家庭教師を有効に活用するには?

前回は、わが子にとって最適な家庭教師の選び方をご紹介しました。では、いざ家庭教師に来てもらったら、どのようなことがしてもらえ、どのような点に気をつけなければならないのでしょうか。

合格までの道筋を描いてもらう

家庭教師をつけたら、はじめにやってもらいたいのは「テスト対策」。テストで弱い分野を指導してもらってください。

その結果成績が上がると、「この教科は得意かもしれない」と子どもに自信がつくからです。そのタイミングで、親も子どもをほめる。講師にも「ほめてあげてくれますか」とお願いしてみてください。まず、子どもの勉強に対するモチベーションが上がります。

そして、志望校合格までのスケジュールを立ててもらいましょう。家庭教師に指導してもらう最大の利点は「志望校合格までの道筋が描ける」ということ。マンツーマン指導なので、志望校で出る問題の傾向に対して、その子の課題は何なのかを見抜くことができます。苦手な分野があれば、得意な分野でどこまで点数を稼ぐ必要があるのか。そのような戦略まで立ててくれます。その上で、学習スケジュールも示してもらいましょう。長期スケジュールだけでなく、学期ごとのスケジュール、週間のスケジュールまで細かく出してもらえたら安心ですね。

また、大手集団塾で出される課題やテキストの仕分けもお願いできると思います。受験問題を幅広く網羅している集団塾が提供する課題の中には、志望校合格に必要のないものもあるからです。心配なこと、不安なこと、何でも要求してみましょう。

学習内容と成績はしっかり把握しよう

一方で忘れてはいけないのが、学習内容と成績の把握です。その日にどのような学習をしたのか、子どもがどこまで理解したのか、指導後、講師に必ず確認しましょう。さらに、指導計画に沿って着実に進んでいるのかどうかの確認も怠りなく行いましょう。実際に次のテストで結果が出ているかというのも、客観的に見るべきです。子どもがやったことを見届けるというのは、子どもにとって「自分のことを見ていてくれている」という安心感につながります。

その上で、講師の力量に不安を感じたときは、講師の帰宅後に習った問題を解かせてみましょう。解ければ指導は有効ですが、習いたてにも関わらず解けなかった場合、指導は無駄という判断ができます。

さらに気をつけてほしいのが、家庭教師と子どもが家の中に2人だけという状況は決して作らないということ。家庭教師も人間です。監督者である親がいなければ、だれたり、怠けたりということがないとは言い切れません。質の高い指導を求めるなら、親が家で指導を見ていられる時間帯をチョイスしましょう。

いろいろと家庭教師側からすればキツイことを書きましたが、お金を出して成績が上がらなければ、投資の無駄です。ただ、指導が成績という形に表れるまでには時間がかかることもあるので、判断に慎重さは必要です。結果として、「この人を信頼してみよう! 」と思ったら信頼し続けること。それが実を言うと、最も効果をうみます。

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著者プロフィール

中学受験ドクター講師 春野陽子
日能研で約10年間にわたって中学受験の国語指導を担当したのち、中学受験ドクターの講師として活躍。元中学受験ママでもあり、2人の息子をそれぞれ巣鴨中学校と海城中学校に合格させた実績を持つ。講師としての立場、先輩ママとしての立場の双方から、親たちに向けた受験のアドバイスを行っている。
中学受験ドクター