缶詰博士の黒川氏によると、缶詰はもともとSDGs(持続可能な開発目標)な食品だそうです。旬の時期にたくさん穫れた野菜や果物、魚介類を余すことなく保存できるから、食べものがムダにならないんだとか。

「SDGsの考えがさらに進んだのがこれ。何の魚が入っているのか分からない缶詰です。どうよこれ!」

んん、ちょっと何を言っているのか分かりません。博士、ていねいな説明をお願いします!

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  • シーライフ/今朝の浜。いろもの 180g 540円

    シーライフ/今朝の浜。いろもの 180g 540円

不人気でも鮮度抜群

想像してみてください。魚市場にずらっと魚が並んでいます。セリが始まって、サバやらサワラやらノドグロやら、いろんな魚が売れていきます。しかしその片隅で、サイズが小さかったり、数がそろわなかった魚がまとめてカゴに入れてある。

いかにも余りもん。いかにも不人気。でも水揚げされたばかりだから、鮮度は抜群なのだ。さて、こいつらをどうしましょ?

今回の缶詰は、そんな魚たちを複数詰め込んだ水煮缶であります。その造り手は島根県浜田市の「シーライフ」であります。

  • いろものとは何だ?

    いろものとは何だ?

味付けは塩のみ

パッケージにあるシールを見ていただきたい。「いろもの」と書かれていて、3種類の違う魚が描かれている。別の部分には「いろもの」の解説があり、省略すると「市場において、1箱に種類の違う魚が混ざっていること」とある。

この缶詰の中も、まさしく"いろもの"状態なのだ。味付けは浜田産の海塩のみ。果たしてどんな味なのか。というより、どんな魚が入っているのか。

  • いろもの缶の内観(魚が見えるよう缶汁を少量抜いて撮影)

    いろもの缶の内観(魚が見えるよう缶汁を少量抜いて撮影)

脂が乗ってる証拠

満を持してフタを開けると、白く輝く缶汁が表面を覆っていて中が見えない。魚の脂が浮いているせいであります。

(脂が乗ってる証拠だ)と、ホクホクしつつも缶汁を少量抜き、魚がよく見えるようにした。あらためてじっくり眺めるが、何の魚なのか分からない。

元の魚のサイズに大小があることは分かる。小さいのはアジか、それともニギス?

  • 缶汁を別にして器にあける

    缶汁を別にして器にあける

鮮度が抜群

缶汁を別にしておいて、魚だけを器にあけてみた。これなら何の魚か分かるはず……と思いきや、やっぱり分からない。

ただ、全体から立ち昇る匂いに臭みがまったくないのがすごい。そこで小さな身をひと口食べてみると、繊細な身がほろりと崩れ、こっくりした脂が舌の上に乗ってきた。何しろ、水揚げされたばかりの魚を使っているのだ。鮮度抜群のはずであります。

  • 小汁風に仕立てる

    小汁風に仕立てる

複雑なダシがウマい

かくのごとし。魚を移すのに使った器が会津の小汁(こづゆ)椀だったので、この缶詰も小汁風に仕立てることにした。鍋に移した缶汁に水を足して火に掛け、ニンジンやシメジ、ネギを煮たのだ。

味付けは少量のみりんとしょう油を使い、野菜が煮えたところで火を止める。器に入った魚に汁を掛ければ缶成であります。

違う魚がミックスされたおかげで、魚のダシが複雑になっていて誠にウマい。脂の乗った魚もあるし、あっさりした身肉の魚(アジ?)もある。

でも、ウマいのは分かったけど魚種は最後まで分からなかった。

缶詰情報
シーライフ/今朝の浜。いろもの 180g 540円
同社直販サイトなどで購入可。※現在、直販サイトではセット品の一部に含まれており、単品での販売はなし