ここ数年、再び注目を集めている怪談やホラー。怪談イベントが各地で行われ、2025年に公開されたホラー映画『近畿地方のある場所について』は、興行収入15億円を突破する人気ぶりだ。SNSでも、誰かの“ちょっと怖い”が「わかる……」「これ私もある」と共感を呼んで話題になることが多く、怪談はむしろ自分の気持ちをそっと代弁してくれるフォーマットとして浸透しつつある。
連載『本当にあった…読者の実話怪談・奇談』は、マイナビニュース会員や読者から寄せられた「実際に体験した怪談・奇談」をもとに4コマ漫画化。背筋が寒くなる瞬間、誰にも信じてもらえないような不思議な出来事を“物語”として再現する(一部変更の可能性あり)。今回お届けするのは、「謎の声」の体験談。
読者の“ぞっとする”体験談「謎の声」
「本当にあった…読者の実話怪談・奇談」を1話から無料でイッキ読み!
一人暮らしをしていた頃のこと。夜中、眠っていた女性の耳に、どこからともなく声が響いた。
(アブナイ!)
「えっ、今の声……?」と目を覚ました瞬間、視界の端に“赤い揺らぎ”があることに気づく。
「わっ!」
暖房器具からの出火か? すでに上がっていた小さな炎を、慌ててなんとか消火に成功する。
胸をなでおろしながらも、女性の頭にひとつの疑問が残る。
「さっきの声は……誰?」
確かに聞こえた“アブナイ”のひと言。あの声がなければ、火事になっていたかもしれない。“謎の声”の正体とは……。
普段なら気づかない小さな音や違和感が「何かの声」として脳が察知することは珍しくない。それは、生理的な防衛反応の一種なのかもしれないし、あるいは偶然が重なった“奇跡のタイミング”なのかもしれない。
火災の危険に気づけた理由に明確な答えはないが、こうした体験談は、“自分を守ってくれる何かがいるのでは”と感じさせる不思議な力を持っている。
現実の防災意識と、人が持つ直感の働き――その境界で生まれる物語が、怪談として語り継がれていく。
怪談は単なる“怖い話”にとどまらず、日常の不安や人間関係の機微を映し出す鏡でもある。近年はSNSで誰もが身近な「小さな怪談」を共有できるようになり、怖さよりも“共感”が広がる場面が増えた。今後も、私たちの生活の中に潜むささやかな違和感や心の揺れを、怪談というフィルターを通して見つめ直す機会が増えていくのかもしれない。
調査時期: 2025年7月25日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
