近年の「SS」(サービスステーション、ガソリンスタンドのこと)業界では、アルバイトをはじめとする人員確保が困難な状況になりつつある。特に深夜時間帯や地方・過疎地は、スタッフ不足が深刻だ。こうした現状で、営業時間の短縮や閉店を余儀なくされる店舗が増加しているのは皆さんご存知の通り。

そうした課題を解決するため、コスモ石油が導入を進めているのが、AIを使用するセルフ式SS向け自動給油許可監視システム「AiQ PERMISSION」(アイキューパーミッション)だ。株式会社ELEMENTSと共同開発したシステムだが、どんな仕組みなのか。実際に導入した店舗を見てきた。

  • コスモ石油の「AiQ PERMISSION」導入店舗

    コスモ石油がガソリンスタンドにAI導入! 何が変わる?

どんなシステム?

「AiQ PERMISSION」はコスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモ石油マーケティングがELEMENTSと共同で開発したシステムだ。給油レーンを撮影したカメラ映像をAIがリアルタイムで解析し、給油者が適切な手順で給油準備を行っているかを自動で判定する。

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    給油レーンにクルマをとめてみる

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    カメラが給油レーンを撮影

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    映像をAIがリアルタイムで解析する

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給油口が隠れて見えなかったり、レーン内に複数名が入っていたりするとAIが判定した場合、給油は開始されない。一方で、安全が確認されれば、従来のようにスタッフが操作しなくても、即座に給油許可を出す仕組みだ。

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    給油口が隠れていたり…

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    レーン内に複数名が入っていたりすると、給油は開始されない

給油許可を一度出したら終わりではなく、給油中もAIが監視を継続。タバコなどの火気の持ち込みや、ポリ容器などへの不適切な給油行為など、危険行為(リスク行為)を検知すると、自動で警報を鳴らして給油を緊急停止させ、従業員の持つ端末にレーンの画面とともに音と振動で通知する。

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    不適切な行為を検知すると給油を停止

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    従業員の端末に通知する

  • コスモ石油の「AiQ PERMISSION」導入店舗
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こうしたシステムの実用化を後押ししたのは、消防法の規制緩和だ。1998年のセルフ給油解禁以来、法律(消防法関連規制)で人間による目視・許可が義務付けられていたが、2026年2月の規制緩和により、デジタル技術(例えばAIカメラ)など一定の基準を満たした自動制御装置の導入が可能となった。本システムは、この最新法令・技術基準に適合した仕様となっているのだ。

導入のメリットは?

導入のメリットとして大きいのは、店舗の省人化と人手不足の解消だ。スタッフがモニター前に常駐して許可ボタンを押し続ける必要がなくなるため、過疎地や夜間など、限られた人数でも店舗運営が可能になり、最小限のワンオペ状態でも円滑かつ安全に運営できるという。

ヒューマンエラーの防止と安全性の向上も期待できる。混雑時や悪天候時でもAIが高い精度で監視を続けるため、見落としによる事故リスクを低減できる。

さらに、接客やサービス業務のクオリティ向上にもつながるという。モニター監視から解放されたスタッフは、整備の受け付けやカーケア案内といった付加価値の高い業務に集中できる。

  • コスモ石油の「AiQ PERMISSION」導入店舗

近年はハイブリッド車などの低燃費車が増加傾向にあり、電気自動車(EV)に乗る人も増えつつある。ガソリンの販売量自体が年々減少傾向にあるため、SS経営においては「油を売る」だけでなく、車検や整備、カーリース、洗車など油外収益の拡大が急務とされている。「AiQ PERMISSION」の導入によりスタッフがこうした業務に割くことができる時間・余力が増えれば、SSの経営にとってもプラスの効果が生まれるはずだ。

コスモ石油はこれまでに約10店舗で「AiQ PERMISSION」を導入済み。今後も順次拡大していく予定だ。コンビニエンスストアのセブン-イレブンを併設した複合型店舗業態の展開など、将来を見据えた動きの一環としても同システムの導入が重要なのだという。