東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+472円55銭となりました。

今週の高値は4月10日(金)の2万6円ちょうど、一方、安値は6日(月)の1万9241円29銭。高安の値幅は764円71銭でした。日経平均株価は取引時間中としては約15年ぶりに、心理的な節目となる2万円台を回復する場面もありました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

4月6日(月)の東京株式市場は反落しました。前週末に米国で発表された3月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比12.6万人増と市場予測の24.8万人増を大きく下回りました。週末の米国市場が休場だったため、雇用統計の影響を最初に受けることになった東京市場は、朝方から売り先行で始まり、日経平均株価は序盤に-193円となる場面もありました。ただ下値では、堅調な企業業績や、公的年金などによる買い期待が強く、押し目買いも入るなか下げ幅を縮める展開となりました。雇用統計発表後の米国市場の動向を見極めたいとの向きもあり、大型株は軟調だったものの、中小型株は堅調に推移し、東証2部指数、日経ジャスダック平均株価は年初来高値を更新しました。一方、イースター休暇で海外市場が休場ということもあり、東証1部売買高、売買代金共に今年最低の水準となっています。

TOPIX業種別指数は、鉱業、その他製品、食料品、サービス、医薬品、小売、情報通信など9業種が上昇。海運、保険、ガラス・土石、繊維、機械、自動車、金属など24業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反落となっています。

7日(火)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場は、雇用統計の悪化を織り込み済みとして、ダウ工業株30種平均株価は+117ドルと続伸しました。その流れを引き継いだ東京市場も買い優勢で始まり、前場はじりじりと上げ幅を広げる展開となり、日銀金融政策決定会合が開催されるなか「追加の金融緩和に踏み切る」との思惑もあり、相場全体が堅調に推移しました。なかでも主力銘柄が買われ、大型株指数の上昇率は1.34%と中型株の0.94%、小型株の0.48%を上回りました。TOPIX業種別指数は鉱業、石油・石炭、鉄鋼、保険、金融、非鉄、銀行、卸売など32業種が上昇。一方、空運の1業種のみが下落。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

8日(水)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が下落したものの、東京市場は買い先行で始まりました。3月期企業の決算発表が本格化する4月下旬を控え、好業績に対する期待感も強く、日経平均株価は堅調に推移しました。後場に入ると、収益率の拡大が期待できる主力銘柄を中心に買いが広がり、日経平均株価の上げ幅は一時、+204円となる場面もありました。日銀金融政策決定会合で、現状維持が決定されたとの報道が伝わると、追加の金融緩和期待していた向きから利益確定売りが出たものの、売り一巡後は押し目買いの動きへと変わりました。日経平均株価は2000年4月14日以来、約15年ぶりの高値となっています。

TOPIX業種別指数は鉱業、電気・ガス、小売、石油・石炭、医薬品、サービス、食料品など29業種が上昇。一方、自動車、ゴム、紙・パルプ、保険の4業種のみが下落。

日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

9日(木)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が小幅に上昇した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方は日経平均株価が小幅高で始まりました。オプションSQ(株価指数オプションとミニ日経平均4月物)算出日を翌日に控え、前場から先物に買いが入り、先物主導で日経平均株価も上昇する展開となりました。後場の序盤には1万9957円(+168円)まで上昇する場面もあり、心理的な節目である2万円に肉薄する気配を見せました。ただ、東証1部の騰落銘柄数では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を下回り、主力銘柄や一部の内需関連銘柄を除くと、軟調に推移する銘柄の多さが目立ちました。指数トレード的な側面も否めない展開となるなか、結局、日経平均株価は+122円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数は、その他金融、食料品、医薬品、小売、サービス、精密、ゴムなど24業種が上昇。一方、鉱業、石油・石炭、繊維、陸運、銀行、金属など9業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。

10日(金)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が上昇するなか、東京市場は寄り付き直後に日経平均株価が心理的な節目である2万円台に乗せる場面もありました。取引時間中としては2000年4月17日以来、約15年ぶりの2万円台回復となり、目先の達成感から次第に利益確定売りが広がり、日経平均株価はマイナスに沈みました。4月物のオプションSQ値が2万8円47銭となるなか、日経平均株価は終始この値を上回ることがなかったためこのSQ値は『幻のSQ値』となりました。後場に入ってからも前日の終値を挟んでプラスとマイナスを行ったり来たりの展開が続き、結局、日経平均株価は-30円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数は小売、情報・通信、金属、建設、ガラス・土石、石油・石炭、証券の7業種が上昇。一方、医薬品、海運、倉庫、電気・ガスなど26業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに4日ぶりの反落となっています。

来週の予定です。4月13日(月)には2月分の機械受注統計が発表となります。15日(水)にはOECD(経済協力開発機構)が対日経済審査報告書を公表します。欧州ではECB(欧州中央銀行)理事会の結果が発表されます。16日(木)と17日(金)にはG20(20カ国・地域財務省・中央銀行総裁会議)が開催されます。いずれも、ぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。