ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第65回は「#進化系どら焼き」。

  • フルーツを贅沢に使った「青果堂」のどら焼き

定番和菓子のどら焼きが華麗に進化

イタリア生まれの「マリトッツオ」や韓国マカロン「トゥンカロン」など、近ごろはボリュームたっぷりなスイーツがブームだが、和菓子の「どら焼き」にもその波がやってきている。

どら焼きは、小麦粉・卵・砂糖などでつくる皮にあんを挟むのが基本形。それが進化し、最近ではフルーツや生クリームを入れるなど洋風テイストのどら焼きが増えている。Instagramの投稿では、「#どら焼き」は38万件以上、「#どら焼き専門店」も8000件以上ある。今回はSNS映え抜群の進化系どら焼きを提供している4店を紹介しよう。

高級フルーツと和菓子の融合「青果堂」

  • 「どら焼き もちもち」(518円~1,058円※価格は仕入れ値で変動)

まずは都内の人気店。東京の銀座と恵比寿に2021年にオープンした「青果堂」は、カラフルなフルーツどら焼きが話題の和スイーツ店だ。

フルーツは季節や仕入れ状況で変わり、時期によっては高級いちご「深紅の美鈴」やアーウィンマンゴー「太陽のタマゴ」など、珍しい高級フルーツも並ぶ。

「東京の青果市場だけではなく全国にアンテナを張って、スイーツを仕入れています。たとえば、通常は夏秋が収穫時期のところ冬場に出回る沖縄産の無花果やクリスマス時期に食べられる北海道産マンゴーなどを使うこともあります」と青果堂の向笠友也さん。

開発に4カ月かけた薄皮もちもち生地には餅粉や白玉粉が使われており、新しい食感を確立しながらも、どら焼きの風味はそのままになっている。まさに進化系どら焼きだ。選りすぐりの北海道産原乳を100%使用したフレッシュクリームを使用。あんこは有機JAS認定のオーガニック低糖粒餡と厳選された白あんを使っており、やさしい甘さがフルーツの味を引き立てている。

客層は若い人から年配の人まで幅広く、手土産等への利用も多いそう。Instagramでは、フルーツがジューシーなのに生地や餡は水っぽくないことから、「すごい技術」と絶賛する声も。

巨大な“モンブランどら焼き”「鞠智(くくち)」

  • 9~12月に提供されていた「栗のモンブランどら焼き」と3月の「ホワイトチョコレートモンブランどら焼き」(各食べ歩き用850円、持ち帰り用・ケース入り900円)

ビジュアルに驚くのが、大分県の湯布院にあるカフェ「鞠智(くくち)」の「モンブランどら焼き」。季節によって味が変わり、2022年3月は「ホワイトチョコレートモンブランどら焼き」を販売中。これまでに、あまおう・白桃・シャインマスカットなどフルーツを使った味も販売している。

餡は、北海道産大納言小豆を使った自家炊きのつぶあん。皮は、北海道小麦・大分県産産みたて卵・アカシアはちみつなどを使用。原料とともに製法にもこだわり、一枚一枚熱した銅板で手焼きをしている。

「生地が繊細で、時間や気温、湿度で仕上がりが変わるため、機械では調整できず、職人の目と感覚でしか当店の生地を焼くことができません」とマネージャーの菊池武久さんは話す。

モンブランどら焼きは和菓子になじみがない若い人向けにと、2020年秋から販売。すると若い人だけでなく年配の人からも人気を集め、今では店の一番人気メニューになっているそう。Instagramの投稿をみると、ボリュームに驚きつつもペロリと完食したという人が多い。

通販専門「KOTONOWA-古都乃和-」

  • 「葛どら」左は黒蜜きな粉クリーム、右は抹茶クリーム(各3個計6個の食べ比べセット2,700円、送料別)

高級どら焼きギフト専門の通販サイト「KOTONOWA-古都乃和-」が販売する「葛どら」は、なんと奈良県の名産「吉野本葛(よしのほんくず)」を使った葛もち入り! 2020年のオープン後、約1年で累計5万個を売り上げたほどの人気となっている。

味は2種類ある。きな粉クリームとあんこを合わせた「黒蜜きな粉クリーム」と抹茶クリームとあんこを合わせた「抹茶クリーム」。葛もちは、もっちりとほどよい弾力がありながらも歯切れがよい。生地はしっとりとして、自家製クリームは上品な甘さだ。

「奈良県の名産を全国に発信したいという思いで開発しました。どら焼きは奈良県では三笠焼と呼ばれて親しまれ、世代を超えて愛されています。そんなどら焼きに新しい風を取り入れることで、お孫さんとおじいちゃんおばあちゃんなど、幅広い年代で思いを伝え合うときにご利用いただける商品になればと思っています」と同店を運営するリッシュライフスタイル代表取締役の村上豊和さん。

Instagramでも「お餅好きにはたまらない」「程よい大きさ」など好評。ギフト利用だけでなく、自分用にお取り寄せしている人も多い。2種類の食べ比べが楽しそうだ。

和洋折衷な“どらケーキ”「キチココ」

  • 左「ピスタチオ」(280円)右「バスクチーズケーキ」(260円)

最後は、和菓子と洋菓子が融合したユニークなどら焼きが買える「キチココ」。福岡県うきは市の観光案内所土蔵内に2020年にオープンしたどら焼き専門店だ。

どら焼き職人の中村宏司さんは和菓子屋の3代目。奥さんは元ケーキ屋。そんな二人の店だから、ユニークなどら焼きが生まれたというわけだ。

レパートリーは30種類ほどあるそうで、店頭には日替わりで10種類前後の商品が並ぶ。人気ナンバーワンは、自家製あんこと塩バターの甘じょっぱさがクセになる「塩バター」。ほかに「栗どら」や「つぶあん」があんこを使った定番。それ以外は、あんこが入っていない変わり種だ。

同店ではあんこ入りを「どら焼き」、あんこなしを「どらケーキ」と呼び分けており、「どらケーキ」では職人の創造性がいかんなく発揮されている。たとえば、ピスタチオとホワイトチョコレートを挟んだ「ピスタチオ」、濃厚なバスクチーズケーキと生クリームを挟んだ「バスクチーズケーキ」、自家製プリンを挟んだ「カラメルプリン」などがその一例。見た目のインパクトもあり、食べる前からワクワクが止まらない。

「生菓子としてどら焼きを売りたいというどら焼き職人のこだわりで、保存料は一切使わず、出来たてを提供しています」と中村さん。そのため、日持ちは翌日まで。

Instagramで「#キチココ」のタグが付いた投稿は5000件以上もある。種類が多いので、迷った末についたくさん買う人も多い様子。小ぶりなサイズなので「1個じゃ止まらない」と2~3個一気に食べてしまう人も。どらケーキの命ともいうべき生地についても「クオリティー高い」と絶賛されている。

見た目も味も新感覚の進化系どら焼き。幅広い世代の人に愛される味なので、手土産や差し入れの新たな定番にもなっていきそうだ。