前に乗った韓国・ヒョンデの電気自動車(EV)「IONIQ5」も相当よかったのだが、中国・BYDが日本に投入する電動SUV「ATTO3」に乗ってみると、こちらもかなりいい線をいっているクルマのようだった(まだ15分しか運転できていないのだが)。なにせ、いろんな部分が独特なのだ! 輸入車といえばヨーロッパかアメリカという意識でいたのだが、EV時代には考えを改めなければならないのかもしれない。
色も形もめずらしい車内
試乗したのはBYDが2023年1月に日本で発売するSUVタイプのEV「ATTO3」(アットスリー)。横浜の赤レンガ倉庫で開催中のイベント「RED BRICK BEACH 2022 presented by BYD AUTO JAPAN 」で試乗会を開催しているのを幸い、紙ドライバーも運転させてもらった。
乗り込んでみると、車内の色づかいとか素材感とか、各パーツの形状だとか、目にするものの多くがユニークだ。スタイリッシュとも奇抜ともいえる独特な雰囲気だが、はっきりいって嫌いではない。なんだか、いかにも新しいクルマに乗っているという気分になってくる。
EVはどれに乗っても、たいがい速くて静かだ。加速力には違いがあるし、風切り音やロードノイズが車内に入ってくる具合にも差があるが、総じて速くて静かなのは間違いない。それと、たぶんバッテリーを車体の下に敷き詰めていて重心が低いからだと思うのだが、乗り心地もしっとりとしていてスムーズなクルマが多い。ATTO3も速くて静かで乗り心地のいいEVだった。ほかのEVとの違いとして、回生ブレーキの効き(アクセルペダルを戻した際の減速具合)が弱かったことはお伝えしておきたい。これは好き好きであって、良し悪しの問題ではないと思う。
EVはたいがいがいいクルマなのだが、何かユニークな部分がないと正直、あまり印象に残らないという部分もある。いろいろなEVに乗るので、とがっていないとちょっと埋没してしまう。そんな中でヒョンデのIONIQ5もBYDのATTO3も、独特な雰囲気で印象的なクルマだったのは確かだ。最近だと日産/三菱の軽EVとかフィアット「500e」、少し前だとホンダの「Honda e」などもキャラが立っていて、記憶に残っている。
BYDは日本に100カ所のディーラー網を整備するそうなので、日本市場参入への本気度は高そう。日本での価格設定はまだ不明だが、「byd atto3 australia price」で検索してみると「44,990AUD」からというのが出てきたから、日本円だと420万円ちょっとという計算になる。日本はオーストラリアよりも中国に近いから、輸送費などを考えると、もっと安くなるのかもしれない。品質面でも価格面でも、日本の自動車メーカーはうかうかしていられないのではないか、という気がする。