近年注目が高まる「ダイバーシティ&インクルージョン」。この言葉を耳にする機会は増えてきているが、実際にどのような意味で、企業では取り組みがされているのだろうか。

本稿では、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営などを行うZOZOでダイバーシティ推進の担当を務めている林田常平さんに、「ダイバーシティ&インクルージョン」について伺っていく。

ごきげんよう!ZOZOのおつねです。(デジャビュ)

気づけば日が暮れるのが早くなり、朝晩は冷え込み、セミではなく鈴虫の声が聞こえてくるようになって、秋の訪れを感じている今日この頃、みなさんご機嫌いかがでしょうか?

私はといいますと、毎年「読書の秋」にしようと思いつつ、気づけば「食欲の秋」になってしまっていることに怯えながら過ごしております。

改めまして、ZOZOでDE&I推進を担当しております「おつね」です。

いよいよ本連載も最終回。

連載のオオトリということで、どのようなことを書こうかと悩んでいたのですが、これまでDE&Iに関してお話ししてきた私自身が所属するZOZOで、DE&Iの推進ってどんなことをしているのか、なぜ力を入れて取り組んでいるのかということについては語ったことがなかったなと思ったので、それらを今回のメインテーマとして連載のフィナーレを飾りたいと思います。(いつもより少し長くなりますので、お茶やお菓子と共にお付き合いください。)

そもそもなぜZOZOはDE&I推進に取り組むのか

まずはじめに、ZOZOのロゴマークをご覧ください。

丸、三角、四角が描かれたこのロゴマーク、一見すると色も形も違う図形の集まりですが、実は4つの図形の面積が同じになるように作られています。このロゴは「Be unique.Be equal.」というコンセプトのもと、弊社のデザイナーによってデザインされたもので、日本語で「みんなちがうけど、みんないっしょ」という意味を持っています。

またZOZOでは、入社時にこれら4つの図形の色を300色の中から自由に選択して名刺やスタッフタグを作成することができ、その組み合わせの数はおおよそ世界の人口と同じくらいになるほど、たくさんのカラーバリエーションが準備されています。

つまりZOZOのロゴには一人ひとり違う個性やバックボーンをもっていて、それらを尊重するといった想いが込められているのです。

DE&Iとも通じるこのコンセプトは従来から社内で大切にしている考え方で、ZOZOがDE&Iを進めるうえで無くてはならない考え方です。

「Be unique.Be equal.」の他にも、ZOZOには「楽しく働く」というカルチャーがあります。

  • 過去には、ZOZO WORKSTYLEとして掲げていたことも

「働く」、「労働」と聞いて、みなさんはどのようなことを想像しますか?

学生時代の私がこの質問をされたら、「アルバイトですらこんなにつらいのに?! 無理! だけど生きていくために仕方がない!!」と無邪気に答えていた気がしますし、同じような方も少なくないんじゃないかなとも思っています。ZOZOは、そんな労働に対するネガティブな考え方を変えようと、以前から「楽しく働く」ことを大切にしてきた会社です。

また、ZOZOでは、仕事のことを、「仕事(人に仕えること)」ではなく「自事(自然なこと)」であるという意味を込めて「自事」と表記しています。生きていく上で切り離すことが難しい仕事だからこそ「自然にありのままの自分でいられる場であってほしい」。そういった想いを込めて敢えてこういった表記をしています。私個人としては、これがZOZOスタッフが働くうえで目指したい、実現したい姿のひとつだと捉えています。

また、ZOZOがサステナビリティステートメントとともに策定した「4つの重点取り組み」のひとつに「ファッションに関わるすべての人のダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進」があります。

その背景には、ZOZOが積極的な情報発信や取り組みを行うことで、ファッションに関わるすべての人が可能性を発揮できる社会づくりに貢献していきたいという考えがあります。

ここでいうファッションに関わるすべての人とは、自社の社員、ファッション業界のプレイヤーや次世代層、マイノリティの人々、ファッションの生産者、汚染の影響を受けている人たち、ZOZOのお客様など衣服をまとう全ての人々のことを広く指しています。

簡潔にまとめると、ZOZOが目指したい社会を実現するために、DE&Iの推進に向き合うことは、とても大切で、必要なことなのです。

ZOZO社内のさまざまな取り組み

そんなZOZOですが、実際にどんなことをしているの? という部分についても、一部ご紹介させてください。

まず、自分とは異なる属性の人を知る機会を増やそうという取り組みとして、「PEOPLE@ZOZO」という社内イベントがあります。ロゴコンセプト「Be unique.Be equal.」の話にも通じますが、この世には性別(性的指向や性自認も含む)や国籍、価値観など、言葉にしつくせないほど様々な属性をもった人々がいます。

その中には、自分と属性が異なるが故に、理解が難しいもの、なかなか共感できないことなども、あって当然だと思います。だからこそ、小さな1歩かもしれませんが、まずは多様な人がいることを知り、認め合えることを目指して企画しました。

そのため、何か答えを出すことが目的ではなく「色々な人がいる」という、当たり前でありながら、無意識のうちに忘れてしまっていることを再確認することが一番の目的で、テーマも毎回異なります。回によって、たとえば、ある属性の人々がどういったときに困難を感じるのか、今以上に活躍していくためにどういった部分への理解・共感が必要なのか等について、当社の代表とゲストによる対談、弊社スタッフ同士の座談会などを実施し、社内向けにオンラインで配信しています。

また、配信時にはリアルタイムでコメントを届けられるシステムを導入し、オンラインでありながら双方向のコミュニケーションを取りつつ、全社員で議論を盛り上げています。

続いて「楽しく働く」ことにつながる事例についてもご紹介させてください!

ZOZOでは、自分が一番気分の上がる姿、自分らしくいられる姿を尊重しています。例えばビジネスネームという考え方のもと、自分の望む名前(通称名)で業務を行うことができます。

もちろん国の行政機関などへの届け出や健康診断などの時には、戸籍上の名前で申請することになるのですが、その際に戸籍上の名前に触れるのは一部の人事・労務手続きを行うスタッフのみです。その他、服装・髪型なども全て「自由」なので、色々な髪型・髪色、服装、メイク……etcで働くスタッフがいます。

また、「楽しく働く」ためには自分だけでなく、自分の周りにいる人々の存在も大きいと考えています。ZOZOでは「家族時短」という、家族のサポートのために1日最大2時間の時短利用が可能な制度を導入しています。家族の定義に関して「自分が家族だと考える人や動物」としている点が特徴です。これによって、例えば同居人やペットなどにサポートが必要となった場合には、時短制度の利用が可能です。

最後に4つの重点取り組みのひとつである「ファッションに関わるすべての人のダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進」に関する事例を紹介します。

コチラに関しては、全ての取り組みが繋がっていますが、、、

前述の通り、ZOZOではあらゆるスタッフがいっそう活躍できるようにさまざまなことに取り組んでいますが、その中のひとつに「女性活躍」というテーマがあります。数字がすべてではないのですが、現在ZOZOの従業員構成比は女性41.0%、男性59.0%(※1)となっています。

また、課長相当職以上の女性管理職比率は26.4%(※1)となっており、全国平均9.4%(※2)と比べて高い数値となっていますが、今後これをさらに伸ばしていくことを目指しています。

※1:2022年3月時点
※2:2022年7月時点、帝国データバンク 『女性管理職の割合9.4%に上昇 政府が目指す「30%」以上の企業は1割弱』より参照

今後も、女性活躍推進法の定めに基づく国で定められた方針に基づきながら、両軸でZOZOにおける「活躍」とはなんなのか、多様な活躍の形とはなんなのかなどについて議論することにも取り組み続けていきます。

この他にも、社内外に向けて取り組んでいることはまだまだたくさんあるので、もし気になった方やもっと知りたいと思ってくださった方は弊社ホームページ、またはサステナビリティレポートをご覧いただけますと幸いです!

おつねでした! ごきげんよう~

いつも以上に長くなってしまいましたが、今回は、ZOZOのDE&Iの取り組み事例と、その背景にある考え方などについてご紹介しました。まだまだご紹介したいことや、今後取り組んでいくことの構想などもあるのですが大学の卒業論文なみの長文となってしまいそうなので、今回はこのくらいとさせていただきます(笑)。

「記事」という、どちらかというと一方的なコミュニケーションとなってしまう形でありながらも、いつも読んだ後にSNSで感想を送ってくれた皆さまや、周りの方にシェアしてくださった皆さま、そして、今まさにこの文章を読んでくださっているあなたのおかげで無事に連載最終回を迎えることができました。

連載はここまでとなりますが、私のDE&I推進に関する探求はまだまだ続きますので、何か気になることや相談したいことがありましたらリンクされているSNSまでお気軽にお送りいただけたら幸いです。

本連載が少しでもあなたのためになったのであれば、幸せです。それではごきげんよう~!