その土地の名物が手軽に食べられる「ご当地缶詰」。缶詰博士の黒川氏によると、ご当地缶詰の種類は年々増え続けているそうです。

「今回紹介するのは宮城県仙台市のご当地缶詰。笹かま&牛たんという2つの仙台名物が楽しめますぞ!」

  • 武田の笹かまぼこ/プレミアムCanささ牛たんアヒージョ 140g 1,080円

    武田の笹かまぼこ/プレミアムCanささ牛たんアヒージョ 140g 1,080円

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缶詰で手軽に

僕が育った仙台市では、「笹かま」はごく一般的な食べ物だった。バターしょう油で両面を焼いたものがおかずとしてよく出てきたし、父は晩酌のアテにしていた。関東でいう板わさのようなものであります。

だがしかし! 笹かまメーカーは危機感を抱いているという。お土産需要は健在だが、かつての我が家のように普段使いをする家庭が減っているそうだ。

そこで、笹かまメーカーの1社「武田の笹かまぼこ」は缶がえた。「缶詰にして、もっと手軽に食べてもらおう!」

  • Canささ牛たんアヒージョの内観

    Canささ牛たんアヒージョの内観

なぜにプレミアムか

Canささはシリーズ化されており、他に「Canささ笹かまアヒージョ」(第162回で紹介) 、「Canささ笹かま和ヒージョ」の2種類がある。で、今回のCanささ牛たんアヒージョだけは「プレミアム」と副題が付いていて、値段も他の2缶より100円高い。

なぜにプレミアムなのか? それは笹かまだけでなく、牛たんも一緒に入っているからだ。つまりこの缶詰には仙台名物が2つも入っているわけ。

  • 笹かまと牛たんの様子

    笹かまと牛たんの様子

缶詰用の笹かま

笹かまと牛たんを箸上げしてみた。笹かまは缶に収まりやすいひと口サイズで、いい焼き色が付いている。この笹かまは通常のチルド品と違い、柔らかさや焼き方を缶詰用に変えているという。笹かま本来の食感を出すのには、かなりのご苦労があったそうな。

そして牛たんは、カットがデカい。厚みもある。何たる僥倖(ぎょうこう)。早く食べたい。

  • 「ハイボールとともに」という表記

    「ハイボールとともに」という表記

もうひとつの仙台

すぐにも食べたいが、ちょっと落ち着いて缶詰のラベルを再チェックする。実は武田の笹かまぼこ社長・武田氏に会ったときに、こんなことを言われたのだ。

「このプレミアムCanささにはもうひとつ、仙台を代表する要素があります。それはウイスキーに合う味に仕上げたことです」

ラベルには確かに「ウイスキーと好相性」とある。仙台でなぜウイスキーなのか。それは、仙台市郊外にニッカウヰスキーの宮城峡蒸留所があるからだ。ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が北海道・余市蒸溜所に続いて拓いたのが、宮城峡蒸留所なのであります。

と、ここまで書いたらすごくウイスキーが飲みたくなった。まだ早い時間だけど、いいか。飲んじゃおう!

  • ブロッコリー、トマトと合わせて温めた

    ブロッコリー、トマトと合わせて温めた

ウイスキーの燻香に合う

かくのごとし。鋳鉄製のスキレットに缶の油を入れてブロッコリーとトマトを焼き、笹かまと牛たんを盛りつけた。これで正統アヒージョの出来上がりだ。

驚いたのは、牛たんが3片も入っていたこと。かなりデカかったから1片しか入っていないと思っていた。嬉しい缶違い。何たる僥倖。

さて、肝心のお味である。笹かまはむっちりしつつ柔らかく、歯切れがよい。ニンニクと唐辛子が利いたオイルがよく染みこんでいる。牛たんは繊維に沿って崩れるが、ぼそぼそしておらず、ムチムチしている。断面が美しいロゼ色だから、風味を失わない加熱が施されているのだと思う。

笹かまと牛たんをちょびっと囓り、ハイボールを飲む。うん、ウイスキーの燻香によく合ってます。

この缶詰を製造しているのは宮城県の木の屋石巻水産だ。牛たんは仙台で30年の歴史を誇る専門店「利久」謹製。トータルの味付けの調整にはニッカウヰスキー宮城峡も関わったという、渾身の1缶であります。

缶詰情報
武田の笹かまぼこ/プレミアムCanささ牛たんアヒージョ 140g 1,080円
直販サイトなどで購入可。