映画『バットマン リターンズ』のバットモービルを入手できるチャンス到来!?

11月23日は日本では勤労感謝の日で祝日だが、バットマン・ファンはロサンゼルスに注目すべき日だ。映画関連品を専門とするジュリアンズ・オークションズと、クラシック映画専門チャンネルのターナー・クラシック・ムービーズ(TCM)が共同で開催するオークションに、ティム・バートン監督作品『バットマン リターンズ』(1992年公開)の本物の”ヒーロー”バットモービルが出品される。

【画像】ジェット・タービン風の巨大な吸気口、リアには彫刻的なフェンダーをもつバットモービル(写真6点)

映画の撮影車両には役割分担がある。主役が乗り込み、アップで映る車両が「ヒーローカー」と呼ばれ、スタント・シーンには別の車両が使われることが多い。当該車両は『バットマン リターンズ』においてマイケル・キートン演じるバットマンが乗った一台だ。ジュリアンズによれば、劇中の走行シーンの大半とも画面照合(スクリーンマッチ)されている。

同車の製作を手がけたのは、カール・キャスパー率いるハリウッド・プロダクションズだ。キャスパーはミシガン州出身のカスタムカー・ビルダーで、1963年から2017年まで1,000を超える改造車の展示イベントを主催・共催した人物でもある。

その傍ら『ナイトライダー』のK.I.T.T.や『特攻野郎Aチーム』のバン、『爆発!デューク』のジェネラル・リーなど、スタジオ公認のイベント展示用車両製作を手がけていた。バットモービルでも、ワーナー・ブラザースから許可を得て展示用の車両を製作したこともあった。映画『バットマン』(1989年公開)の続編ではバットモービルがスクリーンに映る時間が増えるため、第1作の車両より信頼性が求められ、実績を買われたキャスパーが3台の劇中車製作を任されたという。

全長は19フィート8インチ(約6.0m)。フレームはシボレー・インパラのシャシー2台を継ぎ合わせ、FRP製ボディの前端にはジェット・タービン風の巨大な吸気口、後方には彫刻的なフェンダーが張り出す。パワートレインはシボレー製V8(スモールブロックとの噂あり)で、3速ATと組み合わせる。リアから実際に炎を噴くとも報じられている。

撮影終了後は、映画のプレミア上映会と、ワーナー・ブラザースのスタジオ敷地内で開かれた打ち上げパーティーに姿を見せた。その後、カリフォルニア州オレンジ郡タスティンのマルコーニ・オートモーティブ・ミュージアムに長年、収まっていた。

これまでのバットモービルのオークション記録には、2013年に落札されたジョージ・バリス製作の1966年版である。アダム・ウェスト主演のテレビシリーズの一台で、バリスがわずか1ドルで手に入れたリンカーンのコンセプトカー「フューチュラ」を改造して生まれたもの。なんと落札額は420万ドル、手数料込みでは約460万ドルと報じられている。

出品車両の話ではないが、バットモービルを語るなら法廷闘争の話題も欠かせない。2011年、DCコミックスはカリフォルニアの修理業者マーク・トウルを提訴した。トウルは「ゴッサム・ガレージ」の名で、1966年のTV版と1989年の映画版のレプリカを、DCコミックスの許諾なしに製作・販売していたからだ。争点は、バットモービルが単なる「車」なのか、著作権で保護される「キャラクター」なのか、だった。

2015年9月、裁判所はしゃべらない乗り物でもキャラクターとして保護され得ると判断し、DCコミックス側を支持した。レプリカが自由に作れない世界で本物の劇用車が持つ価値は、際立つ。なお、今回の出品車両、予想落札価格は500万~700万ドル(7億9,000万円~11億円)と謳われている…

気になるオークションはカリフォルニア州ガーデナのジュリアンズ・スタジオで開催され、オンライン、電話、事前入札もできる。同日は車両以外にもバットマン関連の小道具や衣装、制作資料、TVシリーズ放送開始から60周年のコレクションも出品される予定だとか。

「Where does he get those wonderful toys?(あいつは一体、どこであんな素晴らしいオモチャを手に入れているんだ?)」。第1作でジョーカーが漏らしたぼやきの答えが、ロサンゼルスにある。11月23日(月)午前10時(太平洋時間)、日本時間では24日(火)午前3時。バットマンの相棒を迎える準備ができた方は、ゴッサムならぬガーデナへ!

文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)