ツナ缶メーカーが原料不足で苦しんでいるそうです。ツナ缶はマグロやカツオで作られますが「どちらも漁獲量が減っているうえ、肉食中心だった米欧や中国が魚食にシフトしつつあって、世界中で魚の取り合いになっている」と、缶詰博士の黒川氏は語ります。

「そこではごろもフーズが打った手がすごい。日本近海で豊漁が続いているブリを原料にしちゃったんです」

ブリのシーチキンって、一体どんな味なのでしょう。博士、徹底的に分析してください!

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  • はごろもフーズ/シーチキンEvery(エブリ) 70g 253円※後にあるのはシーチキンLフレークとシーチキンマイルド

    はごろもフーズ/シーチキンEvery(エブリ) 70g 253円※後にあるのはシーチキンLフレークとシーチキンマイルド

感想さまざま

去年(2023年)8月に、はごろもフーズが「シーチキンEvery(エブリ)」を発売した。原料はマグロやカツオではなく、何とブリであります。すでにネット上には何本か試食レポートが上がっていて、

「今までのシーチキンと変わらない」
「今までのシーチキンより酸味がなくて食べやすい」

と、感想がさまざまに分かれている。果たしてブリ原料のシーチキンは従来品とどう違うのか?

  • 魚種の違い。上からエブリ(ブリ)、Lフレーク(キハダマグロ)、マイルド(カツオ)

    魚種の違い。上からエブリ(ブリ)、Lフレーク(キハダマグロ)、マイルド(カツオ)

エキスも違う

エブリと比べるのは「シーチキンLフレーク」(原料:キハダマグロ)と「シーチキンマイルド」(原料:カツオ)で、タイプはすべて油漬けをチョイス。

使われている油はどれも大豆油で、基本的な味付けが塩と調味料(アミノ酸等)なのも同じであります。でも、それ以外の原材料は違う。

エブリ:オニオンエキス使用
Lフレーク:野菜エキス使用
マイルド:エキス不使用

魚種によってエキスが違う(or不使用)なのには理由があると思う。

例えばエブリがオニオンエキスを使うのは、オニオン味のシーチキンにしたいからじゃない。ブリの魅力を引き出しつつ、従来のシーチキンとあまり風味が変わらないようにするための工夫だと思う。

  • 各シーチキンの内観。色の違いに注目!

    各シーチキンの内観。色の違いに注目!

エブリは脂の甘みあり

内観を比較すると、色合いがかなり違っていて驚く。エブリ(ブリ)は褐色、Lフレーク(キハダマグロ)はピンクがかった白、マイルド(カツオ)は赤みがかった褐色だ。次に匂いと味を比較してみる。

エブリ:明らかにブリの匂いで、とくに脂身を思わせる甘い匂いがする。食感は柔らかく、肉の繊維が細かい。飲み込んだあとは脂の甘味が残る。

Lフレーク:慣れ親しんだツナの匂いで、その魚臭は穏やか。舌に乗せた瞬間に酸味とうま味が広がる。食感はブリよりしっかりしていて、後味はブリほど甘くないがうま味が残る

マイルド:慣れ親しんだツナの匂いだが、鉄分っぽい匂いがLフレークより強い。酸味もLフレークより強く、うま味はあっさり。食感はブリと同じく柔らかで、肉の繊維が細かいのも同じ

ちなみに酸味はうま味の一種で、マグロやカツオがおいしいのは酸味があるからだと思う。なので僕はブリよりもマグロ、カツオのほうがだんぜん好きであります。

  • モルディブ名物のマスフニに

    モルディブ名物のマスフニに

大いにアリ

かくのごとし。エブリにみじん切りの玉ネギ、シシトウ、ココナッツフレーク、レッドペッパー、ライム汁を混ぜれば、モルディブ共和国の名物「マスフニ」が缶成!

ツナ缶の輸出が盛んな同国では、こんな素敵な料理を毎日のように食べているのだ。

ココナッツの甘い香りとライムの爽やかさ、そしてピリ辛味がブリとも良く合っていて誠にウマい。ちなみに本来はシシトウじゃなく青唐辛子を使うんだけど、手元になかったので代用しております。

こうして味付けすると、もはや原料がブリなのか何なのかまったく分からない。もともとシーチキンはさまざまな料理に使われ、味変されるのだ。となれば、漁獲量が安定しているブリを使うのは大いにアリだと思う。

缶詰情報
はごろもフーズ/シーチキンEvery(エブリ) 70g 253円
スーパーやコンビニ、ショッピングサイトで入手可