健康管理の一環として関心が高まっている「腸活」。バランスのよい食生活や適度な運動など腸内環境を整えることによって、体調や肌、ダイエット効果が期待できます。

今回、マイナビニュース会員に「腸活をしていますか(していましたか)?」と質問したところ、約6割が「はい」と回答。また、「はい」と回答した人に腸活方法について聞いたところ、「腸に良い食事をする」「ストレッチや軽い運動をする」「腸マッサージ」「腸活サプリ」などの回答がありました。しかし、「そもそも何から始めたらいいのか分からない」「この腸活方法で合っているのか」など、悩みを抱える人も多いようです。

そこで今回は、マイナビニュース会員から腸活に関する悩みを募集し、医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センターの中路 幸之助先生にお答えいただきました。

長期間サプリを飲んでいても問題ないのでしょうか。またサプリと合わせて行った方がよい効果的な腸活について教えてください (女性/41歳)

中路先生:ヒトの腸管(主に大腸)には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息していると言われています。それらは、以前より善玉の菌と悪玉の菌、そのどちらでもない中間の菌の3グループで構成され、そのなかで一番数が多い菌は中間の菌であり、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数とされていました。しかし、最近の腸内細菌に関する遺伝子解析の手法用いた腸内細菌叢の研究で、単に善玉菌・悪玉菌とは分類できず、「門」などの細菌の種類による分類で腸内細菌は大まかに5つ程度の型に分けられるのではないかということがわかってきました。またその人の腸内細菌叢は親からの遺伝の他に幼少期の食習慣などの環境因子が関係していると言われてきています。このようにまだまだよくわからないことが多く、興味のつきない腸内細菌叢の話ですが、この腸内細菌叢を健やかに保ち、健康に役立たたせる目的ためのサプリメントが、「腸活サプリ」です。

サプリの種類や効果とは?

中路先生:まず、便秘への効果のある「腸活」サプリメントは、食物繊維やオリゴ糖などの腸内細菌の餌となるプレバイオティクスやビフィズス菌などの善玉菌が含まれたサプリメントがあります。食物繊維はそのまま腸にたどり着き、便の水分を増加させて柔らかくし排便をスムーズにします。またオリゴ糖は、消化・吸収されにくいため、腸の不要物質を吸着して、体外に排出する効果があります。そして排便を促す働きもあり便秘を解消します。アレルギー症状への効果がある「腸活」サプリメントは、乳酸桿菌などの善玉の腸内細菌を中心したサプリメントが有用です。免疫細胞を活性化させ、細菌やウイルスなどの病原菌から身体を守ります。アレルギー疾患の一因として、悪玉菌などの腸内細菌がつくる有害物質の影響が考えられています。サプリメントで腸内環境を整えることで、これらの有害物質を減少させる効果があります。ダイエット目的の「腸活」サプリメントは、腸内細菌の餌である食物繊維と乳酸球菌などの善玉菌が配合されたシンバイオティックスが良いと思います。腸内に乳酸球菌などのコレステロールを下げる菌を増加させることで、太りにくい体質に変わります。また食物繊維は、食後の血糖値の上昇をゆるやかにしたり、脂質の排出をうながす効果があります。

飲むタイミングは? ほかの薬と併用しても大丈夫?

中路先生:飲むタイミングはそれぞれのサプリメントにより異なります。たとえば、乳酸菌などは腸内細菌は夜に活溌になるので寝る前に飲んだ方が良いなど、いずれも飲むタイミングはサプリメントの成分が一番よく効く時間帯となり、説明書で確認しましょう。またこれらのサプリメントは医薬品と違い成分や含有量や品質に規制や基準がありません。アレルギーやサプリメントの説明書をよく確認し、定期薬との飲み合わせなどで少しでも疑問があったり、飲んでいて体調不良があれば薬剤師やかかりつけ医に相談しましょう。

サプリと合わせて行った方がよい腸活は?

中路先生:まず、バランスの良い食事です。腸内フローラは1000種類以上の腸内細菌から構成されていているといわれ、その多様性が確保されていることが必要です。偏食で腸内のフローラの多様性が低下することは、便秘などの便通異常の原因となります。高脂肪食(肉食)を控えること、野菜や発酵食品を多くとり、バランスの良い食事を心がけましょう。また運動には腸内の善玉菌を増やす効果があります。無理のない、ストレッチやウォーキングなどの運動をこころがけましょう。ストレスは腸に悪い影響を与えます。中国の故事に「断腸の思い」があるように、「脳腸相関」といって、脳と腸はお互いに関係しています。ストレスは睡眠不足、過食、アルコール摂取の増加などをきたし、腸内フローラが乱れる原因となります。腸内環境をよくするためには、リラックスする音楽を聴いたり、アロマでリラックスしたり、無理のない運動をしてみたりしてストレスをためないようにしましょう。

監修ドクター:中路 幸之助先生

1991年兵庫医科大学卒業。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医/日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医


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