入社1年目で知っておきたい「ビジネススキル」とはどのようなものでしょうか? 時間管理やコミュニケーション、PCスキルなど、会社や業界を問わず、身に着けておくと役立つスキルをチェックしていきましょう。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクターであり、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを行う木部智之氏の著書『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より、一部を紹介します。

第10回は、「『ホウレンソウ』は上司のため、自分のため」です。

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「ホウレンソウ」は上司のため、自分のため

社会人になったら真っ先に、研修や先輩から「ホウレンソウ」を叩き込まれると思います。すなわち、「報告・連絡・相談」です。

しかし、私自身は新人時代に「ホウレンソウ」はほとんどしていませんでした。その理由は明確で、「結果を出せば途中の報告なんていらないでしょ」と思っていたのです。生意気なヤツでした。

そんな私が、本書でホウレンソウを書くのは自戒を込めてです。ホウレンソウの重要性に気づいたのは、入社13年目のときでした。

当時私は、システム開発のプロジェクトで400人くらいのグループのリーダーをしていました。その直属のチームで精力的に働いているメンバーが、いいことも悪いこともこまめに報告してくれたのです。最初は、そんなに報告しにこなくてもいいのに、と思いながらも、次第にそれが安心感に変わり、頼りにするようになりました。

上司が気にしているのは問題発覚が遅れること

その安心感とは、何か問題が起きたときには必ずホウレンソウをしてくれるだろう、というものです。上司やリーダーが恐れているのは、問題が起きたことがタイムリーに共有されずに、手遅れになってから発覚する、ということなのです。

一方、そのメンバーの隣には、あまりホウレンソウをしてこないメンバーがいました。彼は優秀な若手で必ず結果は出してくるので、与えたミッションはやり遂げるだろう、という信頼感もありました

が、一方で結果が出るまでは「うまくいっているのだろうか」という不安もぬぐいきれませんでした。

そのときに、「これはまさに、私自身が若い頃に先輩に抱かせていた気持ちだったのではないか?」と気づいたのです。

ホウレンソウの2つの目的

つまり、ホウレンソウは、組織やチームを管理している上司や先輩を安心させるためにするのです。私もこれに気づいてからは、適度にホウレンソウをするようになりました。ただ、「適度」というのがポイントです。過度にホウレンソウをすると、それは上司や先輩にとって負担になってしまうからです。自分も負担になります。

そして、ホウレンソウのもうひとつの目的は、自分の仕事を邪魔されないためです。ホウレンソウがないと、不安に思う上司や先輩は、「状況はどうなっているのか?」と頻繁に聞いてくることがあります。そうなると、手が離せない状態でも、それを中断して説明しないといけなくなり、効率が悪くなります。

自分からホウレンソウをするのであれば、自分の都合のいいタイミングで行うことができます。上司に安心してもらう、自分の仕事を邪魔されない、というホウレンソウの本質さえつかんでおけば、「適切なホウレンソウ」をすることができるでしょう。

  • 『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より

『入社1年目のビジネススキル大全』

  • 『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)

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著者:木部智之
発売日:2022年5月11日
ISBN:9784837928904
価格:1760円
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