「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第128回のテーマは「お母さんと子どもの写真問題」です。
「子どもの写真を撮ってばかりで、自分と子どもの写真が少ない」というお母さんの声を聞くことがあります。お父さんの趣味がカメラだったりすると、お母さんと子どもの写真ばっかりになりそうですが、私が主にママの方から話を聞くので、そういう声が多く感じるだけかもしれません。お父さんにしろお母さんにしろ、みんながスマホを持っていていつでも写真が撮れるようになった今、自分のカメラロールに自分がいないのは普通のことかもしれないですね。
ちなみに私は「自撮りの家族写真」をよく撮ります。だいたいどこへ行っても必ず撮るようにしています。自撮りって自分で撮られてるのが分かるので、ちゃんとよそ行きの顔をするし、納得した状態で撮るじゃないですか。なので後から「こ、こんなハズでは……」みたいな事故が起こりにくい。自撮りは撮られた人みんなが「どんな写真か」が分かるからいいですよね。
かたやパートナーが撮る私。これが毎回すごい。気を抜いている普段の私はこんな感じなのか……と思います。だいたい自分の思っている5倍くらい怖いです。そして強そう。めっちゃ強そう。
私は息子が5才くらいまでは、外出先で寝ちゃったら抱っこして運搬していたのですが、その写真もめちゃくちゃ強そうなんですよ……。たまにママ友から、「子ども連れだと変な人に絡まれて……」という話を聞きますが、私はあまりそういう経験がありません。我が家はわりと子連れのときはパートナーと一緒に行動することが多いので、「やっぱり男性がいると絡まれることは確率的に低いよね」なんて思っていたのですが、このめちゃくちゃ強そうな人(私)に絡んでくる人は少ないのでは……と思うくらい、強そうでした。
寝ている5才児を抱っこするときは、「武道の心得」を使うようにしていました。私は空手歴18年、黒帯弐段です。子どものお尻を自分の腰あたりに据えて(簡易抱っこ紐みたいなものを使っていました)お腹に力を入れ、背筋を伸ばし、肩を落とし、足は肩幅。これは一番力が使える合理的な「立ち方」なんですけど、そうやって立ってるだけでめっちゃ強そうなんですよね……。あと、子どもは寝てるので重い。重いから抱っこしている私の顔が険しい。「殺気を放っているのかな? 」というほどの眼光の鋭すぎる私が写っていました。
でも、それ以外の私もだいたい強そうです。お花見やピクニックであぐらをかいて座ってる写真をみると、まるで牢名主。ただ子どもの後ろに立ってるだけの後ろ姿もなんか怖い! 夏におうちプールで子どものために水風船を一心不乱に作っている私の顔も、ものすごく険しかった……。
「気にしすぎかな? 」と思ってパートナーに聞いたら、「いや、いつもだいたい怖いよ? 」と言われました。むしろ、自撮りでにっこりしている私のほうが幻だったんでしょうか!?
まあ、ぱっと見で弱そうなのよりはいいのかもしれないですが……。第122回「いつだって『今』の私が一番若い」で、子どもが小さいとき「つけ込まれないように」とミニタリーっぽい服を着ていた話を書きましたが、最近は花柄のワンピースを着ていても、パートナーが知らないうちに私を撮っている写真では、だいたい強そうです……。悲しい。もうちょっと痩せたらいいのかもしれないですね。貫禄が増しているのも原因のような気がします。
とはいえ、この「パートナーが撮る自分はイケてない問題」というのはあるあるっぽいので、どうも私だけではないようです。世の中のみなさん、自分のパートナーを撮るときはイケてる感じで撮ってあげてほしい……!!
最近「出産直後の妻の写真をSNSに夫がアップする」ことがネットで話題になりましたが、出産だけじゃなくて、いつでもパートナーの写真は本人に許諾を得てSNSにアップしてほしいものです。私は家族の写真を友達限定でシェアするときは、パートナーに「この写真載せてもいいかな? 」と聞くようにしています。子どもの写真をSNSでシェアする是非はよく話題になりますが、パートナーの顔も私のものではないので、写真をSNSにシェアすることに関してはなるべく気をつけるようにしています。
今回のコラムで私が凹みまくっている「怖い自分」は、家族で見るための写真です。パートナーが毎月ネットプリントサービスでフォトブックを作っているのですが、これは別に不特定多数に見せるわけではないので、パートナーはとくに「この写真を使うよ」などと聞きません。なので、フォトブックを見ては私が「ウワー! 」とダメージを受けているのです。
それとは別に、我が家では液晶付きのスマートスピーカーに写真をスライドショーできるようにしてあります。その写真の管理は私のアカウントでしているので、そこでの家族写真はだいたい私の自撮りです。なのでリビングで私が「私が怖い! 」と凹むことはありません。
最近、パートナーがスマホを買い換えました。最新のスマホは、自撮り用のサブカメラがすごく広角になったんですよ! そんなわけで、パートナーも最近自撮りで家族写真を撮ってくれるようになりました。なのできっと、これから先のフォトブックの私は、イイ感じににっこりしている写真になる……ハズ。さらなる技術革新で、後ろ姿でも気を抜いてる状態でもいい感じの補正をしてくれるようになったらいいな……。素敵な家族写真をこれからも残したいと思います……!
新刊『骨髄ドナーやりました!』
(少年画報社刊/税別950円)
初代骨髄バンクアンバサダーの俳優・木下ほうかさんも「『ちょっと人の命を助けて来るから!』。こんなカッコいいことを言い放つお母さん。私はこんな最強マンガを待っていました」と絶賛する書籍が発売!! 日本骨髄バンク完全監修の爆笑必至の骨髄ドナー体験マンガです!
夫婦揃って献血が好きで、骨髄ドナーに登録しているさるころとノダD。2人は事実婚・共働きで息子を育てています。夫のノダDは今までに3回骨髄ドナーにマッチングをしていて、3回目で骨髄提供をしました。そんなある日、骨髄バンクから届いた書類をよく見ると、なんと今度は妻のさるころが骨髄ドナーにマッチングしたお知らせでした……! 非血縁ドナーのマッチング確率は数百~数万分の1とも言われており、骨髄ドナーは登録してもマッチングするとは限りません。そんな中、なんと夫婦で2年連続ドナーを体験。そんな激レアなn=2のリアルガチな体験談をあますことなくお届けします! 詳しくはコチラ
著書『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/税込1,100円)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉めごとあるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。くわしくはコチラ
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。