敗者復活戦からの優勝を遂げたサンドウィッチマン然り、『M-1グランプリ2007』の「準決勝進出組」は実力派揃い。中でも今、ブレイク間近と注目なのが、流れ星。舞台の上ではいつも裸足、突拍子のないキャラで一気に客をつかむボケ担当ちゅうえいと、優男の風貌ながら本気の往復ビンタでつっこむ瀧上伸一郎の小気味いい漫才は、爆笑オンエアバトルでも16戦全勝するなど話題沸騰中。そんな流れ星のコンビ結成のきっかけやアルバイト時代のエピソードを訊いた。

――芸人を志したきっかけは?

流れ星のちゅうえい(左)と瀧上伸一郎

瀧上伸一郎(以下、瀧上) : 「もともと僕らは高校の同級生でして」

ちゅうえい(以下、ちゅう) : 「岐阜の斐太高校なんですが、『白線流し』で有名な学校の文化祭で、5人組でコントをやったんです」

瀧上 : 「雨上がり決死隊さんの単独ライブのネタをパクったんです(笑)」

ちゅう : 「コピーバンドどころじゃない、モロパクリ(笑)。それがあまりにもウケてしまったもんだから、2人ともお笑いでやっていけるんじゃないかと勘違いしたのが始まりで。高校を卒業して大阪の美容師学校に通っていた瀧上を、浪人していた僕が誘いました」

瀧上 : 「お前しかいない、と言われてね」

ちゅう : 「実際は文化祭のメンバーを順番に誘っていって断られ、4番目に誘ったのが瀧上だったんです(笑)」

瀧上 : 「東京でやるか大阪でやるか、賭けたんです。ちゅうえいが東京の大学に合格したら東京で、全滅したら大阪でお笑いをやろうと。それで、結果はどうなったんだっけ」

ちゅう : 「19校受けて、1校に補欠合格!」

瀧上 : 「それだけ受けたら、どこか受かるやろ。賭けになってねえ。しかも補欠って」

ちゅう : 「通ったのは『あすなろ白書』の舞台になった大学で、お笑いよりキャンパスライフを謳歌しちゃいました。その代わり、瀧上がお笑い方面を頑張ってくれまして」

瀧上 : 「お前が誘ったのにな」

――ネタはどちらが考えているんですか?

ちゅう : 「結成時からずっと瀧上ですね」

瀧上 : 「2年前くらいに気付いたんですよ。ちゅうえいがホン(台本)を書かないのは能ある鷹が爪を隠してるわけじゃないんだと。書かないんじゃなくて、書けないんですよ」

ちゅう : 「いやいや、瀧上はネタ作りの才能があるんです。顔芸をしたりする僕のことをすべて分かった上で、僕を生かすネタを書いてくれる」

瀧上 : 「まあGLAYで言ったら、彼がTERUで僕がTAKUROみたいな。TERUの美声を活かす歌詞を影ながら書いていきたいなと(笑)」

ちゅう : 「とにかく僕らは正反対の人間なんですよ。プライベートも、女性の好みも、やってたアルバイトの種類も」

――どんなアルバイトを経験しましたか?

ちゅう : 「瀧上は破天荒なバイトしてましたよ」

瀧上 : 「サパークラブっていう、男性客の多いお水のお店で働いてました。女性を同伴してきた男性客を盛り上げる仕事で」

ちゅう : 「無茶ぶりされるんだよな」

瀧上 : 「例えばヤクザの親分さんから『お前ら、何か面白いことやれよ』と言われるんです。従業員10人中7人はお笑い芸人だったので、もう無茶苦茶やってましたね。割り箸の先におしぼりを巻いて火をつけて、それをお尻に挿しながら『もののけ姫』の歌を唄うとか」

ちゅう : 「親分さんに気に入られて、ネクタイをもらってましたよ。取り巻きに嫉妬されるくらい」

瀧上 : 「でも今となってはお笑いの勉強になりましたね。全体を見る目とか、場の読み方とか。サパークラブを、さんま御殿に見立ててましたから」

ちゅう : 「僕はお笑いとは関係なく、結婚式の配膳係を黙々とやっていました。それも格式高い明治記念館で」

瀧上 : 「そういえば何も面白いエピソード聞いたことないけど」

ちゅう : 「そそうをしてはいけない仕事なんだよ。ボケちゃいけなかったわけで」

瀧上 : 「ボケていい仕事なんてないよ(笑)」

ちゅう : 「ツッコミの瀧上が波乱万丈な毎日を送る一方で、ボケられないボケ担当なんて……」

瀧上 : 「あの髪型ならウケたかもね。僕、元フォークダンスDE成子坂の桶田さんと一緒に暮らしてたことがあって。他人の髪の毛を切りたがる桶田さんに、ちゅうえいがカットされたんですよ」

ちゅう : 「袴田吉彦みたいな髪型がいいって言ったのに、頭のてっぺんがハート型にくりぬかれてて(笑)。あの頭で配膳やってたら、笑い取れただろうなあ」

――今後はどういう活動を?

瀧上 : 「僕らは2人とも、流れ星という会社の社長みたいなものなんです。だからピンの仕事もどんどんやって、売れた方が流れ星を引っ張っていければいい」

ちゅう : 「そういやピンの番組が始まるらしいじゃねえか……」

瀧上 : 「NHK教育の『リトル・チャロ』という英会話の番組です。これからは英語でツッコんでいくから」

ちゅう : 「その前にギャラを半分に分けろよ!」

瀧上 : 「いや、それはできないね(笑)。今後の目標はシティーボーイズですね。あの年齢でもなおステージは満席で、しかも新しいことに挑戦されてる。僕らも流れ星らしいことを平均してやるより、新しいことにチャレンジしていきたいですね」

ちゅう : 「テレビのバラエティもな。もっと人と絡んでいきたい」

瀧上 : 「じゃあ、最後に締めますか」

ちゅう・瀧上 : 「はい、流れ星(決めポーズ)!」

流れ星 プロフィール

ちゅうえい 1978年7月29日生まれ。岐阜県出身。A型。脈絡のないシチュエーションとキャラでつかみを取るボケ担当で、野性味あふれる立ち振る舞いが持ち味。ネタ中に出てくるオリジナルソングを自作している。 瀧上伸一郎 1978年12月12日生まれ。岐阜県出身。B型。氷川きよし然とした甘いルックスにファン多し。その雰囲気から想像できない本気のビンタは、ときに相方をパンチドランカーにさせる。
出演情報 : 3月31日より『リトル・チャロ~カラダにしみこむ英会話~』(NHK教育)にレギュラー出演(瀧上のみ)。4月5日より『エンタの味方』(TBS)レギュラー。4月8日に流れ星と三拍子のトークライブ『猫と花』。4月22日に浅井企画主催・若手ライブ「お笑いダイナマイトショー」