昔からコンビニに並んでいる定番缶詰だけど、何だかイメージがちょっとわびしい。それがやきとり缶の立ち位置というもの。でも逆に考えれば、もしこれで美味しい料理が作れるとしたらすごく便利じゃないですか?

今回はそんなやきとり缶を使ったエスニックなレシピをご紹介。缶詰博士オリジナルレシピの中でもダントツの人気を誇る「シナモンチキン」です!

  • ホテイフーズ「やきとりたれ味」は1970年発売のロングセラー

    ホテイフーズ「やきとりたれ味」は1970年発売のロングセラー

ホントに炭火焼き!

結論から申し上げると、ホテイのやきとり缶はこだわりのかたまりであります。

鶏肉はすべて国産鶏使用。炭火でしっかり焼き上げてひと口大にカットし、むね肉ともも肉を半分ずつ詰めている。それがコンビニで百円台で買えるというのは、奇跡と言うほかない。とはいえ、同じコンビニには串に刺さった温かい焼き鳥も売られている。「そっちを買えばいいじゃん」と思うのはまあ、自然なことでありましょう。

しかし、缶詰には缶詰の戦い方がある。日々の激務を闘っている会社員と同じなのであります。それを今回、お伝えしたいのであります。

やきとり缶で絶品料理を作ろう!

やきとりはそもそも熱々をいただくもの。なので缶詰のやきとりも温めましょう。その方法は、小鍋に湯を沸かして火を止めたところに、フタを開ける前の缶詰をぽちゃんと入れて5分置くだけ。

缶詰は金属製なので熱伝導率がいい。だから余熱でも5分後には熱々である。取り出すときはトングなどを使い、やけどしないように気をつけよう。

  • 缶詰は湯せんで温めるのが正解

    缶詰は湯せんで温めるのが正解

湯せんで温めると……ぷるぷるしていたゼラチンが溶けて、何だかインモラルな佇まい。食欲をそそる甘辛い匂いがたまらない。注目すべきは、やはり焦げ目。これこそが炭火で焼いた証しなのだ。そのためにホテイフーズでは渡邊さんという炭焼きの職人を雇っている。一日中火のそばにつきっきりで、炭火が均一に燃えるよう気を配ってくれている。

  • 湯せんで温めたあとの様子

    湯せんで温めたあとの様子

かくのごとし。何をしたかというと、温めたやきとりの上にコーヒークリームをかけ、シナモンパウダーをふりかけたのであります。

  • 一見するとモダンアートのよう

    一見するとモダンアートのよう

コーヒークリームはポーションタイプのものを1つ使う。シナモンはお好みの分量でOK。コーヒークリームがコクを与え、シナモンがエスニックな香りをプラス。結果として、「こういう料理がきっと中東あたりにあるんだろうな……」というお味になります。

  • シナモンの香りがエスニック!

    シナモンの香りがエスニック!

この料理、もともとは、やきとり缶で本格的なチキンカレーを作れないかと試行錯誤したのが始まりだった。コリアンダーやらカルダモンを多用しているうちに、缶詰料理にそこまで手間を掛けてはいけないと気付き、そこから逆に材料を減らしてみた。

で、最後に辿り着いたのがコーヒークリームとシナモンだったのであります。

コンビニで買えるやきとり缶に、コーヒークリームとシナモンだけ。これだけで絶品料理ができるのだから、忙しいビジネスパーソンの皆さん、ぜひ1度試してみて欲しい。

缶詰情報
やきとり たれ味/ホテイフーズコーポレーション
希望小売価格 税別160円
全国のコンビニやスーパーなどで購入可

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」Facebookファンページも公開中。