近年注目が高まる「ダイバーシティ&インクルージョン」。この言葉を耳にする機会は増えてきているが、実際にどのような意味で、企業では取り組みがされているのだろうか。

本稿では、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営などを行うZOZOでダイバーシティ推進の担当を務めている林田常平さんに、「ダイバーシティ&インクルージョン」について伺っていく。

みなさんごきげんよう、少し期間が空いてしまいましたがお元気でしょうか?

最近は、少しずつ夏支度をはじめるための心支度をしながらも、まだまだ朝晩の寒暖差があるので服装のチョイスが難しいなと感じている今日この頃です。

もう聞き飽きた方もいるかもしれませんが、改めて簡単な自己紹介を……私はZOZOTOWNやWEARを運営する株式会社ZOZOで働いている林田常平(はやしだ つねひら)と申します。字画などにこだわって、名前を付けてくれた両親に後ろめたさを感じながらも、社内ではひらがなで「おつね」と名乗っています。

どんな記事を書いたらより皆さんに楽しく読んでもらえるだろう……と考えていた時に、前回の記事を読んでくださった方からTwitterで「性には多様な種類があると本文内で書いていましたが、具体的にはどのくらいの種類があるんですか?」とご質問をいただきました。

こちらについては、みなさんとも内容をシェアしたいと思っていた、とてもありがたいご質問でしたので、某テレビ番組のように「いい質問ですね~! 次回解説します!」と返信させていただいた経緯から、今回のテーマを「セクシャリティの種類」に決めました。

あなたのセクシャリティはなんですか?

突然ですが質問です。

「あなたのセクシャリティ(性のあり方)はなんですか?」と聞かれた場合、皆さんだったらなんと回答しますか?

自分の身体的特徴が大きく表れている性別を答える人、戸籍に記載されている性別を答える人、自分がそうだと思う性別を答える人、そもそも答えたくない人など様々だと思いますが、多くの人が直接聞かれる機会のない質問なんじゃないかなとも思います。もちろん様々な答えがあることも理解した上で、先ほどの質問をされた際に多くの人が「産まれた時の性」で回答するのではないかなと思います。

身体の性別によってセクシャリティが決まると思っている方も多くいらっしゃいますが、近年では「セクシャリティは4つの要素から成り立っているのではないか」と考えられることが非常に多くなってきました。セクシャリティの4要素とは何なのか、簡単に説明していきます!

まず1つ目が「からだの性別(身体的性)」です。

これは文字通り、身体的な特徴によって判断される性別のことを指しています。運転免許証などの身分証明書に記載される性別はこの「からだの性別」で記載されていることがほとんどです。

次に2つ目が「こころの性別(性自認)」です。

こちらは1つ目に挙げた、からだの性別に左右されることなく、その人本人が自分自身のことをどの性別だと思うか、あるいは思わないかなど自己認知による性別のことを指しています。

続いて3つ目が「ふるまう性別(性表現)」です。

分かりやすく言うと髪型や服装、言葉遣いなどを指しています。こちらはピンと来ない人もいるかもしれませんが、前回の記事でもご紹介した「男性的・女性的」と一般的に呼ばれている概念を思い出していただけると想像しやすいかもしれません。(私個人としては〇〇的、〇〇っぽいという言葉が好きではないので可能であれば使いたくないのですが……)

最後に4つ目は「好きになる性別(性的指向)」です。

こちらも文字通り、自分が異性に惹かれるのか、同性に惹かれるのか、双方に惹かれるのか、はたまたどの性の方にも惹かれないのかなど、どの性別に恋愛感情を持つ(or持たない)のかといったことを指しています。

繰り返しになりますが、これらがセクシャリティを構築する「性の4要素」であると言われています。

性の4要素とグラデーション

先ほど紹介した性の4要素も「男/女」のどちらかに必ずしも当てはまるわけではなく、図の通り「男性寄り」「女性寄り」「中性」「無性」など、全ての要素にグラデーションが存在しています。

このグラデーションの濃さや比率は一人ひとり異なっています。例えば「からだの性」が「男性」という共通点がある人同士でも、その他3つの性要素が全く異なっていることなども可能性としては十分にあります。

そのため、目に見えやすい1つの共通点だけで「(からだの性が)男同士仲良くしよう!」などのコミュニケーションを取った場合、双方に違和感が生じるミスコミュニケーションが生まれてしまう可能性などもあります。

またこのグラデーションは同じ人でも、時期やタイミング、周期などで濃さや比率などが変化するということも十分に考えられます。まずはコチラの画像をご覧ください。

こちらは現在の会社に入社してまだ間もない2019年の夏頃、社内イベントに参加した私の画像です。このころは基本的に自分自身のことを「男性」と認識しており、性表現も比較的男性的で、メイクなども肌や眉毛を綺麗に見せて、カラーリップをちょこっとだけ塗る程度でした。

その時の私の性の4要素は上記比率くらいであったと思います。 続いて、こちらの画像をご覧ください。

こちらは2022年、まさに直近の私の画像となっています。「顔が昔とちがうのではないか……?!」などのツッコミは一度置いておいて…(笑)性表現の部分が、昔と比較してかなり女性的になってきています。

これは色々な要因があったので話すと長くなるのですが、端的にご説明すると、今一番自分がしっくりくる自分を追求した結果、このような性表現になりました。

最近の私の性の4要素は上記の比率かなと思います。このように同じ人間であっても周期や時期、もしくは日々グラデーションの濃さが違うことなども十分にありえます。

まとめ

長くなってしまいましたが最後におさらいすると、セクシャリティには4つの要素があり、これら要素にはグラデーションがあるということと、変わりゆく可能性を秘めているということ。

まとめるとセクシャリティは上記図のように十人十色である、というよくある結論となってしまいました(笑)。今回の記事を通して、セクシャリティが構築される過程やグラデーションを皆さんに少しでも知っていただくことが出来たらうれしいです。

そしてこれは個人の意見ですが、今回伝えたかった最も重要で押さえていただきたいポイントとは、この要素のどこかに「当てはめよう、当てはまろう」であるとか、「私は(あなたは)こういう人間だ!」という言語化を無理にしなくてもいいんじゃないかなということです。

極論を言うと、ファッションみたいにもっと柔軟に、「今日はモノトーンじゃなくてカラフルなお洋服の気分~」とか「今日はスカートじゃなくてパンツ履こう~」というテンションでセクシャリティと向き合うのも悪くないんじゃないかなと思っています。

それではまた次回、お付き合いいただけますと幸いです~!