連載『増税への挑戦』では、消費増税で家計で苦しくなる中、節約に役立つだけではなく、物を売って稼ぐ(収入を増やす)こともできる「オークションサイト」について、オークションライターの川崎さちえさんが自らの経験をもとに解説します。
夫がある日突然会社を退職、月20万円ではキツイ生活に
私がネットオークションを始めたのは2003年のことでした。目的は、ずばり生活費を稼ぐこと。実は、夫がある日突然会社を辞めてきてしまって、翌月から給料が入らなくなってしまったのです。なぜ会社を辞めたのかというと、子育てをしたかったから。当時、息子は2歳になる直前で、ここからの1年がとても大事だと思っていた夫は、仕事を辞め、1日中息子と一緒にいることを決めていたわけです。
もちろん、夫の計画に関しては前もって知っていましたが、私はもう少し後だろうと思っていたのです。月20万円で1年間生活するためのお金が、まだ貯まっていなかったからです。でも、夫は夫なりにタイミングをはかっていたのでしょう。ある意味無謀ともいえますが、息子が2歳になる前に100%子育ての1年を過ごすことにしたのです。今でこそイクメンの存在は定着してきましたが、夫はすでに10年前から本気のイクメンになったわけです。
実際に子育ての生活が始まってみると、月20万円ではキツイことが判明しました。最低限の生活はできますが、どこかに遊びに行くとなると、ちょっと厳しくなってしまいます。しかも毎月お金が入ってこないストレスもあります。でも、ここで仕事に戻ってしまうと、せっかくの子育て生活の意味がありません。そこで、家にいながら、しかも空いた時間にできることはないかと思ったときに、ネットオークションに出会ったわけです。
ネットオークションの活用を思いつく--「まずは落札してみよう」
ネットを使えば家の中でできる。しかも、子どもが寝ている時間にもできる。これが、当時、ネットオークションをする理由でした。とはいえ、実際にどうやってオークションをすればいいのかは全くわかりません。今のようにノウハウ本がたくさんあるわけではありませんし、私の周りに経験者もいません。そこで考えたのは、まずは落札してみようということでした。入札をしてみれば入札の仕組みもわかるし、何よりもユーザーとの取引のやり方が把握でると考えたからです。
実際に落札をしてみると、出品者からどんな内容で連絡が来るのか、代金はどうやって支払うのか、商品はどうやって送るのかなど、オークションの基本的なことがわかりました。その中でも発送方法とお金のやり取りをする金融機関については目から鱗(うろこ)でした。当時は、何かを送るとなると手紙くらいだったので、定形外郵便があることを知って、すごく驚いたものです。
金融機関についても、当時はまだまだネットバンクがほとんど使われていない状態です。加えて、もともとネットに疎い私にとっては、ネットで決済するという行為がいまいちピンとこないという、なんとも"トホホ"な感じでした。そんな私でも、なんとかネット上でやり取りをして、「なるほど、こうやって商品を売るのか」とわかったのだから、きっと誰でも簡単にできることだと今は思っています。
押し入れの中には想像以上に不要品が…試行錯誤の連続
さてオークションの流れがわかれば、次は出品です。何を出品すればいいのかはあまり考えずに、とにかく押し入れの中にあるものを引っ張りだしました。「しばらく眠っているもの=不要品」だと思ったので、まずはこれから出品すればいいと思ったのです。おそらく、多くの家庭でも同じだと思いますが、押し入れの中には、想像以上に不要品があります。片付けたつもりでも、ものはたくさんあるものです。私の場合には、衣類や食器類、おもちゃ、小型の掃除機まで出品しましたが、おそらく、他の家庭でもスタートは同じような商品になるのではないかと思います。
出品のためには写真や商品説明、タイトルがとても大切です。でも、最初の頃は、どうすれば見栄えがいい写真を撮れるのかもわかりませんでした。ですので、写真については、しばらく試行錯誤をしていたと思います。タイトルに関しても、何がポイントになるのかわからない状態、商品説明は、他のユーザーの真似をしていました。誰もそうですが、スタートの時点ではノウハウなんてありません。試行錯誤の連続で、失敗もありました。
オークションに慣れていく中で、ノウハウが積み上がる
でも、そうやって、少しずつオークションに慣れていく中で、私の中でもノウハウが積み上がっていったのだと思います。それに、10年前はネットにつなぐのが精一杯なくらいのデジタル音痴だった私でさえ、今までやってこれました。最初は「ぴ~ひょろろ~」と音がなってネットにつながり、スピードも今と比べものにならないほど遅いものでした。
それを考えると、今は昔よりもずっとオークション環境は良くなっています。スマホやタブレットがあって、いつでもどこでも簡単に出品や入札ができてしまうし、サクサク動きます。こんなに整った環境があるのだから、ぜひオークションを活用してほしい、そう思います。特に、消費税があがっていく社会の中では、オークションは生活のインフラになってくるでしょう。上手に活かすことで、増税に負けない生活ができるはずです。ぜひネットオークションを使って、豊な生活を送ってほしいと思います。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
執筆者プロフィール : 川崎さちえ
2003年にネットオークションを始める。不要品の出品をメインとして、現在もユーザーとしてオークションに励む。オールアバウトのネットオークションガイドとして、記事を執筆。ネットオークションを生活の一部に取り入れるべく、「ネットオークションは生活のインフラになる」という考えを持つ。また消費税増税の社会においては、ネットオークションが家計の救世主になりえると考え、業者とは違う視点でネットオークションの有効性を伝えている。