「翔太が自閉症とはっきり診断されたのは5歳でした」……Fucoママ(渡部房子)の末っ子長男・翔太さんは、1988年6月15日生まれ。療育手帳B、知的障害を伴う自閉症の青年です。言葉の理解は「教えても教えても限界あった」そうですが、現在、翔太さんは地元の一般企業に障碍者枠でパート社員として就職し、19年目を迎えています(2025年10月現在)。
生きるとは、働くとは、幸せとはなにか考えるシリーズ「生きる、働く、ときどき病」。今回はそんな翔太さんの成長記録を、『自閉症の息子が自立して生きる道』(KADOKAWA)よりお届けします。
■視線も合うし後追いもする、ごく普通の赤ちゃん
翔太が生まれたのは1988年6月15日。妊娠40週、正常分娩でした。体重3540グラム、身長48.8センチ。
6歳違いの姉・可奈子、2歳違いの姉・江里子につぐ、末っ子長男の誕生に家族はみんな大喜び。特に、同居していた義父が、初めての男の子に「跡継ぎができた!」と言って喜んでくれました。
名前は、夫と私が好きな字であったことから「翔」の字を選び、太く翔べという願いを込めて「翔太」と命名。
その願いどおりすくすくと育ち、首がすわったのは生後1カ月と15日。あやすと笑ったり、見えない所から声をかけると顔を向けたりしていました。
寝返り4カ月、お座り5カ月、ハイハイ7カ月と、上の姉たちよりも早い成長ぶりで、やっぱり男の子だからかなと感心したほどです。
授乳は哺乳瓶の乳首を嫌がって口から出してしまうので、粉ミルクは使えず母乳だけ。授乳中は私の目をしっかり見つめていました。
この完全母乳のせいか、私から離れようとせず、よく泣き、音に敏感ですぐに起きてしまう赤ちゃんでした。
当時、家業を手伝っていた私は産後1カ月で仕事に復帰し、昼間は義母に翔太を見てもらっていたのですが、とにかく後追いがひどいので(トイレにも抱っこして行っていたくらい)義母も私も困ってしまい……。6カ月くらいの頃、『となりのトトロ』のビデオを見せたら、1時間以上じーっとお座りしておとなしく見てくれていたのには大助かり。その後もしばしばビデオの力を借りたりしていました。
伝い歩きをしたのは生後9カ月。その頃の母子手帳には「人見知りをして、音にも反応する」と書いてあります。人見知りについてはどんな状況だったのかよく覚えていませんが、姉たちが弾くピアノの音が聞こえると「うーうー」と歌うような感じで声を出していたことは覚えています。
体の発育が早く順調に育っていたので、言葉が出ないことが気になるくらいで、それも個人差だろうと心配なことなどありませんでした。

