正しい敬語で差をつける

敬語に自信がありますか? と若手の方々に質問するとほとんどの方が「自信ないです」という渋い表情をします。

今回は「~させていただく」「ご苦労様です」など日頃何気なく使っている敬語の使い方をしっかりおさらいします。

日本人であれば基本的に日本語は母国語であることが多いでしょうから、多少敬語が間違っていても通じてしまうため、大人になると注意してくれる人が極端に減ります。しっかり復習しましょう。

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1. 良かれと思って使っているのに、NGな表現

先輩がオフィスに戻ってきた時の一言「ご苦労様です」これはNGです。そもそも「ご苦労様」は立場が上の人が下に何かを依頼した際に「ご苦労だった」とねぎらう時に使う言葉。そう考えると先輩や上司に使うべきではありません。「お疲れ様」が妥当でしょう。注意したいのは「お疲れ様」という表現を嫌う方もいます。「疲れたように見えるのか! 」と思うパワフルな方もいるわけですね。「おかえりなさい! 」などバリエーションを幾つか用意し、相手によって異なる表現ができるように日頃から工夫しましょう。

もうひとつNGな表現は、上司や先輩の話を聴いている時に思わず出てしまう「なるほど」という言葉。この「なるほど」も目上の人に使うのは基本的にはNGです。言い方や関係性にもよりますが、お客様にはもってのほか。本来は同意や納得の気持ちを表現するので、誤りではないのですが、上からの目線に取られてしまったり、傲慢と感じられてしまう可能性も。深く共感して「なるほど…… それは本当に勉強になります」など、心がこもっていれば状況によって許されるかもしれませんが、一言「なるほど」で済ませると印象はよくありません。

ちなみに、「なるほどですね」はさらにおかしな表現なので、使わないようにしましょう。「なるほど、そうですね」を略したものです。使っている方がいても真似ないように気をつけてください。

こちらも「なるほど」に代わる表現、例えば「おっしゃる通りです」「そうでしたか」など相応しい言い回しを幾つか用意しておきましょう。

2. 最近よく耳にする「~させていただく」について

こちらは乱用しないように。そもそも「させていただく」は相手の許しを得て行う自分の動作を謙遜する時に使います。つまり、許可が必要なケースですね。「パスポートのコピーを取らせていただきます」など。何でもかんでも「させていただく」を使うのは控えましょう。

いかがでしたか。敬語は確かに覚えて使いこなすまで難しいと感じることも多いかと思いますが、相手や状況をよく考え、言葉を選ぶことが大切です。前述の通り、関係性や伝え方によっては間違った言葉遣いでもOKになってしまうことも。究極は「何を話すか」よりも「誰が話すか」が大事とも言えますが、話しぶりで信頼度が変わるならば、敬語を勉強して損はありません。ぜひお気に入りの敬語本を探して、学んでいただきたいです。

執筆者プロフィール:北條 久美子(ほうじょう くみこ)

株式会社 キュー 執行役員。東京外国語大学を卒業し、ウェディング司会・研修講師を経て、2007年 エイベックスグループホールディングス株式会社人事部にて教育担当に。2010年にキャリアカウンセラー・研修講師として独立。

同時にダイヤモンドジュエリーを販売するBRILIANCE+を運営する株式会社キューの顧問に就任。現在は執行役員として採用や人財育成に携わる。

■ 株式会社 キュー:http://www.brilliance.co.jp/