「イワシ缶に着目せよ」と真顔で語る缶詰博士の黒川氏。このあいだまで「サバ缶が好き!」と言っていたのに、どうしたんでしょうか?
「2年前は200円台で買えたサバ缶が、今では300円台まで値上がりしている。それに対してイワシ缶は今でも200円台と安価。それでいてDHAやEPAなどの健康成分はサバ缶と同じくらい含まれているから、すごくオトクなんです!」
水煮を缶たんにおいしく
健康志向の高まりと、コロナ禍での備蓄需要などで人気が高まったサバ缶。しかし近年の歴史的不漁で原料のサバの価格が急騰し、缶詰もたびたび値上げされた。
今では国産サバを使ったサバ缶は、おおむね300円台。ちょいとおセレブな缶詰になってしまった。
そこで脚光を浴びているのがイワシ缶であります。漁獲量はまあ安定しているし(価格も安定)、健康にいいDHA・EPAはサバと同じくらい含まれているからオトクだ。
イワシ缶にはいろいろな味付けがあるけど、まずは基本の「水煮」を缶たんにおいしく食べる方法を伝授したい。
一面が黄金色
今回取り上げるのは、木の屋石巻水産の「いわし水煮」缶であります。冷凍のイワシは一切使わないという、男気に溢れるイワシ缶であります。
室温28℃の状態でフタを開けると、一面が黄金色になっていた。イワシに含まれる脂分が表面をおおっているのだ。
イワシは宮城県石巻漁港に水揚げされたもので、その日のうちにカットされ、缶詰になる。魚は時間が経つほど脂が酸化していくけど(DHA・EPAは実質目減り)、水揚げ当日の製造なら心配無用であります。
全体に脂ノリノリ
切り身をひとつ取り出すと、表面が白っぽく輝いているのがわかる。これがDHA・EPAが含まれている脂であります。
よーく見ると、皮と身のあいだにも白い脂の層がある。このイワシは全体に脂ノリノリなのだ。
この脂をとことん味わいたい。そのために用意したのはガリ(酢生姜)であります。
ガリとの相性よ
かくのごとし。缶汁を適宜切ったイワシを盛りつけ、上からガリをたっぷり乗せた。彩りと風味のために大葉も乗せているけど、基本はガリだけでじゅうぶん。
脂でぷるぷるのイワシと、甘酸っぱいガリとの相性よ。魚の脂は肉の脂ほどクドくないけど、食べ続けていると変化は欲しくなる。なのでガリ。
ちなみに、余った缶汁は熱湯で割れば1人分のスープになる……んだけど、おいしいからそのまま飲み干してしまった。それでも塩分量は1缶あたり1.1g程度だから、1食で摂る塩分量として適量だと思う。
缶詰情報
木の屋石巻水産/いわし水煮 170g 420円
同社の直販サイトなどで購入可