トンネルの非常口は、避難坑や反対車線のトンネルにつながっています。トンネル内で事故が発生した場合、安全にトンネル内から外部へ避難するために利用します。
非常口は、トンネルの長さと交通方式(対面交通なのか、上下線が分離しているか等)によって、設置する基準を決めています。全てのトンネルに非常口があるわけではなく、約750mの間隔で設置されています。
そのため短いトンネルには非常口はありません。例えば、関越道の関越トンネルやアクアラインの東京アクアライントンネルといった長大トンネルに非常口が設けられているのです。
非常口あれこれ~(1)アクアライン
アクアラインは、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾を横断する高速道路です。
川崎側の9.6 kmがアクアトンネルと呼ばれる海底トンネル、木更津側の4.4 kmがアクアブリッジと呼ばれる橋になっており、その境の人工島には海ほたるPAが設けられています。 アクアブリッジは、日本第1位の長さの橋梁であり、アクアトンネルは、関越トンネル・山手トンネル・飛騨トンネルに次ぐ、日本第4位の長さの道路トンネルです。
アクアラインの道路の下には3つの空間があります。この中央が避難経路となっています。
また、この部分は消防車や救急車といった緊急車両が走行することが可能です。
しかし、この避難経路が狭いために通常の緊急車両は通行することができません。そこで、アクアラインでは専用の緊急車両を配備しているのです。
非常口あれこれ~(2)青梅トンネル
青梅トンネルは、東京都羽村市と青梅市にまたがる首都圏中央連絡自動車道(圏央道)にあるトンネルです。トンネル断面が鶏卵の形をしていることから、別名「タマゴ型トンネル」とも呼ばれています。
全長は2,090mで、上りと下りの各2車線が上下に重なる2階建て構造で4車線を構成しており、上り線が上階・下り線が下階となっています。
上下線とも設置されている非常口から非常階段につながっていて、有事の際はトンネルから階段を上って地上に出られます。
下り線のトンネルは地下23m、ビルでいうと地下5階に相当する位置にあります。そこから階段を154段上り、扉を開けると地上にある公園に出ます。
トンネルの長さは入り口前の標識に、トンネル名と一緒に表示されているので、これから通るトンネルがどれくらいの長さなのか、非常口はあるのかをチェックしてみるのもいいかもしれませんね。