ニュースや新聞で話題になっている「年金」のそもそもの仕組み、ご存知でしょうか。年金には、加入が義務づけられている「公的年金制度」と、公的年金制度に上乗せして加入できる「私的年金制度」があります。今回は公的年金制度の仕組みについて確認しましょう。

年金の種類は?

公的年金制度には、加入が義務づけられている「国民年金」、会社に勤めている人や公務員が加入する「厚生年金」の2種類があります。

公的年金制度は、現在働いている現役世代が支払った保険料を、現在の高齢者の年金給付にあてるという「世代と世代の支えあい」という考え方(割賦方式)を基本としています。給付には、現役世代が支払った保険料以外にも年金積立金や税金があてられています。

加入する年金制度

働き方やライフスタイルによって、加入する年金が変わります。

自営業者などは「国民年金」のみですが、会社員や公務員は「国民年金+厚生年金」と両方に加入していることになります。そのため、自営業者と会社員では、納付金額も将来受け取れる年金額も違います。

「国民年金」って?

国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が加入を義務付けられている年金制度です。保険料を支払う加入時には「国民年金」ですが、受給する時には「基礎年金」と名前が変わります。

保険料の納付期間などが10年間あれば、原則として65歳から老齢基礎年金を受け取れます。ただし、満額で受け取るには、自営業者などの国民年金第1号被保険者の場合、20歳から60歳まで途切れることなく保険料を納付することなどが必要です。会社員や公務員の配偶者などの国民年金第3号被保険者の場合、保険料の納付は不要です。

「厚生年金保険」って?

厚生年金保険は、会社員や公務員などの第2号被保険者が国民年金に上乗せして加入する年金制度です。厚生年金保険料は、だいたいの毎月の給与に定率(18.3%)をかけて算出するため、納付額は加入者それぞれ違っています。厚生年金保険料の半分は事業主が負担しています。また厚生年金保険料には、自身の国民年金保険料のほか、第3号被保険者の国民年金保険料も含まれています。

年金などを受給できるとき

多くの人が年金を受け取るのは老後だと思っているでしょう。老後に受け取る年金は「老齢年金」です。しかし他にも、障害状態になった時の「障害年金」、一家の大黒柱の配偶者が亡くなった時の「遺族給付」もあります。

公的年金制度から支給される主なものは以下の通りです。

年金は、老後だけではなく、「もしも」の場合にも受給することができます。「もしも」という時のために覚えておきましょう。

国民年金保険料を納められない場合

第1号被保険者の場合、経済的な理由などで国民年金保険料の納付が難しくなる場合があるかもしれません。その時はそのままにしておかず、所定の手続きを行い、保険料の免除や猶予の制度(大学生の場合は「学生納付特例制度」)を利用しましょう。

保険料の免除や猶予を受けた期間は年金の受給資格期間に含まれます。また障害や死亡などの不慮の事故が発生した場合は、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

保険料納付が困難だからといってそのままにしておくと保険料未納や滞納となり、もしもの場合や老後にも年金を受け取れない場合があるので注意しましょう。

また、猶予制度を利用した場合、後から保険料を支払わないと受け取る年金額が減ります。大学生の時に学生納付特例制度を受けて、まだ保険料を納付していない場合、10年以内であればさかのぼって納められます(追納)。将来の受給額に影響するので、猶予制度を利用した場合は確認をしてみてください。

「年金」といってもたくさんの種類があります。老後だけではなく、「もしも」のことが起こったときにも役立てられるように年金制度についてしっかりと理解し、将来に向けて準備していきましょう。

さとみー(1級FP技能士・CFP(R)・相続アドバイザー3級)

大学卒業後、商社に勤務。両親が年金をもらう歳になって初めて、両親も自分もお金の知識が全くなかったことに気付き、ファイナンシャル・プランナーの資格取得を目指す。資格取得後は、「当時の自分にもわかる説明」だけでなく、興味を持ってもらえる説明を心掛けながら執筆を中心に活動している。

オールスマイルFPチーム

FPの勉強をした元会社員や現役会社員などが、お金の知識を世に広めるべく立ち上がったFPチーム。それぞれの経験や強みを活かして将来はFPとしての独立を目指しています。