さっそうと風を切って走るバイクを見て『自分も乗ってみたい』と思う人も多いはず。しかし、バイク乗りになるには免許の取得やバイクの購入、さらに維持費も必要です。『かなりお金がかかりそう……』と諦めてしまう人もいるのではないでしょうか。

今回は、バイク乗りになるために必要なモノやコスト、さらに出費を抑える方法などを紹介します。あなたが想像しているよりもバイクは手軽に乗れるかもしれません。

■7種類のバイク免許と取得方法

二輪免許には「原付」「AT小型限定普通二輪」「小型限定普通二輪」「AT限定普通二輪」「普通二輪」「AT限定大型二輪」「大型二輪」の7つがあり、大型以下は16歳になれば取得できます。少しややこしいですが、小型は125ccまで、普通は400cc、大型は排気量の制限がありません。

「AT限定」はスクーターのようにギアチェンジのない車両に限られるので、本格的なバイクを楽しみたいなら「普通二輪(MT)」の取得がおすすめです。ちなみに「AT限定はペダルでギアチェンジをする「ホンダ・カブ」は乗れますが、人気のある古い「ベスパPX」などのハンドチェンジモデルはMT車になるので乗ることはできません。

免許の取得は指定の教習所に通うのが一般的ですが、通所以外にも10日ほどの合宿があり、シーズンオフはだいぶ安くなります。費用は取得する免許の種類や教習所によって差がありますが、自動車免許を持っていれば学科の大半や技能教習の一部が免除されるため、日数が短縮されて費用も2/3ほどに抑えられます。また、2018年の法改正によって「小型AT」なら最短2日で取得できるようになりました。

そのほかにも「小型」や「AT」といった限定条件を解除する「限定解除」があります。ほかの免許同様、教習所で数時限の技能教習と審査を行うのが一般的ですが、運転免許試験場の一発試験で取得するという方法もあります。一回で合格できれば5千円以下の費用で済みますが、決して簡単ではありません。

ちなみに試験場の一発試験で行う「限定解除」は、1975~1995年までは大型免許を取る唯一の方法でした。実は大型以外でも試験場で適性検査と学科・技能の試験に合格すれば教習所に通わなくても免許を取得できますが、まったくバイクに乗ったことがない人はまず無理でしょう。ただ、中には16歳で原付免許を取得して50ccのMTバイクに乗り始め、教習所には行かずに大型までステップアップした人もいます。

  • バイクの免許は7種類

■ヘルメットやウエアなどの装備品

免許や車両以外にも、バイクに乗るにはヘルメットやウエアなどの装備品も必要ですが、種類も豊富で価格はピンからキリまであります。

<ヘルメット>

一番大切な頭を守る装備なので、多くの人が高くても国産の有名メーカー品を選びます。安全性はもちろんですが、日本人の頭の形状にフィットし、シールドや内装などの消耗部品が入手しやすいというメリットもあります。価格としては2万円以上を考えておいた方がよいでしょう。

<ライディングウエア>

バイク乗りの定番イメージは「革ジャン」ですが、ツーリングなどの利用ではポリエステルなどの化学繊維を使った「ライディングジャケット」が主流です。本革ほどの頑丈さはないですが、肘や膝などに衝撃吸収パッドが装備されており、快適で手入れも簡単。数万円以上する本革に対して数千円から入手できます。「ライディングパンツ」も革や化学繊維を使用したバイク専用品のほか、カジュアルなジーンズタイプがあります。

<グローブとシューズ(ブーツ)>

どちらも革や化学繊維などの製品が選べますが、初心者が失敗しやすいのがピッタリしすぎたグローブを選んでしまうことです。バイクはハンドルを握ってレバーを操作するため、こぶしを握っても指先や甲が圧迫されないサイズを選んでください。シューズの大半はハイカット形状ですが、これは転倒時に痛めやすいくるぶしを守るためです。数千円で買えるスニーカータイプから、数万円以上する本格的なレーシングブーツがあります。

<レインウエア>

屋外作業用の汎用品や使い捨てタイプもありますが、走行風に耐えられるバイク用を選んだ方が無難です。グローブ同様、これも衣服の上から着ることや、袖や裾が短くならないように、ゆとりのあるサイズを選んでください。数万円もする高性能な製品もありますが、最初は安いものでよいでしょう。グローブとブーツのカバーがあれば快適性は格段にアップします。

  • バイク用の装備品

■車両と維持費は高い? レンタルなどの選択肢も

バイクを買う場合、いくら気に入ったモデルがあったとしても、無理して毎月の支払いが高額なローンを組むのは避けた方がよいでしょう。ツーリングに行くためのガソリン代や、オイルやタイヤといった消耗品、保険や税金のほか、400ccクラス以上は車検代などの捻出が厳しくなります。

中古車や個人売買なら車両価格は安くなりますが、格安の個体はトラブルを抱えているケースも多いためおすすめできません。新車は中古車よりも高いですが、長期間のメーカー保証がつき、すべての部品が新品なので故障のリスクも少なく、しばらくはオイル交換程度の定期メンテナンスで済むというメリットがあります。

定期メンテナンスに必要なオイルやタイヤなどの部品や工賃は、一般的にはバイクの排気量やグレードが上がると高くなります。輸入車は国産車より高いと考えておいた方がよいでしょう。

また、自分だけの愛車を所持するというこだわりや、頻繁に乗る機会や保管場所がないのであれば、レンタルやシェアリングを利用する方法もあります。税金や保険なども不要で、好きなモデルを選べますが、借りる回数が多ければ車輛購入より割高になります。事故や転倒時の補償内容はサービス会社によって差がありますので、事前に確認してください。

そのほか、車両にかける任意保険は年齢が若いほど割高ですが、損害賠償金は高額化しているため、強制加入の自賠責保険だけでは不十分です。たった一度の事故で人生を棒に振らないためにも、必ず加入しておくことをおすすめします。

  • バイクの価格と維持費

■まずは「免許取得」を目指し、最初の愛車は「小型車」がおすすめ

ここまで紹介してきましたが、免許の取得や車両、装備品一式の費用、400ccクラス以上の車検代、ガソリン代や税金、保険のほか、オイルやタイヤといった消耗品など、トータルコストはかなり高額になるため躊躇するのも仕方がありません。

しかし、大半のバイク乗りはまず免許の取得から始め、お金を貯めてから車両や装備品を検討して揃えていくなど、段階的に考えていくものです。バイクに乗るようになれば維持費のコスト感も納得できるようになります。

また、メカに強い人なら簡単なメンテナンスはDIYで行えるようになります。自分でエンジン整備やタイヤ交換をしたり、ユーザー車検を行うレベルになると、大幅に維持費を抑えることができます。しかし、こういったベテランたちも最初はバイクをまったく知らない初心者からスタートしています。

最初から無理をして高価なバイクや装備品を揃えようとせず、まずは免許の取得から目指すことをおすすめします。自動車免許を持っていれば教習費用も安く済み、ファーストバイクは125ccや250ccなら維持費も抑えられます。

小型車は車体が軽く、挙動や構造も分かりやすいためバイクの理解が深まります。ギアを使ったパワーの引き出し方も身につくので、慣れてから上のクラスに乗り換えることは決して遠回りではありません。