あの伝説の『秘密戦隊ゴレンジャー』から35年。スーパー戦隊シリーズの35周年記念作品となる最新作の『海賊戦隊ゴーカイジャー』は、歴代全てのスーパー戦隊に変身できるというアクロバティックな設定で大いに盛り上がり、早くも傑作との呼び声が高い。今回はそのヒロインの一人、ゴーカイイエローに注目してみたい。

市道真央
1992年2月1日生まれ。大阪府出身。O型。身長158cm、スリーサイズはB82・W58・H82。趣味は漫画、アニメ、絵画、写真、裁縫。特技はソフトボール、ダンス、ピアノ。テレビ朝日系『海賊戦隊ゴーカイジャー』ルカ・ミルフィ/ゴーカイイエロー役で人気を博す。6月10日にはファーストDVD『a distant shore』、写真集『遠い渚』が同時発売される。 拡大画像を見る

最初にぶっちゃけておくと、ゴーカイジャーは国民的な人気漫画『ワンピース』の物語設定とキャラクター造詣を豪快に取り込んでいる。「宇宙一のお宝」を探して帝国を敵に回しながら旅をする海賊集団というプロットは、宇宙を舞台としたワンピースそのものだ。大食いで無鉄砲で仲間思いなゴーカイレッドのキャラクターは、ワンピースにおけるルフィを明らかに意識しているし、複数の刀を駆使するクールな剣士のゴーカイブルーはゾロの役回りだ。滅ぼされた星のお姫様だったというゴーカイピンクは、アラバスタ王国の王女ビビが元ネタか。

いずれにしても、主人公5人のキャラの描き分けが歴代戦隊の中でも群を抜いて上手く出来ているのは、ワンピース研究の成果だろう。正義のために戦う従来のヒーロー像とは一線を画した「宇宙海賊」というアウトロー・キャラは見事に成功し、宇宙海賊といえばお笑い芸人「ゴー☆ジャス」のことだと信じて疑わなかった日本人の先入観を覆した。

ゴーカイイエローことルカ・ミルフィは、ワンピースの最重要ヒロインであるナミに相当するキャラクターだ。男勝りの勝ち気な性格で、お金や宝物に目がない守銭奴。お宝をゲットするためには手段を選ばない、イカサマの達人。これまでのスーパー戦隊のヒロインとしてはかなり異色な存在で、一歩間違えば憎らしいビッチになりかねない。昭和的な「正義の味方」からはほど遠い、そんな困難な役柄を、キャンディーズのスーちゃんや全盛期の天地真理を彷彿させる昭和テイストなアイドル顔の市道真央(平成生まれ)がクールかつキュートに演じきり、魅力的なヒロインとして成立させているところに、この番組の奇跡がある。

実際、市道真央にしかルカは演じることはできなかったのでは? と思うくらい彼女はハマっていて、昭和と平成、悪女と正義、大胆さと繊細さ、そういった相反する要素が彼女の中で奇妙に調和している。生身のアクション・シーンもかなり頑張っていて、その存在感は他に代えがたいものがある。6月にはDVDと写真集が発売されるそうなので、今後はグラビアアイドルとしての豪快な活躍も期待したい。

真実一郎

サラリーマン、ブロガー。『SPA!』(扶桑社刊)、『モバイルブロス』(東京ニュース通信社)などで世相を分析するコラムを連載。アイドルに関しても造詣が深く、リア・ディゾンに「グラビア界の黒船」というキャッチコピーを与えたことでも知られる。著書に『サラリーマン漫画の戦後史』(洋泉社刊)がある。ブログ「インサイター