「ふるさと納税」は聞いたことがあるけど、よくわからない。「ふるさと納税」をやってみたいけど、難しそう。そんな方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、1からふるさと納税について紹介していきます。ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際にふるさと納税をやってみて感じたことを交えながらお伝えいたします。

  • ふるさと納税の控除額を計算してみよう!

    改めて1から学ぶ"ふるさと納税"(4) 実際に控除額を計算してみよう

前回のコラムでは、概算として「全額控除されるふるさと納税額の年間上限額」を表で示しました。今回は、より具体的な計算方法をお伝えいたします。

■具体的な控除額の計算方法

  • ふるさと納税のしくみ(総務省)の「控除額の計算」, ふるさと納税のしくみ(総務省)の「控除額の計算」

    ふるさと納税のしくみ(総務省)の「控除額の計算」

ふるさと納税で受けられる控除は基本的に「所得税からの控除」、「住民税からの控除[基本分]」、「住民税からの控除[特例分]」の3種類となります。そして3つで出される控除額を合算した金額が、ふるさと納税で受けられる控除額となるのです。

所得税からの控除額+住民税からの控除額[基本分]+住民税からの控除額[特例分]

なお、住民税からの控除額などには例外がある場合もございますので、下記にて説明いたします。ひとつずつ計算式を見ていきましょう。

【1】所得税からの控除額について

所得税からの控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

ふるさと納税の控除対象となる金額(寄附金)は、総所得金額等の40%が上限です。そのため、会社員Aさんの所得が500万円の場合、500万円×40%=200万円が控除の対象となるふるさと納税額の上限額になります。

また2037年中の寄附までは、所得税の税率が復興特別所得税の税率を加えたものになっています。復興特別所得税の税率を加える計算は下記のとおりです。

所得税率(%)×1.021=合計税率(%)

会社員Aさんの所得税率が10%の場合、10%×1.021=10.21%が復興特別所得税を含めた所得税率となります。

【2】住民税からの控除[基本分]について

住民税からの控除[基本分]=(ふるさと納税額-2,000円)×10%

控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。

【3】住民税からの控除[特例分]について

住民税からの控除[特例分]=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%[基本分]-所得税の税率)

こちらの計算から算出される住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税の所得割額(※1)の2割を超えない場合に発生します。越えてしまう場合には特例分の計算が【4】のもになるので注意しましょう。

(※1)住民税の所得割額とは、前年の所得金額に応じて課税されるものです。この所得割額は、会社員ならば、勤務先から渡される「住民税決定通知書」に記載されています。

また所得税の税率は、個人住民税の課税所得金額から人的控除差調整額(※2)を差し引いた金額により求めた所得税の税率であり、上記の【1】の所得税の税率と異なることがあります。

(※2)人的控除差調整額とは、所得税と住民税では、配偶者控除や扶養控除等の人的控除額に差があり、住民税の方が人的控除額が少ないので、住民税の負担増を調整するためのものです。

【4】住民税からの控除[特例分]が所得割額の2割を超える場合

住民税からの控除[特例分]=(住民税所得税割額)×20%

【3】で計算した特例分が住民税の所得割額の2割を超える場合は、こちらの計算式となります。また【4】の場合は【1】、【2】および【4】の3つの控除額を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えてしまいます。

■具体例を見てみましょう

▼42,000円を寄附した会社員Aさんの場合 
(年齢:30歳・課税所得金額:320万円・家族構成:独身)

【1】所得税からの控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

→ 所得税からの控除額=(42,000円-2,000円)×10.21%=約4,000円 

Aさんの場合、課税所得が320万円なので税率は10%となり、復興特別所得税を含むと10.21%となります。

【2】住民税からの控除[基本分]=(ふるさと納税額-2,000円)×10%

→ 住民税からの控除[基本分]=(42,000円-2,000円)×10%=約4,000円

【3】住民税からの控除[特例分]=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%[基本分]-所得税の税率)

→ 住民税からの控除[特例分]=(42,000円-2,000円)×(100%-10%[基本分]-10.21%)=約32,000円

したがってAさんは、納税を行った年の所得税からおよそ4,000円が控除され、住民税からは控除[特例分]として、約36,000円(【2】4,000円+【3】32,000円)が控除されます。

所得税と住民税を合計すると、4,000円+4,000円+32,000円=約40,000円が税金から控除されるので、42,000円を寄附したAさんの自己負担額は2,000円となります。自らの納付額を基に具体的な計算を行う場合は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

※所得税の税率は、所得が増加するにしたがって上がっていきます 
詳細は、国税庁HP「No.2260 所得税の税率」をご参照ください 
※課税所得金額の算出方法は、国税庁HP「給与所得者と税」の「給与所得と所得税及び復興特別所得税のしくみ」をご参照ください