今回のテーマは「球根」。球根から育てる野菜ではニンニクやタマネギなどが有名ですが、これ以外にうこん、わけぎ、ネギなどもあります。イモ類は「種イモ」と呼ばれるように厳密には球根ではありませんが、植える前に切り分けるなど、種子とは違うプロセスが面白そうです。今回は3~4週間で収穫可能な「二十日ネギ」の球根と、「ジャガイモ」にチャレンジしてみました。どちらも2月中旬~3月がまき時なので、今ならホームセンターやJAでも入手しやすい品種です。

二十日ネギの球根は180g入りで400円。「わけぎ」との違いが良く分かりません…

「肉じゃが」のコピーに惹かれてホッカイコガネを選択。フレンチフライにも良いそうだ

球根の基本

球根とは根や茎に養分を蓄えた部分で、受粉を経てできる種子が「次世代」なのに対し、クローンの形で自身を増加させる「球根」は、新たに生えた芽も「同世代」となるのが最大の違いです。

「二十日ネギ」の球根は幅1.5センチ×長さ3センチほどの小粒で、通気性の良いネットに入った状態で販売されていました。取り出してみると、にんにくのように小さい粒に分かれた構造になっています。小さい粒は「子球」と呼ばれ、子球が独立していくタイプを「自然分球」と言います。子球どうしが根の部分でつながっていても手で簡単に分けられますので、植える前に子球を切り分けておきましょう。

二十日ネギは万能ネギのように小柄なネギなので、株間も5センチ程度あればOKなため、小さな鉢でも栽培可能です。植え付け期は周年(1年中)とされていますが、沖縄原産の野菜なのでこの季節は少々厳しそうですね。鉢も小さくできるので、暖かい室内で水耕栽培してみることにしました。

ジャガイモは「ホッカイコガネ」という品種を用意しました。品種によって差があるものの、1kgで3~500円ぐらいが一般的なようです。種イモとして販売されているものの、ネットに入っていることを除けば、スーパーで見かける食用のジャガイモと大きな違いは見つかりませんでした…。こちらはベランダで土耕栽培することにしましょう。

形・大きさともに「らっきょう」のような二十日ネギの子球

普通のジャガイモと区別がつかない種イモ。園芸用なので食べるのはNGですこ

ジャガイモは、株間を30センチ以上開けないといけないので、かなり広い面積が必要になります。また、土中に実ができるので、プランターならなるべく深いものを使いたいところです。

対して、わが家のベランダは増え続けるプランターで足の踏み場も無く、洗濯物を干すのも一苦労な状態です。 オレ的定番の「アイリスオーヤマ・ベジタブルプランター深型650」【http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=G111860F】を使って豊作を狙いたいところですが、これ以上大型プランターを増やすと家庭不和につながりかねません…。そこで今回は直径約40センチの「ベジタブルポット深型 12号」【http://www.irisplaza.co.jp/Index.asp?KB=SHOSAI&SID=G150340F】を使用することにしました。

置き場所は「ベジタブルプランター深型650」の半分以下ながら、深さは38センチほどあるため根菜には最適です。培養土もこれ以上増やす訳にもいかず、小松菜の収穫後に放置していた土を再利用することにしました。

ベジタブルポット深型12号は、直径約40cmとコンパクトながら29リットルの大容量が魅力

ダイコンやサツマイモなど長い根物もOKです

古い土を再利用するには?

培養土の再利用は(1)消毒(2)土質の改善(3)肥料の追加、の3ステップが必要です。

まず(1)消毒は、撤収した植物の根や鉢底石を取り除きながら土をビニール袋に入れ、袋の口を閉じた状態で1~2週間日光消毒し、その後に新聞紙などに広げて乾燥させるのが一般的です。最初にプランターの排水口に栓をして、田んぼのように土を水没させて空気を遮断すると、より効果的と言われています。

乾燥後の土は粒が細かくなってしまい、このまま水分を与えると泥状になり、水はけの悪い土壌になってしまいます。

そこで、粒の大きい「赤玉土」や「パーライト」「バーミキュライト」などの鉱石を混ぜて通気性を確保するのが常とう手段です。

その後は「石灰」や「苦土石灰」で酸度の調整、腐葉土や油かすなどの肥料を追加して養分を補給します。しかしながら、混ぜる比率を間違えると逆効果になる場合もありますし、消毒の弊害として植物に必要な細菌や微生物までもが失われていることを忘れてはいけません。

配合を変えながらあれこれ試すのも楽しそうですが、多大な時間と労力が必要です。

通気性の良い赤玉土もだんだん崩れて粉状になってしまうので、シーズン毎に補給が必要だ

左から乾燥後の土、赤玉土、リサイクル材。乾燥後の土は粒が細かいのが分かる

なるべくテマをかけたくないっ!という方には、消毒後の土に混ぜるだけで(2)(3)を省略できる「再生材」がオススメです。

今回は「はなごころ・ふっかふかによみがえる古い土のリサイクル材」【http://herb.hanagokoro.co.jp/cataloga.nsf/pages/08680】を利用してみました。

排水性を高める軽石と木炭、酸度を調整する石灰、栄養補給には牛ふんや木質堆肥(たいひ)が含まれているので、あれこれ買いそろえる必要はありません。また、石灰や肥料を使った土作りは、植えつける前に2週間程度なじませる必要がありますが、このリサイクル材は直後に植え付け可能なので時間が無い人にもお勧めです。

古い土(4):リサイクル材(1)の比率でよく混ぜるだけなので、30リットルの土も15分ほどで再生完了しました。

「再生材」「リサイクル材」と商品名は異なるが、5リットルで6~700円ぐらいが一般的

肥料もジャガイモ専用を用意。与えすぎるとイモの味が落ちるので控えめに

リサイクル後の土には大小の粒と繊維質が含まれ、水はけも保水性も良さそうだ

まき方のポイント

二十日ネギの球根は子球に分け、外側の枯れた皮を取り除いてから植えます。すべて取り除かなくても、手でむける範囲で構いません。細いネギなので、少々過密ですが直径15センチの5号鉢に3株植えることにしました。

ポイントは、子球の先端が少し見えるぐらいに浅く植えることです。十分に水を与えてから、第5回【http://pre.news.mynavi.jp/series/hochi/005/index.html】で紹介した保温BOXで25℃をキープしたところ、2日後に3株そろって発芽しました! 短期間で収穫できる品種だけに発芽も早く、初めての方でも手軽に楽しめそうです。

ジャガイモは切ることで刺激が与えられて発芽しやすくなると言われますので、卵大の種イモなら2つに、それ以上の大きさのものは3~4つに包丁で切り分けます。

表面のくぼんだ部分から芽が出るので、ここを避けてカットしてください。切り口は土中で腐敗しやすいので「石灰」や「草木灰」を塗って消毒してから、切り口を下に向け5センチぐらいの深さに植えれば完了です。

ジャガイモの切り口に塗る草木灰はカリウムや石灰が含まれるアルカリ性で、土質改善にも使われている

草木灰で切り口をコーティング。「塗る」よりも「押し付ける」感じでしっかりと付けておこう

新しいイモは種イモの上にできるので、種イモはなるべく深く植えたいところですが、あまり深いと発芽が遅れ成長が悪くなってしまいます。

そのため、種イモは浅めに植えて速やかに発芽させ、十分に成長してから5センチほど土を追加する「土よせ」をおこない、新しいイモが深く植わった状態にします。そのため、プランターいっぱいに土を入れておくと、後の土よせができなくなってしまいますので、縁よりも7~8センチ低い状態にしておきましょう。

ジャガイモの発芽は少し時間がかかりそうで、残念ながら新芽を撮影することができませんでした。少し暖かくなったころにはご紹介できると思いますので、請うご期待。

わずか2日で発芽した二十日ネギ。1つの子球から4~5本生えてきたので収穫量も期待が持てそうだ

連日の寒さのせいかジャガイモは発芽の気配なし…

おまけ

夏にむけてゴーヤの種まき。とがった部分をカットしておくと発芽しやすくなります。

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