「アメリカーノ以上にチャミスル飲んでない? 飲み過ぎじゃない?」

というツッコミ、正解です。韓国ドラマの中でチャミスルのグリーンの瓶を何百本見たか分かりません。ところでチャミスルは商品名で、お酒の種類としてはソジュ(韓国焼酎)。日本ではチャミスルが一番有名なので全部チャミスルに見えますが、実は同じようなグリーンの瓶でも違う商品だったりします。ちなみに『わかっていても』など最近のドラマでよく見かける青い瓶は「真露 is back」という最近発売されたソジュ。急によく見るようになったということは、PPL広告(※第3回参照)なんでしょうね。真露もチャミスルも、同じ会社の商品です。やり手だな。

  • イラスト/みつほし

で、ソジュ。おちょこのような小さなグラスでグイグイ飲んでいますよね。チャミスルの度数は16.9度。小さなグラスとはいえ、ワインよりも強いお酒をずっと一気飲みです。味わっていません。そう、味わっていません(大事なことなので2回言わせて)。韓国の人は、酔うためだけにお酒を飲んでいるのです。正直、韓国ソジュはアルコールを飲んでる感が強くて、お味は微妙。ただ、安い。韓国の飲食店で飲むと、だいたい1瓶500円ぐらいでしょうか。

酔うために飲んでいるので、ドラマの中でもみんな酔っ払い。イヤな出来事があると友だちと一緒にソジュを何本も飲んでグデングデン。恋人のお父さんと心を割って話すときは屋台に行ってベロンベロン。酔っ払うことで嫌なことを忘れようとしたり、心を開いて人との距離を縮めたりするシーンの“あるある度”はトップクラスです。飲みニュケーション、大事文化。

お酒は酔うために飲む。だから、爆弾酒です。ちょっと脈略を失った気もするけど、爆弾酒です。ソジュとビールを混ぜたやつ。あれが爆弾酒。ドラマでもよく見ますよね。飲み会での混ぜるな危険行為。あれは後味が甘いソジュにすっきり炭酸のビールを混ぜることで飲みやすくしたもの。飲みやすいが、酔いやすい。「ガンガン飲んで酔おうぜ!」っていうパリピ思考。全然味わって飲むものではないのです。だから一気飲み。

飲み会といえば、会社の飲み会も多く描かれていますよね。そのときによく見る“あるある”といえば、若い人が横を向いてソジュをクイッと飲む姿。年功序列がしっかりとある韓国では、目上の人に失礼にならないように横を向いて飲む風習があるのです。

もうひとつよく見るのは、何回も乾杯をする姿。誰かがちょっといいことを言ったり、気持ちが高まったときに「コンベ(乾杯)!」と言いながらグラスを合わせて一気飲み。友だち同士だと「チャンッ!」と言いながらグラスを合わせて、やっぱり一気飲み。

年功序列がしっかりあるので、韓国の会社の飲み会はもちろん上司払い。それでも嫌がる若い人が増えているのは日本と一緒で、『キム秘書はいったい、なぜ?』でも、チョン部長が部下を飲み会に誘っては断られる姿がコミカルに描かれていました。「定時になったらスパッと帰りたい」という歌詞が共感を呼んで日本でも話題になった『カルテグン』という曲の中でも「会社の飲み会、嫌すぎる」と明るく歌っています。

韓国ドラマのお酒あるある話はありすぎるので、次回はお偉い人の“お酒あるある”についてご紹介します!

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