチの「ハッピーピーチプラス」などのプレミアム運賃を除き、追加料金が必要だ。このあたりの各社の金額の差は小さい。受託手荷物がエアアジアは15kgまで799円~、ピーチは20kgまで1000円~、ジェットスターは15kgまで1000円~。ややジェットスターが割高な印象だが、この差よりも大きいのが空港に行ってからの申し込みで、各社ネット予約に比べ約1.25倍~2倍の値段になるので注意したい。

エアアジアは食事のネット予約あり

事前座席指定は、エアアジアが300円、ピーチが210円、ジェットスターは400円のバウチャー、日時・氏名の変更手数料とセットで900円と大差ない。カードやコンビニ支払い手数料もかかるが、これもエアアジアが150円、ピーチが210円、ジェットスターが210円などと金額は小さく、3社ともあまり変わらない。大手との比較で考えると、これらの追加料金を加えても、大きな金額にはならずLCCの安さは際立つ。

また、エアアジアのみ機内食の事前のネット予約が可能で、機内でオーダーするより10%ほど安くなる。ネット予約のみの食事もあるなど、機内食をセールスポイントにするエアアジアらしいサービスを提供している。なお、エアアジアはSNSやウェブでの広告やセールス展開でも最も積極的な印象だ。

次回はいよいよ空港へ。LCCによって大きく違ってきた空港の利便性をレポートする。