皆様こんにちは、マネックス証券の益嶋です。「目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場」第22回をお届けいたします。本コラムでは、「これから投資を始めたい」「投資を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった方向けに、投資家としてレベルアップするためのいろいろな知識をお伝えしていきます。今月もまずは最近のマーケット動向を簡単にご紹介します。

貿易戦争や地政学リスク懸念で低調なマーケット続く

米中貿易戦争は収束の見込みなくずるずると続いています。6月28・29日に大阪で行われるG20でトランプ大統領と習近平国家主席が首脳会談を行う予定となっていますが、事態が大きく打開される見込みは低いとみられています。また、米国とイランの対立も深刻化してきています。米軍の無人航空機をイランが撃墜し、米国はイランに対する経済制裁を強めています。

これらのリスクが意識されるとともに、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が今年中に利下げを実施すると示唆したことがドル安円高に作用し、一時1ドル106円台まで円高が進みました。さらに日本経済は消費税増税という景気にネガティブなイベントを控えています。

これらの状況下で日本株はなかなか上昇することができず2万1,000円前後で停滞しており、なかなか上値を追う気配がありません。米国の代表的な株価指数であるS&P500が史上最高値を更新したことからすると日本株にももっと頑張ってほしいところですが、しばらくは本格的な株価上昇は難しそうな状況です。

おもしろ株主優待のご紹介

さて、今月もコラムの本題に入っていきましょう。投資の楽しみのひとつとして「株主優待」があります。定期的に送られてくる株主へのプレゼントとして活用されている方も多いのではないでしょうか。今月は、数ある株主優待の中から特にユニークな株主優待をご紹介します。

■ベイスターズファンにはたまらない!? ディー・エヌ・エー(2432)の株主優待
まずご紹介するのはディー・エヌ・エー(2432)の株主優待です。もともと「モバゲー」というサービスで大きく業績を伸ばした企業で、現在も売上の多くはゲーム関連ビジネスからあがっていますが、数年前にプロ野球チームの横浜ベイスターズを買収しました。当初は赤字事業でしたが立て直しに成功し、現在は黒字ビジネスとなっています。

そんなディー・エヌ・エーはベイスターズ関連の株主優待を出しています。1つ目は、公式戦の観覧チケットおよび購入割引券。2つ目はオフィシャルグッズの割引購入クーポン、3つ目は抽選となりますが公式戦招待券です。ベイスターズファンでなければなかなか使う機会もないかもしれませんが、ファンの方にはとても嬉しい優待ではないでしょうか。

■お子様へのプレゼントにもご自身でも! タカラトミー(7867)の株主優待
続いてご紹介するのはタカラトミー(7867)の株主優待です。タカラトミーが出している製品として有名なのが車のおもちゃである「トミカ」ですが、タカラトミーはそのトミカを優待品としてプレゼントしています。お子様へのプレゼントにはもちろん、自動車好きの方はご自身のコレクションとしても楽しめると思います。

  • タカラトミー 2018年3月期株主優待制度 特別企画セットの例 (C)TOMY

■抽選で30万円の旅行券! クロスプラス(3320)の株主優待
あまり知名度は高くありませんが、レディースアパレルメーカーのクロスプラス(3320)という企業があります。婦人服や子供服などの製造販売を手がけているクロスプラスは、自社グループ商品または自社オンラインストアで使えるクーポン券の他に、抽選で10名に30万円相当の旅行券が当たる株主優待も提供しています。クロスプラスの株主数は1万人ほどいるため当選する確率は0.1%程度でかなり低いとみられますが、当たればラッキーぐらいの感覚で楽しみにしているといいかもしれません。

■錚々たるアーティストの出演ライブを優先予約! エイベックス(7860)の株主優待
音楽レーベルとして知られるエイベックス(7860)もユニークな株主優待を提供しています。その内容は、「a-nation」というライブイベントの優先予約券および割引購入券、また株主限定の「ミュージックカード」が届くというもの。今年の8月に開催される「a-nation」には、AAA、DA PUMP、東方神起、ゴールデンボンバーなど錚々たるアーティストが登場されるようです。お好きなアーティストが出演されるライブにぜひ出席したいという方にはとても魅力的な株主優待かもしれません。

■自分史編纂優待券!? サン・ライフホールディング(7040)の株主優待
冠婚葬祭や介護施設の運営を行うサン・ライフホールディング(7040)も、とてもユニークな株主優待を提供しています。結婚式や葬儀の割引券というのは一般的ですが、特に目を引くのが「自分史編纂」の10%割引券です。「自分史編纂」というのがなかなか想像しにくいところですが、一度しかない人生をしっかりと記録に残したいという方にはおもしろい優待かもしれませんね。

ご紹介した株主優待の他にもユニークで魅力的な株主優待はたくさんあります。マネックス証券はもちろん、いろいろなウェブサイト等で株主優待は検索できますのでぜひ一度お試しください。

今月も最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回!

※本コラムでご紹介している株主優待は、2019年6月26日時点で筆者が調べた情報を元に記載しています。株主優待は中止される場合や内容が変更される場合もありますので、必ず企業のIRサイト等で最新の情報をご確認ください。

執筆者プロフィール : 益嶋 裕

マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年4月にマネックス証券に入社。2013年からアナリスト業務に従事。2017年8月より現職。現在は「日本株銘柄フォーカス」レポートや日々の国内市況の執筆、各種ウェブコンテンツの作成に携わりながら、オンラインセミナーにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員。
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