前回は2020年度の資金調達環境について、新型コロナ対応融資に関する統計情報を集めて解説いたしました。今回は令和3年度(2021年度)の制度融資について情報を整理いたします。

令和3年3月25日付けで中小企業庁のWebサイトにて発表された「中小企業に対する金融機関の伴走支援や早期の事業再生を後押しするための信用保証制度を開始します」という案内の中に、2021年度の新しい取り組みとして伴走支援型特別保証制度と経営改善サポート保証(感染症対応型)制度が紹介されていますので、表にまとめます。

据置期間が長いことと信用保証料の補助が厚いことが特徴です。据え置き期間を5年以内とし、信用保証料を7割以上補助する代わりに、利子補給はない条件となっています。大半の制度融資は据え置き期間が1年以内で設定され、保証料率も場合によっては2%近く負担する事例があることから、平時と比較して大きく融資条件が緩和されています。 金利については金融機関の判断に委ねられた設計となっており、想定されている水準がわからないので、例として関東の一都三県(東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県)の情報を調べます。

伴走支援型特別保証制度について参照した資料は下記の通りです。

※2021/9/10時点で埼玉県庁のWebサイト内に該当する資料が見当たらず、関東財務局の資料に記載されている内容は、中小企業庁のWebサイトに掲載されているものと同一です。なお、さいたま市は市独自の「伴走支援型特別資金」の制度を設けており、利率は年0.90%です。

事業再生計画実施関連保証(感染症対応型)制度について参照した資料は下記の通りです。

伴走支援型特別保証制度も事業再生計画実施関連保証(感染症対応型)制度も、融資期間が10年以内の場合は概ね1%から2%の金利となっています。

なお、東京都の「令和3年度東京都中小企業制度融資要項【6月21日改定版】」には、融資限度額と信用保証料補助を拡充しモニタリング報告要件を緩和した、独自の伴走支援型特別保証制度が掲載されていたので、内容を抜粋して紹介いたします。

伴走支援型特別保証制度と経営改善サポート保証(感染症対応型)制度の利用状況については、内閣府のWebサイトで公開されています。2021年7月21日の令和3年第11回経済財政諮問会議にて提出された資料「経済対策のフォローアップについて(金融政策、物価等に関する集中審議資料)参考資料(詳細版)」の中で、「4月1日に開始した、伴走支援型特別保証、経営改善サポート保証(コロナ枠)の実績は、2,312件、463億円(5月30日時点)」と紹介されています。

令和3年度(2021年度)に新設された制度融資に関する説明は以上です。次回は資本性ローンの利用シーンについて考えます。