ひとりご飯は気楽そのもの。好きなものを食べればいいし、見栄えを気にする必要もなし。正直、全体が茶色一色の食事だって、美味しければそれでOK!
そんなときにオススメなのが、缶詰を使った炊き込みご飯です。今日は高知県のかつお缶を使った「かつおご飯」を紹介しますよ。
手抜きだけど手作り
缶詰の炊き込みご飯には意外とファンが多い。DJタレントのD氏はさんまのしょう油煮缶としょうがで作る炊き込みご飯がたまらなく好きだというし、イケメン俳優のI氏はオイルサーディンの炊き込みご飯が得意だという。
焼き鳥缶を使えば鶏飯が出来るし、いか缶を使えばいか飯になる(当たり前だけど)。手抜きご飯には違いないが、それでもちゃんと自分で作っているところがエライのだ。
ただし! であります。缶詰を使った炊き込みご飯にはひとつの神聖な掟がある。それは「具は蒸らしのタイミングで入れること」。
本日登場する缶詰は、高知県にある黒潮町缶詰製作所の「黒潮オイルのごろっとカツオ」。黒潮町は高知県の西端付近にあるが、近い将来に起こるといわれている南海トラフ地震で、津波の高さが最大34メートルになるという予測が出てしまった地域だ。住民はその数値におののき、しばらく途方に暮れた。しかし町は考えたのであります。
「逆に、この34メートルという数字をブランドにした新たな商品を開発しよう。そしてそれを防災備蓄品とし、災害に立ち向かって行こう」。
なので、缶詰の表には「34M」という旗がひるがえっている。ぜひ応援したいメーカーなのだ。
そんなドラマも詰まった缶詰で、炊き込みご飯を作ってみる。1.5合の米を研いで水に浸け、ざる上げしてから鍋(炊飯器でもOK)に入れる。そこに缶詰をがばっと入れたくなるが、それではいけません。まずは缶汁だけを入れましょう。 ほかに炊き地として水150ml、薄口しょうゆ25ml、酒大さじ2も入れまして、よく混ぜて、火に掛けましょう。
鍋なら7分強火、7分弱火に掛けたところでフタを開ける。しょう油の焦げた匂いがたまらんです。ここに具を入れるわけです。
湯気の立っているうちにささっと具(かつお)を投入して、すぐにフタをして、10分ほど蒸らせば出来上がり。
缶詰はすでにじゅうぶん火が通っているので、それ以上の加熱はダメージを与えることも多い。とくに炊き込みご飯などは、長時間の加熱になるからそれが顕著であります。
加熱をコントロールすべし
かくのごとし。薬味には大葉とみょうがを使った。
かつおの身の一部が、ほんのりピンク色なのがお判りだろうか? これが加熱し過ぎなかった結果であります。かつおやまぐろの缶詰は、一見すると茶色いけれど、身を割ると内部はピンク色のままになっている。ジューシーで風味も豊かなその状態を保つには、加熱し過ぎないことが一番。
今回使った「黒潮オイルのごろっとカツオ」は、味付けに塩のほか玉ねぎ、柚子皮なども使われているが、分類でいえばツナ缶になる。化学調味料は一切使わず、かつおが本来持っているうまみを引き出しつつ、独自の味付けに仕上げているのが見事だ。ツナ缶には大手ブランドをはじめ、さまざまな種類が存在するけど、黒潮町のツナ缶といったらこれなのだと思う。
缶詰情報
黒潮町缶詰製作所 / 黒潮オイルのごろっとカツオ
希望小売価格 450円(税込み)
同社の直販サイトなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。