「ボーイング」や「エアバス」が航空機メーカーの社名だというのは広く知られている。では、その社名の由来をご存知だろうか? さらに、この2社が世に出している飛行機は全て、7○7、A3○0となっているのにも、実は理由があったりなかったりなのである。

エアバスの最新機A350XWB(エクストラ・ワイド・ボディ)は2014年11月に初飛来した

ワイドボディ機の開発ゆえの社名

ボーイングの社名は創立者がウィリアム・ボーイング(William Edward Boeing)という名前であったことに由来する。一方、エアバスの社名は、かつて航空機メーカーがワイドボディ(2通路)機を開発する時の総称として使い、例えば「エアバス(AIRBUS)構想」などといった使われ方をしていた。そこから社名がとられているわけだ。

また、ボーイングやエアバスより小さな旅客機を主に製造する「エンブラエル」(Embraer)はといういと、国籍のあるブラジルの"航空ビジネス"という意味のポルトガル語の頭文字などをとったもの。そのエンブラエルのライバルであるカナダの「ボンバルディア」(Bombardier)は、カタカナで"ボンバー"と読める言葉が混じっていることから穏やかならぬ社名だと誤解しがちだが、これも創業者の名前に由来している。

日本国内線では見られなくなったボーイング747-400こと「ジャンボジェット」。国際線ならまだまだ体験できる。写真はチャイナエアライン機

名前も存在もA380は特別

しかし、旅客機の機種名(正確には型式名)はけっこういい加減だったりする。周知の通り、型式名はボーイングが737 、747、767、777、787、エアバスがA300、310、320、330、340、380などと数字で表記される。では、これら数字に統一性があるのかといえば、そうでもない。

エアバスの旅客機には「3」が付くわけだが、これは現行の航空機ファミリーで最初に開発されたのが300人乗りの旅客機だったため、A300と名付けられたことに由来する。ただし、その後は310、320、330、340と順に番号が割り当てられる形となり、座席数とはなんの関係もなくなった。

では、その後も開発順だったかといえば、そうではない。A340の後に開発され、現在でも唯一の総2階建ての旅客機には当初、「A3XX」という仮の名前が付けられた。そして、後にその機能が航続距離8,000マイルと優れたものになったことで、その性能を強調する意味でA380に決定した。とはいえ、その後に開発され2014年末から定期(商業)運航を開始したA350はまたもとの順番性に戻っている。

フランクフルト空港に駐機する総2階建てのエアバスA380。1階席にも2階席にもボーディングブリッジが必要だ

なんともいい加減な感じがするが、一方で、総2階建てのA380はあまりに巨大で空港に特別な設備が必要なためセールス上の主力機にはなりにくい。そのため、順番から外れた名前になったとも考えられる。

787は"末広がり"

では、ボーイングの旅客機に「7」が付いているのはなぜか。「7」が割り当てられたのはジェット旅客機である707が最初で、それ以前のプロペラ機や軍用装備品で「6」までの数字が使われていたからで、要するに順番制。ただし、「700」という名前ではインパクトが薄いと考えられ「707」となった。その後、筆者は「777」が開発された時に「スロットマシーンで当たったみたいで縁起がいいな」と感じたが、関係者に聞くとそういう意図はなかったそうだ。

787を世界で最初に運航したのはANA。2011年7月、日本に初飛来した時は、ウォーターキャノンの歓迎を受けた

ただ、「7」と「7」の間に挟まれる数字は一応、順番に割り当てられてはいるが、今後もそうかとは言い切れない。最新機の「787」は当初「7E7」と、同機のセールスポイントであるEfficiency(効率)の頭文字が仮に振られ、その後「787」に決まったのは777の後なので順番通りにも思えるが、実際には「八」は日本でもそうだが中国でも"末広がり"を表す縁起が良い数字であり、中国の航空会社が大量に発注したため「8」の数字が割り当てられたとも言われているのだ。