前に乗った韓国・ヒョンデの電気自動車(EV)「IONIQ5」も相当よかったのだが、中国・BYDが日本に投入する電動SUV「ATTO3」に乗ってみると、こちらもかなりいい線をいっているクルマのようだった(まだ15分しか運転できていないのだが)。なにせ、いろんな部分が独特なのだ! 輸入車といえばヨーロッパかアメリカという意識でいたのだが、EV時代には考えを改めなければならないのかもしれない。

  • BYDのEV「ATTO3」

    BYDが日本に投入する乗用車第1号「ATTO3」に乗った!

色も形もめずらしい車内

試乗したのはBYDが2023年1月に日本で発売するSUVタイプのEV「ATTO3」(アットスリー)。横浜の赤レンガ倉庫で開催中のイベント「RED BRICK BEACH 2022 presented by BYD AUTO JAPAN 」で試乗会を開催しているのを幸い、紙ドライバーも運転させてもらった。

  • BYD「ATTO3」

    試乗会は11:00~17:00で実施中(10:30受付開始)。試乗受付は会場のみ、1日12枠(1枠30分)限定だ。現場には「ATTO3」のほか、セダンの「SEAL」とコンパクトカーの「DOLPHIN」も展示してある

乗り込んでみると、車内の色づかいとか素材感とか、各パーツの形状だとか、目にするものの多くがユニークだ。スタイリッシュとも奇抜ともいえる独特な雰囲気だが、はっきりいって嫌いではない。なんだか、いかにも新しいクルマに乗っているという気分になってくる。

  • BYD「ATTO3」

    試乗したのは「ATTO3」のオーストラリア仕様。まだ完全なローカライズは済んでいない車両だったのだが、ウインカーのレバーが右にあるなど日本向けの調整が施してあった

  • BYD「ATTO3」

    まずはスペックを確認。横幅1,875mmは日本だと気を使う場面があるはず

  • BYD「ATTO3」

    運転席のドアを開けると…普通じゃない!

  • BYD「ATTO3」

    これがドアを内側から開ける際に操作するドアハンドル。パチンコのハンドルみたいな動かし方をする

  • BYD「ATTO3」

    この赤いものは弦。つま弾くと音が鳴るが、何か機能的な意味があるのかは不明。「ATTO3」の内容はスポーツジムのイメージであり、「スポーツ&ミュージック」というテーマもあるそうだ

  • BYD「ATTO3」

    この色づかい、この曲線、エアコン吹き出し口のこのデザイン…。見るもの全てがめずらしい

  • BYD「ATTO3」

    インパネのディスプレイはボタンひとつで90度回転し、画面が縦長になる。スマホライクな機能だ。地図(ナビ)を見る場合、縦長の方が行く先の把握がしやすかったりするので、いい工夫だと思った。ちなみに「ATTO3」はアンドロイドのOSを積んでいるそうだから、アプリを落とせばこのディスプレイでいろいろなことができるはずだ

  • BYD「ATTO3」

    シフトレバーは右側の黒いボタンを押し込んで上下して操作。「P」はボタンを押し込む方式。左下は回生の強弱、右下は走行モード(エコ、スタンダード、スポーツ)を選択するためのつまみ

  • BYD「ATTO3」
  • BYD「ATTO3」
  • メーターは小さいが、特に支障はなかった

EVはどれに乗っても、たいがい速くて静かだ。加速力には違いがあるし、風切り音やロードノイズが車内に入ってくる具合にも差があるが、総じて速くて静かなのは間違いない。それと、たぶんバッテリーを車体の下に敷き詰めていて重心が低いからだと思うのだが、乗り心地もしっとりとしていてスムーズなクルマが多い。ATTO3も速くて静かで乗り心地のいいEVだった。ほかのEVとの違いとして、回生ブレーキの効き(アクセルペダルを戻した際の減速具合)が弱かったことはお伝えしておきたい。これは好き好きであって、良し悪しの問題ではないと思う。

EVはたいがいがいいクルマなのだが、何かユニークな部分がないと正直、あまり印象に残らないという部分もある。いろいろなEVに乗るので、とがっていないとちょっと埋没してしまう。そんな中でヒョンデのIONIQ5もBYDのATTO3も、独特な雰囲気で印象的なクルマだったのは確かだ。最近だと日産/三菱の軽EVとかフィアット「500e」、少し前だとホンダの「Honda e」などもキャラが立っていて、記憶に残っている。

BYDは日本に100カ所のディーラー網を整備するそうなので、日本市場参入への本気度は高そう。日本での価格設定はまだ不明だが、「byd atto3 australia price」で検索してみると「44,990AUD」からというのが出てきたから、日本円だと420万円ちょっとという計算になる。日本はオーストラリアよりも中国に近いから、輸送費などを考えると、もっと安くなるのかもしれない。品質面でも価格面でも、日本の自動車メーカーはうかうかしていられないのではないか、という気がする。