前回に引き続き紹介するのは、論理的思考力を養うロジカルシンキングをベースに指導を行う「学習塾ロジム」。今回は、実際の授業の様子を具体的にレポート。さらに、2015年スタートしたという「英語」と「ロジカル・プログラミング講座」などの新たな取り組みについてもご紹介する。

試行錯誤を繰り返すゲーム感覚の授業

「ロジトレ」の授業ではカードに書かれた4つの数字と”+、-、×”を組み合わせて10を作る10ゲームなどを行う

小学校1~3年生の「ロジトレ」の授業は1回2時間で、レクチャーパートとフラッシュパートに分かれている。レクチャーパートでは、先生と子どもたちが意見交換し、さまざまなやり取りをしながら論理的思考が必要な問題に取り組む。一方、フラッシュパートは、カードを使用したり、パソコンに表示される画像を見ながらゲーム感覚で問題を解くなど、頭を素早く働かせて考える内容だ。

さっそく、教室では計算の答えが10になるように、4つの数字と「+、-、×」を組み合わせるゲーム「10ゲーム」が始まった。はじめに4つの数字が書かれたカードを5~10枚ほど子どもたちが選び取ると、「10分間で”+、-、×”を使って、4つの数字で10を作るよ」と先生が説明。「よーい、スタート! 」の掛け声とともに、子どもたちはゲームに夢中になっていた。ほどなく「できた! 」、「12ならできるんだけどなぁ」と声があがる。

「考える算数」と宿題用のオリジナルのテキスト。授業ごとに毎回冊子で配布され、余白部分に自分の考え方や答えを記載し、ディスカッションする

レクチャーパートでは、「たとえば、また、なぜなら、だから」の”つなぎ言葉”を1回ずつ使って、意味が通る文を作るという授業が行われた。まず、子どもがさまざまな文を作り、それを発表しあう。先生は司会者役となり、子ども同士で文章のつながり方が適切かどうかを議論し、どうすればもっとよいストーリーになるかを検討していく。話のつながりがおかしいところがあれば子ども自身が指摘し、意見を出し合うことで文章を洗練させていくのだ。今回のような文章の授業以外にも、計算、図形、推理などのカリキュラムを積み重ねることで、考えることに慣れ、高学年での本格的な受験対策の学習にもつながっていくという。

”英語で学ぶ英語教室とプログラミングの新講座

さらに、2015年からは英語教室AIC Kidsを運営する鷗州コーポレーション(広島市中区)と提携し、「AIC Kids ロジム代々木校」を年中児から小6までを対象に開校。英語で学び、考える授業内容で、英単語を覚えたり、自己紹介を覚えたりするこれまでの英語指導などとは違うようだ。今後、通常のロジカルシンキングの内容をほぼそのまま英語で学べるようにしていくという。

ロジカル・プログラミング講座。「無人島サバイバル大作戦! 」というテーマで、生きるために必要なものを考え、アニメーションをプログラムしプレゼンする

もう1つ新たな取り組みとして注目したいのが「ロジカル・プログラミング講座」だ。プログラミングと聞くと、"パソコン好き、理系、IT企業"というイメージが保護者世代にはあるが、「どんな事業やサービスでもITに関する知識やプログラミング能力は必ず必要になってくる」と苅野塾長は説明する。

同講座は年長児から小6までが対象で、「プログラミングって何? 」ということをわかりやすく説明するというもの。1人で1台のパソコンを操作し、テーマに基づいて専用サイトを使って作成し、発表しあうような授業が用意されている。例えば、自分で考えた乗り物をどんなステージで、どのように動かして、どんな障害物を作成するかパソコン上で考えて作品を完成させるといった授業もある。

一見、中学受験合格には遠回りのような気もする同塾の指導内容。しかし、「ロジカルシンキング」を軸に英語力や発想力を鍛えることで、志望校合格に加え、その後の将来を生き抜く力も身に付くのではないだろうか。