近年、日本で人気となっているオートミールは、栄養価が高いだけでなく調理が簡単、そして、腸内環境の改善にもおすすめできる食材です。ローストしてクッキーやグラノーラにするのも美味しいですが、好きな具を加えたリゾットも、栄養バランスのいいお手軽メニューです。

オートミールの栄養素と腸内環境のチェック方法

オートミールとは、燕麦(えんばく)という穀物を食べやすく加工したものです。燕麦を蒸したり、ローラーでつぶしたり、細かく砕いたりしたシリアルの一種ですが、外皮を取り除く精製処理をしないため、栄養価が高いという特徴があります。

なぜなら、穀物は特に外皮の部分に多くの栄養素が含まれているからです。その栄養価は、玄米や小麦など他の穀物と比較して、食物繊維、たんぱく質、鉄などが多くなっています。また、糖質が少なく、低GI(血糖値を上昇させにくい)食品でもあるので、体脂肪がつきにくくダイエット中の人や健康志向の人たちにも人気を博しています。

なかでも、腸内環境の改善に効果的な特徴としては、食物繊維が多いことが挙げられます。たとえば、玄米のおにぎり1個(120g)に含まれる食物繊維は1.7gですが、オートミール1食(30g)に含まれる食物繊維は2.8gもあります。これは、ゴボウのきんぴらを小鉢ひとつ分(50g)とほぼ同量の食物繊維の量となりますから、かなり優秀な数値です。

なぜ食物繊維がいいのかというと、食物繊維が腸の善玉菌を増やして腸内環境を改善する働きを持っているからです。もし、便秘や下痢になりやすい状態なら、それは善玉菌が少なく腸内環境があまりよくないサインです。

また、便秘や下痢はないなかで、毎日お通じがあっても、とても匂いが強い、色が濃く黒っぽいといった便の場合も悪玉菌が優勢になっていることが予想されますので、そのような場合もしっかり食物繊維をとるといいでしょう。理想的な便は、黄土色のバナナ状でスルリと出る、ほとんど臭わない状態です。

オートミールが合わない人とは?

注意してほしいのは、食物繊維が多い食品は消化しにくいという点です。体調が悪く消化力が低下しているときや、もともと胃腸が弱い体質の人などは、オートミールのような食品が負担となり、かえって便通を悪くしてしまうことがあります。ですから、食べてみておなかの調子を見ながら判断してください。

今回のレシピで使うオートミールは、日本でよく売られているロールドオーツといわれる種類です。ロールドオーツとは、燕麦を蒸してからローラーで平たくのばして乾燥したもので、そのままでも食べることもできますし、電子レンジの加熱でも簡単にリゾットにすることが可能です。

オートミールのリゾットのレシピでは固形コンソメを使ったものが多いのですが、市販品のなかには、摂り過ぎると腸にあまりよくない影響を与える添加物が含まれていることもあります。できるだけおなかに優しいリゾットにしたい人向けに、固形コンソメを使わないレシピをつくりましたので参考にしてください。

【レシピ】オートミールのトマトリゾット

材料(ふたり分)

・オートミール(クイックオーツ) 60g
・無塩トマトジュース  400ml
・トマト 1個
・玉ねぎ 1/4個
・鶏ひき肉 80g
・マッシュルーム 3個
・にんにく 1片
・オリーブ油 大さじ1
・塩 小さじ1/2
・こしょう 適量
・トッピング パセリ

つくり方

(1)すべての材料を軽量して、用意する。

(2)玉ねぎとにんにくはみじん切り、トマトは2㎝角、マッシュルームは5㎜幅にスライスする。

(3)フライパンにオリーブ油を入れて弱火でにんにくを炒める。香りしてきたら、玉ねぎ、マッシュルーム、鶏ひき肉を加えて、全体がしんなりとするまで炒める。

(4)さらに、トマト、トマトジュース、オートミールを入れて弱火で2~3分煮込む。

(5)水分が減ってトロリとしてきたら完成。皿に盛り付け、パセリをふる。好みで粉チーズをかけても美味しい。

つくり方のポイント

トマトを選ぶ際は、できるだけかたちが丸く、ツルっとして重いものを選ぶといいでしょう。また、お尻から放射線状に筋があるものは、糖度が高く味が濃いといわれています。青さが残っているトマトは、室温で保管すると熟して赤くなります。

今回のレシピでは固形コンソメを使いませんでした。固形コンソメを使わずに美味しく仕上げるポイントは、旨味成分のアミノ酸が豊富に含まれる材料をいくつか組み合わせて使うことです。おすすめなのは、肉、魚介、きのこ、トマトなどです。

特に、いまの季節が旬のトマトには、グルタミン酸という旨味成分が豊富で、リゾットにもぴったりです。また、他にもリコピンやβカロテンといった成分もトマトには含まれていて、これらは紫外線による活性酸素ダメージから守るアンチエイジング働きもあります。シミやシワなどが気になる人は、新鮮なトマトをメニューに加えてみましょう。