腸内環境への関心度が高まっている昨今、様々なサプリメントや飲料が売られていて手軽に購入できるようになりました。忙しい日々を送り体調管理を気にするビジネスパーソンにとってはとても便利なものですが、そういった商品に頼らず、自炊でちょっとした工夫をするだけでも腸内環境は改善できます。いまがまさに旬の野菜である、「新玉ねぎ」を使った腸内環境改善レシピを紹介します。
■玉ねぎに含まれる「オリゴ糖」が腸内環境を整える
玉ねぎに特に多く含まれる栄養素に、「オリゴ糖」があります。オリゴ糖は糖質の一種で、人が消化できる「消化性」の種類と人が消化できない「難消化性」のものに分類されます。
腸内環境にいい影響を与えるのは「難消化性」のオリゴ糖で、今回取り上げる食材・玉ねぎには難消化性のオリゴ糖が豊富に含まれています。
難消化性のオリゴ糖(以下、オリゴ糖)は、腸の善玉菌のエサとなることで腸内環境を整え様々な健康効果をもたらすことが研究から分かっています。特にビフィズス菌を増やしてくれるので、腸内環境をよくするためには意識的に摂取したいところです。
■ビフィズス菌が増えるメリット
なぜビフィズス菌が増えると腸内環境にいいのでしょうか? ビフィズス菌はおなかの中でオリゴ糖を分解して、酢酸や乳酸といった物質を産生します。それらによって腸内が弱酸性に保たれるため、悪玉菌やその他の病原菌の繁殖を抑制してくれるのです。つまり、オリゴ糖を摂ることでビフィズス菌が増え、腸内が弱酸性になり悪玉菌が繁殖しにくくなるという仕組みです。
この他にも、ビフィズス菌が増えることでミネラルの吸収を促進する働きも期待できます。ビフィズス菌が産生する物質によって腸内が弱酸性になることで、カルシウムやマグネシウムといったミネラルは水に溶けやすくなり、腸から吸収されやすくなります。腸内環境がよくなると、栄養吸収もよくなるというメリットがあるということです。
このように、オリゴ糖は腸内環境改善にもってこいの栄養素です。さらに今回のレシピでは、使用調味料として発酵食品である醤油こうじを使います。そうすることで、腸内環境改善の効果は倍増するはずです。
醤油こうじや味噌といった発酵食品に含まれる有用菌(人にいい効果を与える菌)の多くは、加熱調理や消化過程で分泌される胃酸によって死滅します。また、有用菌のひとつであるこうじ菌は塩分濃度が高いとほとんど生きられないのですが、死菌をとることでも免疫力の向上に役立つと考えられています。よって、加熱でも生でもどちらでもいいので、毎日積極的にとりたい食材です。
■旬の「新玉ねぎ」で食物繊維豊富な簡単レシピ
今回のレシピで使う新玉ねぎは、普通の玉ねぎと比較した際に含まれる栄養素に大きな違いはありません。ただし、新玉ねぎは水分量がとても多いという特徴を持っているため、煮込む時間が短くても柔らかくなりやすく、丸ごと1個ペロリと食べることができるでしょう。
そして、玉ねぎ1個に含まれる食物繊維はごぼう1/4本(きんぴらごぼう小鉢ひとつ分)とほぼ同量ですから、しっかりと食物繊維も摂取できます。スライスして生で食べるのもいいですが、加熱することで量も多く摂取できるというのもポイントです。
【レシピ】丸ごと新玉ねぎの醤油こうじ煮
材料(ひとり分)
・新玉ねぎ : 中サイズ1個(約150~200g)
・だし汁 : 200~300cc
・醤油麹 : 大さじ1と1/2
・みりん : 大さじ1
・七味唐辛子 : 適量
つくり方
(1)調味料を用意し、玉ねぎは皮をむきヘタをとっておく。
(2)すべての材料を鍋に入れて、中火で沸騰させる。沸騰したら弱火にして蓋をして20~30分煮込む。竹串を刺してスッと入ればOK。
(3)器に盛り、七味唐辛子をかけて完成。七味唐辛子ではなく、チーズや山椒をかけてもよくあう。
■つくり方のポイント
玉ねぎは、弱火でゆっくりと煮込むことで甘みが出ます。また、だし汁を多めにして薄味に仕上げ、煮汁もスープとして食べると、カリウムといった水に溶け出す栄養素もあますことなく摂取することが可能です。
味付けは、醤油こうじを使うと甘みが強くなりますが、すっきりとした味が好みの場合は、醤油こうじの代わりに一般的な醤油を使ってもいいでしょう。
注意点としては、水分が多い新玉ねぎは常温保存だと傷みやすいこと。新聞紙にくるんでビニール袋に入れ、冷蔵庫に保存するとより長持ちします。