連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。
【相談内容】
将来の夢はマンション経営。そのため、5年後を目標に不動産購入を検討中。しかし、勤務先が赤字で収入はなかなか上がらず、ボーナスもゼロで、貯蓄が思うようにできないのが悩みです。まずは、家計管理からと思ってはいますが、もともと整理整頓が苦手で、家計管理も得意ではありません。財形貯蓄以上の財テクができないでいるのですが、どのようにしたら貯蓄を増やしていけるようになるでしょうか?
【プロからの回答です】
家計の整理として、最初に取り組むべきことは、仕事で使用した金額と家計にかかる金額の把握と分別管理です。出張などの費用、集金時の交通費などは領収書(またはコピー)をとっておき、会社から振り込まれたときに必ず確認することを習慣付けることが、家計を把握する上でも大切です。
投資用マンションを購入する場合、ほとんどの方がローンを組むことになります。マンション経営は家賃でローンを支払うつもりで、購入の際、頭金ゼロで諸経費のみを用意し融資を受けるケースも多いです。ただ、購入に際しては、物件価格の2割程度の頭金をしっかりと備え検討した方が安心であることは言うまでもありません。
(※詳細は以下をご覧ください)
必要なお金を備えたいと思いながらも、日々の生活に追われなかなか思うように貯蓄が進まなくてという方は少なくありません。しかし、鈴木様には5年後にマンションを買いたいという夢があります。必ず実行したいという強い思いを、お金を貯める原動力に、「貯まる体質」に変えていきましょう。
夢への一歩は 家計の把握から
ひとり暮らしでは、決められたお給料でやりくりをしながら生活をしていくため、お金のことを真剣に考えると思います。鈴木様は節約することは難しいと言われますが、工夫をすることでこれまで使ってしまった分まで楽に貯められるようになることもあります。工夫の積み重ねからお金の知識ややりくりの技が身についていきます。
夢のマンション経営の実現に向けて、一歩ずつ前進できるよう、まずは家計の整理と計画的な積立を考えましょう。
家計の整理として、最初に取り組むべきことは、仕事で使用した金額と家計にかかる金額の把握と分別管理です。出張などの費用、集金時の交通費などは領収書(またはコピー)をとっておき、会社から振り込まれたときに必ず確認することを習慣付けることが、家計を把握する上でも大切です。もし不明な点があれば、そのままにせず何月何日に振り込まれた分がいつ請求した分かなど、経理担当者に確認することをためらわないようにしたいです。請求して振り込まれたお金は別口座へ移し、家計の口座と分けて管理することをお勧めします。
マンション経営への予備知識
投資用マンションを購入する場合、ほとんどの方がローンを組むことになります。マンション経営は家賃でローンを支払うつもりで、購入の際、頭金ゼロで諸経費のみを用意し融資を受けるケースも多いです。ただ、購入に際しては、物件価格の2割程度の頭金をしっかりと備え検討した方が安心であることは言うまでもありません。
頭金ゼロだと、購入後の環境の変化への対応が難しくなるからです。鈴木様が検討中の中古物件でも、購入後2割程度値下がりすることは想定しておく必要があるでしょう。ローンに頼り、ローン残高がマンションの時価を上回る状況が続くことも予測しておかなければなりません。賃料が滞りなく入っている場合には心配ありませんが、何が起こるかわかりません。空室状況が長引くこと、給与収入の減少などにより、返済が難しくなり、売却して清算しようという状況もあり得ないことではありません。そのような時、ローン残高が時価を上回っていると、売るに売れません。売れたとしても残債の金額を用意しなくてはなりません。
マンション経営には、資金計画と経営シミュレーションが欠かせません。そのため、自己資金や年収、資産状況と金融情勢を基に予算を算出してくれるようなしっかりとした業者を選びましょう。経営シミュレーションでは家賃に対してローンと毎月の諸経費のバランス、入居者不在リスクへの対処、年収の変動などを考慮し、ローンを払い終えるまでの経営を試算する必要があります。毎月の支払いが家賃収入を大幅に超えるような払い方は 後々苦しくなっていきます。築年数が上がるにつれ家賃を下げざるを得ない状況が発生するなど、起こり得るリスクを十分に織り込み、厳しく見積もることが大切です。
整理整頓を無理なくこなすには
では、具体的にどのようにすれば無理なく家計管理を続けることができるでしょうか。
手軽に入力整理ができる方法として、家計簿アプリなども数多くあります。Zaim(利用料 / 無料)やココマネなど鈴木様が利用しやすいツールを試してみるのもひとつです。レシートの日付、電話番号、商品名、金額が入るように撮影すると家計簿に入力されるなど、忙しい方には便利な機能もあります。費目ごとに分けるのが煩わしく感じることがあれば、利用したお店ごとでも構いません。細かく厳密に記そうとすると長続きしないため、日用品や食品を一緒に購入したとしても、同じお店で購入したものは「食費」として計上してもよいです。ただ、この費目ごとの支出を収入に対する割合で決めて、それ以上は使わないと規定を作ることをお勧めします。
貯蓄は先取りして口座を予め分けてしまわないと決して貯まりません。そのため、鈴木様の貯蓄額を増やすステップとして以下をご提案します。
ステップ1:先に収入の15%の34,500円を財形貯蓄へ移します。…残りの金額の中で、主にレジャー費、雑費(日用品等)、お小遣いをやりくりしていくことになります
ステップ2:そのやりくりができたら、次は、レジャー費、雑費は収入の5%を、お小遣いは10%を目安として現状の支出額を抑え、使えるお金を制限します。その範囲内で工面する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。この目安内でのやりくりに成功すると34,000円を捻出することができます。現在の19,000円の収支金額に仮に30,000円上乗せすることができれば、年間約59万円、5年後には300万円近くに。このように数字目標を明確にしておくことも、貯蓄を実行する際に大切なことです
こうして計画的な貯蓄をした実績が出来ると、大きな買物に踏み切るチャンスに近づけることだけでなく、将来にわたって家計管理に自信を持つことができるでしょう。まずは、できることから始めてみましょう。
<著者プロフィール>
(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 村松祐子
大学卒業後、大手証券会社に勤務。外国株式部、投資コンサルティング部、調査部を経て、資産運用コンサルタントからFPへ転身。子どもから大人へ投資と学習の普及を中心に、ライフ&マネープランの相談・執筆・セミナーなどで活動中。