FXは、買い注文または売り注文を出してポジションを保有し、決済を行うことで利益または損失が確定する取引です。ただし、FXの注文方法にはいくつか種類があり、基本的なものから、ある一定条件に達すると自動的に決済を行ってくれる便利な方法まで様々あります。

こうした注文を上手く使いこなすことで、自分が相場を見ていない間にも利益を得るチャンスを逃さず、また、損失を拡大させないといったメリットが受けられるのです。今回は、FXの基本的な注文方法についてまとめてみましたので、まずはこちらをマスターしてみてください。

FXの基本的な注文方法

成行注文

株式投資でもおなじみの「成行注文」「指値注文」。そのうち成行注文とは、レートを指定せず、現在の為替動向を見ながら注文を出し、その注文がFX会社に届いた時点で約定するという方法です。すぐに注文が出せて売買も成立しやすい方法ですが、為替は常に変動しているため、正確にはいくらで約定するか分からないという点には注意が必要です。値段にこだわらずすぐに売りたい・買いたいという場合には有効な方法と言えます。

インターネット取引では、為替レートに「買値(Bid)」と「売値(Ask)」の2つの値段が表示されますので、そのうちいずれかをクリックすれば成行注文が成立する仕組みです。例えば、買値が1ドル=105円50銭、売値が1ドル=105円55銭の時、成行で買い注文を出せば1ドル=105円55銭で買うことができ、成行で売り注文を出せば1ドル=105円50銭で売ることができるというわけです。ただし先述の通り、為替変動によって思っていたより不利な条件で約定する可能性もあります。なお、FX会社によっては、「成行注文」以外の名称が使われていることもあります。

指値注文

指値注文は、「この価格以下で買いたい」「この価格以上で売りたい」という希望がある場合、その値段を指定して注文を出す方法です。その値段になるまでパソコンの前で待ち構える必要がないため、便利な方法ですね。例えば、相場が1ドル=105円前後で推移している時、1ドル=106円まで上がったら売りたいとすれば、「1ドル=106円で指値売り」の注文を出しておきます。反対に、相場が1ドル=106円前後で推移し1ドル=105円まで下がったら買いたいとすれば、「1ドル=105円で指値買い」の注文を出しておきます。

ただし、為替が自分の思った通りに動かない場合、指値注文を入れておいてもなかなか約定しないこともあります。特に、指値のレートが現在の為替レートとかけ離れていると、その分取引が成立する確率は低くなりますので、その点には注意しておきましょう。

逆指値注文はどんなシーンで使う?

逆指値注文

逆指値注文とは、指値注文とは逆に、「この価格以下で売る」「この価格以上で買う」と指定する注文方法です。不利なレートで注文を入れるように見えるこの注文ですが、一定の利益を確保したり、損失の拡大を抑えたりするために使われる方法なのです。例えば、1ドル=103円でドルを買い、1ドル=106円までレートが上がったとします。その時、1ドル=105円で逆指値注文を入れておけば、レートが下がった場合でも2円分の利益を得ることができます。なお、相場が予想通りさらに上がった場合には、逆指値注文もつり上げていくことで利益を伸ばしていくことが可能になります。

一方、損失を限定する使い方もあります。例えば、現在1ドル=104円である相場が上昇傾向にあると見込んで買い注文を入れたとします。しかし、もし予想が外れて相場が下がり続けてしまった場合には、そのままでは損失がどんどん膨らんでしまうことになります。そうした事態を避けるため、「1ドル=103円まで下がったら売る」という逆指値注文を入れておけば、1円分の損失に抑えることができるのです。このように、損失を食い止めるという意味で、こうした注文方法を「ストップロス注文(ストップロスオーダー)」と呼んでいます。

さらには、上昇トレンドや下降トレンドに乗るための使い方もできます。為替相場は、一度動き出すと一定方向に上昇や下降を続ける傾向があるため、上昇トレンドが来たら買い注文を、下降トレンドが来たら売り注文を出すといった具合に、トレンドを予想してあらかじめ注文を入れ、利益を狙うといった方法もあります。

FXには様々な注文方法があり、相場の状況に応じそれらを使いこなすことで、利益を追い求めていくことができます。また、それ以上に大切なのは、確実に損切りを行い、資金を守ることができるという点です。相場を読み取り、それに合わせた適切な注文を入れ、利益を増やしていきましょう。


成行注文
レートを指定せず、現在の為替動向を見ながら注文を出し、その注文がFX会社に届いた時点で約定する注文方法

指値注文
「この価格以下で買いたい」「この価格以上で売りたい」など、指定した値段になると自動的に取り引きするよう注文を出しておく注文方法

逆指値注文
「この価格以下で売る」「この価格以上で買う」と指値注文の逆の指定をしておく注文方法

ストップロス注文(ストップロスオーダー)
予想と反対に相場が下がった時などに、逆指値注文などで損失を食い止められるよう注文しておくこと


筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。