起業家の仕事ってどんなものを想像しますか? 「難しそう、大変そう、忙しそう、想像がつかない……」。こんなイメージでしょうか?

  • 起業家の仕事とは?

    起業家の仕事とは?

起業家の仕事とは?

大人になればなるほど、新しいことにチャレンジするのは難しくなりますよね。そのため、自分の経験したことのないものは、自然とハードルを高くしてしまうのです。チャレンジしない自分に対して言い訳できるようにするのでしょうか。慣性の法則と同じで、今の人生をそのままの速度と方向に向かっていってしまうのが、大半だと思います。実際は、そんな難しい仕事をしているわけでも、すごい仕事をしているわけでもありません。

起業家がしている仕事って、普通の会社でサラリーマンの皆さんがやっている仕事と何も変わりません。経理部の方がやっているより、はるかに簡単な経理を一生懸命トライしてみたり、労務管理をグーグルで検索しながら厚生年金事務所に登録してみたり、プロの営業マンが作るトークスクリプトを見よう見まねで自社商品に置き換えてみたり……。

もちろん、会社の規模が大きくなってくれば、プロの経理の方に入ってもらったり、営業の得意な人たちが会社を助けてくれたりするわけですが、それまでは自分ですべての会社機能を担えるようにするわけです。やる業務の「種類が多い」から起業家は大変そうに見えるのでしょう。

このような仕事をしているので、サラリーマンと唯一違うのは、「毎日新しい業務」をしているというところでしょうか。人から「助成金」についての良い情報を聞いたら、自分で検索してみて申し込んでみたり、「M&Aが無料でできる公的機関がある」と話を聞いたらすぐに登録をしに行ってみたり、誰でもやろうと思えば当たり前にできることです。

大抵のことが全社長の通る道

だんだんと会社が大きくなってくれば、「代理店営業をしてみようか」「いや、フランチャイズ展開に挑戦してみようか」とか、「人が多くなってきたから部署を分けて組織化しないと意思が伝わらないなぁ」「みんなが同じ目標を持てるように理念を共有しよう」など、ここまでくればいろんな先輩社長の話を聞いたり、周りの人に教えていただきながら歩を進めたりすることができるようになってきます。

大変なことであっても大抵の社長が通っている道でしょうから、勇気も湧きます。チームが仲間割れしてしまうなどは、普通に仕事をしていても起きることかもしれませんが、例えば「会社のお金を横領された」とかは、もしかしたら社長としてしか経験しないことかもしれません。でも、こんなことですら、どの社長に話を聞いても、「あるあるだね。そのフェーズにきたんだね小茂鳥くんも」と言われます。もちろん、今は反省を活かしてすごい良いチームになっていますし、仕組的にもそんなことはできない状態になっているので笑い話ですが……。

トップ営業ってどんなことするの?

ちょっと話がずれてしまったので、話を元に戻します。結局起業家はどんな仕事をしているの? というところで、「皆さんと変わりません」というのが答えだという話はしてきたのですが、例えば「トップ営業(社長が営業すること)」という言葉があっても、やってることは変わりません。単純に「代表取締役」という肩書きの名刺を持った状態で営業に行っているだけだと私は思っています。

起業当時は3人しかいない中で営業に行ったりするわけなので、普通の大企業の「営業2課リーダー」みたいな肩書きの人よりチームメンバーの数は全然少ないわけです。肩書きによって、ほんのすこしだけ営業がしやすかったり、話の始め方が楽だったりすることもありますが、ただの営業マンですね。

問題は「どれだけの裁量があるか」だと思います。新入社員だと、営業先でお客様がおっしゃっている課題やニーズに対して、どこまで自社で解決をできるのかわかっていない状態だと思います。そのため、営業トークとしても、習ってきたことを披露することしかできません。これではなかなか売れず、お客様と良い関係を築けませんよね?

中堅社員になってくると、お客様のニーズにしっかりとはまる商品を把握できるようになり、そういう営業トークができるようになります。これとまったく同じことがトップ営業では起きるわけです。社長が営業しに行くわけなので、お客様の課題を自社で解決できるか、その場で判断できてしまいます。つまり、「トップ営業=中堅社員の判断力」と変わらないってことです。

もちろん、もっともっと大きな会社になってきたら、「上場企業との取引は社長に行ってもらわないとだめだ」とか、「業務提携の話なので、社長に出てきてほしい」などはあると思いますが、起業した最初の頃は、やっていることは皆さんとまったく変わりません。ハードルを勝手に高くせず、チャレンジしてみるという気持ちを持ちましょう!

次回は、「副業で起業ってできるんじゃないか? 」という私なりのサラリーマン起業家論をお伝えします。

執筆者プロフィール: 小茂鳥 雅史(こもとり まさふみ)

株式会社スパルタ英会話 代表取締役

慶應義塾大学院卒業後、外資系証券会社モルガン・スタンレーMUFG証券に入社。退職後、NPO法人JAVO(ボランティア証明書発行機関)を発足。2年後、《語学で「夢はかなう」の実現》を理念とし、3カ月短期集中型の英会話教室を創業。わずか3年で4本のテレビ出演、 年商を3億円企業へ。会社規模を拡大させ、世界をひとつのビックファミリー にという想いのもと、語学、IT、金融、人材などの6つの会社を束ねる株式会社We&を設立し、代表取締役に就任。

■株式会社スパルタ英会話