「昔、フルーツ缶は風邪を引いたときのごちそうでした」

なんて懐かしネタもありますが、今のフルーツ缶はすごくおしゃれになっているのをご存じですか? 中には、きれいな器に盛りつけるだけで、まるでレストランのデザートみたいになっちゃうものまで登場しています。

自宅で缶単にフルーツを手軽に食べられるのがフルーツ缶の良さ。それに加えて姿も可愛く、食べれば必ず気分が上がるという絶品フルーツ缶をご紹介します!

  • 佇まいもビューティーな明治屋のいちじく缶

    佇まいもビューティーな明治屋のいちじく缶

名誉挽回

かつていちじくは陰気な奴だった。裏庭とか、物置の横あたりの日陰によく植わっていて、近づくと妙に生臭かった。秋には紫色の実がついたけど味が薄く、祖母はそれをよく砂糖煮にしてくれた。あれ、あんまり美味しくなかったよなァ(遠い目)。

しかしそんな奴が……ドン! (机を叩いた音)

いつの間にか高級フルーツへと変貌していたのであります! 中には生ハムをまとって出てくるセレブリティもいたりして、かつての陰気な面影はどこにもない。まるで、垢抜けなかった同級生がいつの間にかアイドルになっていたような、そんな気分を味わっております。

そんないちじくを一層おしゃれに仕立てたのが、明治屋「日本のめぐみ まるごと無花果」という新ジャンルのフルーツ缶。

  • 大粒の実がごろっと2つ

    大粒の実がごろっと2つ

使われているのは福岡のブランドいちじく「とよみつひめ」。糖度が高くジューシーということで知られる品種だ。最近はいちじくも品種を語る時代になったのですなァ(遠い目)。

とよみつひめは皮ごと食べられるので、この缶詰にも皮をむかないそのままのお姿で入っていらっしゃる(だから商品名も「まるごと」)。注目すべきはシラップで、なんと紅茶・アールグレイのエキスを加えてある。だからフタを開けたとたん、上品な匂いがぐいぐい立ち上がってくるのだ。思わず背筋を伸ばしてしまいました。

かくのごとし。実が大きいのでナイフで切って、フォークでいただくことにした。では失敬して、ひと口……。

  • 従来のフルーツ缶を超えた存在

    従来のフルーツ缶を超えた存在

思ったよりしっかりした歯触りがある。皮のざらっとしたところは香りが強く、中の果肉は粒々感あり。そして、胸がきゅんとなるような甘酸っぱい味付けがたまらない。

フルーツ缶と言えば甘いのが相場だけど、このいちじくには品のいい酸味が備わっている。その酸味の正体は、レモン果汁。いちじくが本来持っている酸味だけでなく、シラップにレモン果汁も加えてあるのだ。だから味の輪郭がはっきりしている。さらに、全体では芳醇なアールグレイが香っているわけだから、この缶詰は単なるフルーツ缶の範疇に収まらない。プロの調理人が手をかけた、新ジャンルのデザート缶という位置付けであります。

香りだけでも気分が上がるいちじく缶。くったくたに疲れた日のご褒美にいかがでしょ?

缶詰情報

日本のめぐみ・まるごと無花果 / 明治屋
価格 税抜450円前後
明治屋ストアー、通販サイトなどで購入可

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」Facebookファンページも公開中。