いよいよ最終回となる今回は、これまでお伝えしてきた「回す力」を、実践的に身につけるためのトレーニング法をご紹介します。

さらに、就職後のキャリアも見据えた「回す力」の発展的な活用法についてもお伝えしていきます。

「回す力」を磨く3つのステージ

Stage 1:日常会話でのトレーニング

友人との何気ない会話を「練習の場」に

・相手の話にプラスαの反応を意識する
・質問で会話を広げてみる
・話題を他のメンバーにつなげる

(実践のポイント)
×:「へー、そうなんだ」で終わる
○:「それって、こういうことかな?」と解釈を返す

×:話を聞くことに集中するだけ
○:次の展開を意識しながら聞く

Stage 2:サークル・ゼミでの実践

小規模なグループ活動を「シミュレーションの場」に

・ミーティングでの発言を工夫する
・意見の対立を調整する役を買って出る
・新しい企画を提案してみる

(実践のポイント)
×:自分の意見を押し通そうとする
○:メンバーの意見を組み合わせて提案する

×:消極的な参加に留まる
○:積極的に議論の調整役を担う

Stage 3:アルバイト先での応用

実際の職場を「実践の場」に

・お客様の要望を丁寧に聞き取る ・同僚との情報共有を意識する ・改善提案にチャレンジする

(実践のポイント)
×:言われた仕事だけをこなす
○:周りの状況を見て自主的に動く

×:個人プレーに終始する
○:チームワークを意識した行動を心がける

就活直前期の実践的トレーニング

1.模擬GDへの参加

・就活仲間と練習会を開催
・大学のキャリアセンターの活用
・就活セミナーへの参加

(実践のポイント)
・異なるメンバー構成で複数回経験する
・議論の内容より「プロセス」を意識する
・終了後に互いにフィードバックを行う

2.ニュース・時事問題の活用

・話題のニュースについて考察する
・様々な立場からの意見を整理する
・自分なりの解決策を考える

(実践のポイント)
・単なる情報収集に終わらせない
・複数の視点から検討する習慣をつける
・「なぜ?」「どうすれば?」を常に考える

内定後~入社後を見据えて

1.「回す力」が真価を発揮する場面

新入社員研修でのグループワーク
・部署内のミーティング
・プロジェクトチームでの活動
・他部署との協働
・顧客との打ち合わせ

2.ビジネスパーソンとしての発展

「人を回す力」の発展

GDでの共感・傾聴

部署内での信頼関係構築

社内外での良好な人間関係の確立

「場を回す力」の発展

GDでの議論活性化

チーム内での建設的な議論促進

組織全体のコミュニケーション向上

「グループを回す力」の発展

GDでの合意形成

プロジェクトでの目標達成

組織の変革推進

「回す力」を磨き続けることの意味

社会人になると、立場や役割に応じて求められる「回す力」のレベルは変化していきます。

入社1-3年目

チームの一員としての「回す力」
・先輩社員との円滑なコミュニケーション
・同期との協力体制の構築
・基本的な会議運営スキル

中堅社員(4-9年目)

プロジェクトを推進する「回す力」
・チームのマネジメント
・部門間の調整能力
・企画立案・実行力

リーダー層(10年目以降)

組織を導く「回す力」
・ビジョンの共有と浸透
・組織の活性化
・変革の推進

就活生へのメッセージ ~その先の未来に向けて~

GDは確かに就活の重要な関門ですが、それは単なる「通過点」に過ぎません。

むしろ、GDは「回す力」を本格的に磨き始める「きっかけ」として捉えてください。なぜなら、ここで身につける「回す力」は、あなたがこれから歩むキャリアの中で、ますます重要性を増していく核となるスキルだからです。

変化の激しい時代において、一人の突出した能力や判断だけで組織の成果を最大化することは難しくなっています。

これからは、多様な意見を統合し、チームの総合力を高められる人材が、一層重要な存在となっていくでしょう。

そして、そのベースとなるのが「回す力」なのです。

今はGD対策として意識的に取り組んでいる様々なテクニックも、やがては自然な形であなたの中に定着していきます。

そうなったとき、あなたは必ず、周りから必要とされる存在になっているはずです。

その確信を持って、今は目の前のGD対策に、そして、その先の未来に向けて「回す力」を磨き続けていってください。

きっと、素晴らしい未来があなたを待っています。