ふだんの友人との会話と仕事で使う言葉が異なるように、ビジネス英会話も、日常の英会話とは少々異なります。でも、あまり心配しなくて大丈夫。このシリーズでは、知っておくときっと役立つ“ビジネス英語のキホン”を、英会話イーオンさんに教えてもらいます。
第3回は「相手をほめる」。英語には、ほめ言葉のバリエーションが日本語よりたくさんあり、日本に比べてよりに自然にカジュアルに相手をほめ、その回数も多い印象があります。
■ビジネス場面において、事の大小にかかわらず“賞賛はあって当然のもの”
欧米では、「ほめる」ことは、日本よりもっと頻繁に行われていると思います。特にビジネスシーンにおいて、事の大小にかかわらず、承認はあって当然のものと考えられています。また、「ほめる」ときはそれが心から出たものであるべきです。見えすいたお世辞などは、かえって信頼関係に悪影響があるかもしれません。心のこもった“ほめ”には、次の点に気を付けると良いでしょう。
その人の努力に対してほめる、あるいは、その努力にかかわるその人のパーソナリティ、キャラクターに対する承認の言葉などを伝えると良いと思います。また、決まり文句のようなほめ言葉よりも、よりその人個人について述べた言葉の方が喜ばれます。
・Hey, thank you for organizing that schedule. It’s been very helpful for the team.I’m impressed by your improved professionalism. How have you been doing it? (スケジュール作成してくれてありがとう。チームみんなが助かったよ。最近、プロ意識があがっているね。何か心がけていること等があるのかな?)
ディスカッション中であれば、決まり文句やそれに対する反応も悪くありません。
A: Do we have this week’s numbers for sales? (今週の売上、出てきた?)
B: Yes, sir. I’ve already prepared them; they’re on your desk. (はい、準備済みです。デスクに置いておきました)
A: Ah, great! Thanks. So,(shuffling through papers), we need to talk about___ (そうか、ありがとう。じゃあ<書類をめくりながら>_について話そうか)
また、「ほめ言葉」は初対面の取引先との会話の糸口としてとても有効です。もちろん心からのほめ言葉が大事であることは変わりません。そうでないと逆効果になる可能性があります。
【Reputation / Recent Successes】評判/最近の成功について
・Mrs. Smith’s told me a lot of good things about you. (スミスさんから、あなたの評判はかねがね伺っています)
・It’s a pleasure to meet you/The pleasure is all mine (お会いできて光栄です/こちらこそよろしくお願いいたします)
・Aren’t you the person that proposed the Goldsach project? That was some great work! (Goldsachプロジェクトを発案された方ですよね?あれは素晴らしかったです)
【Communication skill】コミュニケーションスキルについて
・That’s a good handshake.(とてもいい握手ですね)
・I’m impressed with your Japanese protocol. Have you been here before? (日本の作法をよくご存知ですね。こちらには前にいらっしゃったことがあるんですか?)
【General Appearance】外見について
※こちらはニュアンスがあります。最後の【ワンポイント】とあわせてご覧ください。
・That’s a good-looking suit. (素敵なスーツですね)
・That’s a great watch. Where did you get it? (いい時計ですね。どちらで手に入れられたのですか?)
・I love your color scheme. It feels very fresh,very autumn. (とても良い配色ですね。新鮮で秋らしいです)
【ワンポイント】ほめたつもりが……「NGトピックス」
日本でも、無邪気にほめたつもりが、相手には不快に受け取られたり、実際にセクハラに当たってしまう可能性のあるトピックスがあります。英語圏でも当然、NGなトピックスがあり、悪気のない純粋なほめ言葉が、その人の感じ方によっては誤解を生むこともあります。気を付けると良い点をいくつか挙げてみます。
1)誰に対して言うのか?
誰をほめようとしているのかを考えること。相手がどう受け止めるか?不快に思うかもしれないトピックスやほめポイントは避けるのが賢明です。
また、初めて話す相手には、よりフォーマルな誉め言葉を基本としましょう。こちらからカジュアルに接すると失礼に当たる場合がありますので、下記の例文のように受け手側が言わないかぎりは、フォーマルに徹するほうが安全です。
・Thanks! No need to rest on formality here, though. We’re all friends. (ありがとう! でも、そんなにかしこまらないでください。ここではみんな友人です)
2)誰がほめているのか?
聞き手は、「誰が」自分をほめているのか見ています。ほめ言葉をどのように受け止めるか個人差はあります。男性の場合、女性への身体的なことをほめる時は注意が必要です。
3)何をほめているのか?
一般的には、人そのものよりも、その人の努力をほめると良いでしょう。ある人の性格や行動をほめたいなら、その性格がいかにその努力と結びついているかに言及すると良いでしょう。
身体的な特徴についてほめるときは、かなり慎重にしてください。不真面目な発言、あるいはハラスメントと取られることもあります。以下に挙げるのがそれらのトピックスです。
Attractiveness 魅力
Age 年齢
Smiles 笑顔
Anything related to a person’s physical body その人の体に関係したこと
Height 背の高さ
Weight 体重
Relative size of body or body parts 体や身体の一部のサイズ
Efforts to improve one’s body 体の改善(ダイエットや運動)に対する努力
また、個人の生活に関するトピックスも注意が必要です。
Salary 給与
Family 家族
Quality of Living 生活の質
Politics 政治
Religion 宗教
次回は、社内での「ほめ方」と、ほめ表現のバリエーションをご紹介します。